Vol.221 中国 李卉(リキ)

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福建省のお茶

 皆さん、こんにちは。中国福建省から派遣された国際交流員の李卉と申します。福建省は長崎県とは友好省県で、古くから交流が盛んに行われました。よろしくお願いいたします。

 さて、福建省と言えば、最初に浮かぶのがお茶です。福建省の人はお茶が好きで、ほとんどすべての家庭に茶卓があります。福建では、友人や客人をもてなす時は、まずお茶を出します。公的な事を商談する時も、雑談する時も、茶卓を挟んでお茶を飲みながら話すことが多いです。

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 中国では発酵度によってお茶を大まかに緑茶(不発酵)、白茶(弱発酵)、黄茶(弱発酵)、青茶(或いは烏龍茶、半発酵)、紅茶(全発酵)、黒茶(後発酵)との六つの種類に分けています。また、以上とは別となる再加工茶という種類もあります。例えばジャスミン茶などといった花茶は再加工茶に属します。

 烏龍茶(ウーロン茶)、紅茶、白茶、ジャスミン茶の発祥地は全て福建省で、中国六大茶類の半分は福建省で生まれたと言われるほど、福建省の茶産業は歴史が長くて盛んです。

 ウーロン茶と言えば、現在の福建省のおいては、武夷岩茶が一番人気で、また日本でも知られている鉄観音もウーロン茶の一種で、特に福建省の南部では人気です。

 武夷岩茶は字面の通り、福建省北部の武夷山で生産されているお茶で、武夷山は丹霞地形で、農家は岩の隙間を利用して茶の樹を栽培しているため、岩茶と呼ばれています。主な品種は大紅袍、肉桂、水仙などが挙げられます。

 半発酵茶なので、茶葉は発酵部分の褐色と不発酵部分の緑色が混じりあって、湯色はオレンジかかった透明な色。私は岩茶の一番の魅力はその香りだと思っています。花、果実、ミルクのような複雑で言葉では表現できないとてもいい香りがします。味わいとしては香りが濃いものもあれば(肉桂)、清らかなものもあり(水仙)、後味が長く続きます。この余韻はいわゆる「岩韻(武夷山の岩の養分が醸し出す味と香り)」です。

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 皆さんも岩茶に少し興味が湧き出したと思いますが、残念ながら、岩茶の淹れ方はちょっと複雑です。茶葉を下のような蓋碗(三才蓋碗とも呼ばれており、三才とは天、地、人を代表しています)に入れて、沸騰したお湯を注ぎ、直ぐに茶湯を出さないといけないです。蓋碗はとても熱いので、初心者の人はなかなか直ぐに出し切ることができないのが難しいところです。岩茶の味は濃いので、最初は大体3-5秒以内に出さないと、茶湯はとても苦くなります。また出し切れなかったら、蓋碗の中に残した茶の湯は後の茶の湯に影響を与え、その後の茶の湯もずっと渋みと苦さが続きます。

三才蓋碗の写真

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 ほかにも様々なこだわりがありますが、最初に克服しなければならないのはやはり蓋碗の熱さです。もしご興味ありましたら、ぜひ自分で詳細を調べてチャレンジしてみてください。

 続いてご紹介したいのは私がとても気に入りの白茶です。白茶は主に白毫銀針、白牡丹、貢眉、寿眉との四種類があります。白茶の製茶工程はとてもシンプルで、茶葉を摘採した後、日光や風に当ててゆっくり水分を蒸発させ、その後乾燥させて製茶が完了。さわやかな香りとまろやかな甘みがあり、あっさりと飲みやすいです。

 中でも白毫銀針は新芽のみを使用した最高級品ですが、味は一番あっさりしており、私としてはちょっと薄い緑茶っぽいという感じがします。白牡丹や貢眉、寿眉は白毫銀針とは違う味で、より濃く、バランスのいい味だと、個人としてはこちらのほうがもっと好きです。淹れ方も簡単で、蓋碗で淹れても、普通にポットに入れて長時間煮て抽出しても大丈夫です。ちなみに自分の一番好きな飲み方は貢眉を乾燥ナツメ(紅棗)と一緒に煮るやり方です。ナツメとは相性がとてもいいです。

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(上記写真は貢眉。白茶は茶葉が大きいため、ビスケット状に圧縮するものもあります)

 福建省の紅茶も有名です。ここで特に有名な正山小種と金駿眉を挙げたいと思います。両者とも産地は武夷山で、正山小種は生産する時に、地元特有の松の薪で燻製し、仕上げ品は松の燻製香と干し竜眼の香りがあり、独特な風味がします。金駿眉は標高1000m以上の野生茶樹の芽のみを使用して作った高級品です。蜜のような甘さと花や果物のような香りがあり、渋みも少なく、水色は黄金色に輝くのが特徴です。

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(上記写真は正山小種)

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(上記写真は金駿眉)

 最後にご紹介したいのはジャスミン茶です。福建省の省都である福州市は有名なジャスミン茶の産地です。福州のジャスミン茶は「いん製(生の花から香りを茶葉に移す)」という特殊な技法で作られます。一般的には緑茶がベースに、茶葉にジャスミンの花の香りを吸着させ、茶葉に花は見えず、香りが残るというのが特徴です。鮮烈で持続性があり、氷砂糖のような甘さがすると評価されています。

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 以上で福建省のお茶について簡単に紹介しましたが、お茶の文化は奥深いので、踏み込んだ研究をすればするほど、面白いと思います。また、お茶は根本からいえば飲み物なので、お茶に関する知識を覚えなくても飲んで楽しむのが一番だと思います。ご興味ありましたら、ぜひご自宅で試してみてください。ただ、お茶をたくさん飲みすぎると茶酔いすることもありますので、お菓子と一緒に召し上がることをお勧めします。

 

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