Vol.215 オーストラリア (フィッシャー マーギュリート)

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“Having a Go”(挑戦すること)

 

 G’day everyone! 皆様、こんにちは!国際交流員のペギーです。

   先日の2024年パリ夏季オリンピックで、ブレイキングがオリンピック競技としてデビューしました。オーストラリアは、レイチェル・ガン博士(通称「レイガン」)がブレイキングに出場したことで国際的な話題になりました。カンガルーホップなどのユニークなダンスと、オーストラリアのトラックスーツを着てパフォーマンスするという彼女のルーティンが流行しました。レイガンのパフォーマンスを批判する声も多くありましたが、彼女の出場はオーストラリアに根付く文化、つまり 「having a go」(挑戦してみる・やってみる)ということを体現していました。オーストラリアには 「have a go, ya mug 」や 「give it a crack 」という表現があり、他の人に何かに挑戦するよう促す文化があります。上手にできるかどうか、失敗しないかどうかを心配するのではなく、とにかくやってみること、チャンスから逃げないことを奨励するのがオーストラリアの文化です。オーストラリアのアルバネーゼ首相でさえ、レイガンの演技について「Raygan had a crack, good on her」(レイガンは挑戦した。よく頑張った。)と言いました。

 

レイガン【1】

 

   2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックのスピードスケート1000mショートトラックの金メダリスト、スティーブン・ブラッドベリもまた、オーストラリアのオリンピックに関連した「having a go」の典型的な例であります。ブラッドベリは、他の選手(ディフェンディング・ワールド・チャンピオン)が妨害行為で失格となったため準決勝に進出し、準決勝では他の3選手が巻き込まれたクラッシュのため決勝に進出しました。決勝では、ブラッドベリ選手はメダル候補選手たちから大きく遅れて最下位にいたが、最終コーナーで1位を争っていた4人の選手全員がクラッシュし、ブラッドベリ選手はクラッシュを避けて優勝を果たしました。この勝利により、ブラッドベリは冬季オリンピックで金メダルを獲得した初のオーストラリア人選手(そして初の南半球出身選手)となりました。ブラッドベリの勝利を表現するもうひとつの格言に、「You have to be in it to win it」というものがあります。これは、「何かをしようとしなければ成功しないことが保証されているが、何かをしようとすれば、少なくとも成功する可能性がある」という意味であります。

 

ブラッドベリ【2】

 

   オーストラリアでよく知られている 「having a go」の例に、1983年に61歳でシドニーからメルボルンまでのウルトラマラソンで優勝したジャガイモ農家のクリフ・ヤングの話があります。ヤングは実家の農場で羊を追いかけながら育ち、オーバーオールに長靴という出で立ちでウルトラマラソンに出場しました。ヤングが優勝する可能性は低いだけでなく、完走する可能性すら低いと考えられていました。ウルトラマラソンの距離は875kmで、ほとんどの選手が7日間で完走します。ヤングはゆっくりとしたペースで、走るというよりシャッフル(摺り足)するような異例のスタイルで進みました。初日が終わった時点で、ヤングは他の選手に大きく遅れをとっていました。通常、競技者は1日に18時間走り、6時間睡眠をとります。しかし、ヤングは競技者が睡眠をとっていることを知らず、昼も夜も寝ずに走り続けました。みんなが寝ている時間に走ることで順位を上げたヤングは、最終的に5日と15分4秒で、ライバルに10時間の差をつけ優勝しました。ヤングは予想外の勝利で一夜にしてセンセーションを巻き起こし、彼のユニークな走り方は「ヤング・シャッフル」として知られるようになりました。

 

ヤング【3】、【4】

 

   成功しなくても、1位になれなくても、とにかく「having a go」ことに価値があることを、オーストラリア人は皆知っています。スポーツの例を挙げましたが、スピーチコンテストに応募する、コンサートに出演する、希望する仕事に応募する、他の言語を学ぶ、他の国に住むなど、人生におけるあらゆることに当てはめることができます。「Having a go」は語学学習において特に重要です。挑戦し、練習しなければ上達しないからです。もしうまくいかなかったとしても、それが勉強になり、人間的な成長につながります。皆さんには、新しいことに挑戦することを恐れず、「having a go」精神を持ってほしいと思います。思いがけない成功が待っているかもしれないのですから。

   Have a go, ya mug!

 

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【イメージ出典(外部サイトへ移動します)】

【1】https://www.bbc.com/news/articles/cnvy348n260o

【2】https://olympics.com/en/news/olympic-cinderellas-steven-bradbury-s-unforgettable-short-track-gold-medal

【3】https://www.geelongadvertiser.com.au/news/geelong/cliff-cliffy-youngs-cup-returns-to-colac/news-story/3bdc5fd2d1943db0e60617d1dde36e88?nk=cb4b4167072f36ccc0bd3fc6e53bf788-1727318979

【4】https://australian100club.org/Gallery/Z3JhcGhpY3MvZ2FsbGVyaWVzL0NsaWZmX1lvdW5n/

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