Vol.205 オーストラリア (フィッシャー マーギュリート)

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  G’day everyone! 皆様、こんにちは!国際交流員のペギーです。

 

  先日、オーストラリアのメディア王、ルパート・マードックが92歳でFOXとニューズ・コーポレーションの会長職を退き、長男のラクラン・マードックを後継者に指名したことが欧米のメディアで大きなニュースとなりました。

  皆様はルパート・マードックが誰か知っていますか?聞いた事はありますか?

  マードック氏はイギリスの新聞「ザ・サン」「ザ・タイムズ」、オーストラリアの「デイリー・テレグラフ」「ヘラルド・サン」「オーストラリアン」、アメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ニューヨーク・ポスト」、書籍出版社「ハーパーコリンズ」、テレビ局「FOXニュース」「スカイ・ニュース・オーストラリア」など多くの企業を所有し、帝国・王国を築きました。また、米国と英国の政治に多大な影響を与えたことでも知られ、特にBrexit(イギリスのEU離脱)の投票に影響を与えたり、トランプ大統領の不正選挙の主張を大々的に宣伝したりしました。エミー賞を受賞したHBOの人気テレビシリーズ「サクセション」(日本では「メディア王 〜華麗なる一族〜」)も、マードック帝国をモデルにしていると広く信じられています。

 

画像1メディア王ルパート・マードックと長男のラクラン・マードック

https://www.nytimes.com/2023/09/21/business/media/rupert-murdoch-fox-retire.html

 

キャプチャHBOのテレビドラマ「サクセション」(メディア王 〜華麗なる一族)

https://www.hbo.com/succession

 

キャプチャ1マードックの新聞「ザ・サン」と「ザ・タイムズ」

https://www.theguardian.com/media/2016/jun/24/mail-sun-uk-brexit-newspapers

https://twitter.com/SkyNews/status/701896811775205376

 

キャプチャ2マードックのテレビ局「FOXニュース」

https://www.abc.net.au/news/2023-03-26/fox-news-dominion-voting-systems-defamation-case-election-2020/102128528

 

  では、日本版の帝国・王国といえば、何を思い浮かべることができるでしょうか?私は日本版の帝国・王国と言えばトヨタを思い浮かべます。多くの子会社を擁し、豊田家に脈々と受け継がれてきた巨大な成功を収めた多国籍自動車製造会社であります。トヨタは日本で有名なだけではなく、オーストラリアを始めとして、世界中でも有名です。日本からオーストラリアへの主な輸出品は自動車(46.1%)であり、オーストラリアの道路を走る自動車のほとんどがトヨタ車であるため、オーストラリア人はオーストラリアを “Toyota Country”(トヨタの国)と呼んでいます。トヨタは過去26年連続オーストラリアで最も売れている自動車ブランドであり、オーストラリアで販売されている車のほぼ4台に1台がトヨタ車です。

  しかし、オーストラリアで販売されているトヨタ車は、日本で販売されているトヨタ車とは少し異なり、オーストラリアの広い道路や荒れた地形に合わせて設計されています。

 

キャプチャ3

https://www.toyota.com.au/news/new-hilux-models-designed-and-engineered-in-australia

 

  トヨタではオーストラリアが最初の公式輸出市場であったと聞いたら驚きますか?

  1949年から1974年にかけて、灌漑用水と干ばつ時の水利を目的としたオーストラリア史上最大のエンジニアリング・プロジェクトであり、世界のエンジニアリング・プロジェクトの中でも驚異的な計画の一つである “Snowy Mountains Hydro-Electric Scheme”(スノーウィー・マウンテンズ水力発電計画)が実施されました。9つの発電所、16のダム、80kmの水道橋、145kmの連結トンネルを建設するために、30カ国以上から10万人以上の人々が動員されました。ぬかるんだ荒れた地形で作業員を運ぶには、頑丈な車両が必要でした。

  1958年、日本からトヨタ・ランドクルーザーが輸入され、プロジェクトに使用されました。トヨタ・ランドクルーザーがオーストラリアの過酷な環境で困難に直面すると、トヨタは日本の技術者をオーストラリアに派遣して問題を調査し、部品を交換し、地形に合わせて車両を改造しました。トヨタ・ランドクルーザーのタフな耐久性は、会社の強力なサポートとともに、トヨタがオーストラリアで人気を博す結果となりました。

  そして、1959年に最初のトヨタ車(ランドクルーザー)がオーストラリアで販売されました。これはトヨタが初めて国際市場で車を販売した時です。現在でも、トヨタは田舎の悪路を走るための車として選ばれています。

 

https://www.news.com.au/technology/innovation/is-the-snowy-hydro-scheme-the-smartest-thing-australia-ever-built/news-story/c07c2834a04adac853a220fad2aa01f1

 

https://the-riotact.com/the-story-of-the-toyota-landcruiser-the-car-that-built-australias-engineering-wonder/498815

 

  トヨタが広く親しまれているもう一つの理由は、その広告の成功にあります。「Oh what a feeling!」と言うキャッチーなスローガンと「トヨタ・ジャンプ」は、オーストラリアでは世代を超えてよく知られています。また、オーストラリアで放映されるCMでは、トヨタ車が岩を乗り越えたり、川を走ったり、砂漠を横断したりする様子が描かれ、トヨタは冒険に出かけるのに必要な車であり、トヨタ車に乗ると楽しい経験ができると強く結びついています。

  さらに、オーストラリアの男性の多くは農場主や職人(建設業者、大工、電気技師、配管工、レンガ職人等)であり、トヨタ・ハイラックスは特に彼らに向けて販売され、タフで耐久性があり、信頼性が高く、男らしいというイメージを描いています。その結果、トヨタ・ハイラックスは2016年から2022年まで、オーストラリアで最も売れた車種でした。

https://lismoretoyota.com.au/about.html

 

https://www.autoblog.com/2023/08/02/39-year-old-toyota-land-cruiser-70-gets-major-updates-in-australia/

 

  今回のコラムで驚いた事はありましたか?トヨタ・ブランドがいかに強く、オーストラリアで人気があるかご存知でしたか?また、オーストラリアでは日本と同じように左側通行なので、オーストラリアに遊びに来る際には、皆様が親しみを感じる自動車ブランドのトヨタでオーストラリアの道路を走ってみませんか?

 

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