Vol.182 中国 賀 笑

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                             「中国の国学」について

  ダージャーハオ!

  みなさん、こんにちは!

  長崎は桜が満開になる美しい春の季節を迎えようとする中、私は一年の任期を終え、帰国の途につきます。今回のコラムで最終回になりますが、最後のコラムでは皆さんに、最近中国で人気が出ている「国学ブーム」についてご紹介したいと思います。

  「中国の国学」とは、中国の伝統文化・歴史に関する学問の総称です。中国の国語の授業では、高校卒業までに、古代文人や詩人の古文・詩歌が必修科目となっていますが、ここ数年、児童向けの「国学学堂」で古代の学問や礼儀などを教えたり、若者たちが中国の伝統衣装を着たりなど、「国学」が徐々に中国人の日常生活に浸透してきました。

(一)中国漢民族の伝統服―漢服    

    1. 概況

 中国の伝統衣装と言えば、「チャイナドレス」が頭に浮かぶ方が多いかもしれませんが、チャイナドレスは、もともと中国の満民族の伝統的な衣装です。中国古代最後の王朝である清王朝は満民族の人によって建立されましたが、清時代が終わり、中華民国になってからも、チャイナドレスが着用され、今でも、伝統衣装として流行っています。

 中国には56の民族がおり、総人口の90%は漢民族です。「漢服」は漢民族の伝統的な服で、「華服」とも呼ばれます。ここ数年、中国の伝統文化が広がるにつれ、タイムスリップを題材にしたテレビドラマが人気になり、漢服などの伝統衣装も流行してきました。漢服は商の時代(紀元前1600年)に発祥しましたが、時代により服装のスタイルもそれぞれです。今、街中を歩くと、漢服姿の若い女性やカップルの姿がよく見受けられます。

                                    漢 代

                              (http://image.baidu.com/search/detail?ct=503316480&z)

              

                                   秦   代

                                (https://graph.baidu.com/s?sign=12698743f26fc28d732f401583801539&f

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  唐     代

                             http://image.baidu.com/search/detail?ct=503316480&z

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                                     明 代

                      https://graph.baidu.com/s?sign=126903d5c82cd3f580baa01583804220&f

                       https://image.baidu.com/search/detail?ct=503316480&z 

 中国の古い町並みのある観光地へ遊びに行ったら、漢服の体験ができる所もありますので、漢服に着替え、タイムスリップの旅を楽しんではいかがでしょうか?

   2.漢服イベント

 漢服を着て観光地に行ったり、街中で写真を撮ったりもですが、杭州市・洛陽市などの古都を中心に、漢服イベントも開催されています。イベントでは、参加者は全員漢服を着て、漢服文化博覧会のほか、甲冑ショー、古代舞踊、フリーマーケットなどを楽しむことができます。

                                   中国浙江省杭州市の漢服ウイーク

                                 (http://www.hfahz.com/hanfu/1424.html

                              (http://www.hfahz.com/hanfu/1424.html

   3.漢服結婚式

 中国の結婚式には、教会やガーデンで行われる西洋風の結婚式もありますし、伝統的な結婚式もあります。最近、漢服を着て、古代の風習やマナーにより執り行う漢服結婚式も人気になっています。

 そのような漢服結婚式では、琴の生演奏の中で、天地の神と両親に結婚の許しをもらうために、天地と両親を拝み、礼をするという古くからの儀式を行います。

                      (https://graph.baidu.com/s?sign=1268001ab42e6d7a67d7901583805382&f

 (二) 「国学学堂」

 「学堂」とは、「塾」のようなもので、授業内容は「儒学」をはじめとする中国伝統の文化・学問を主とします。中国古代の著名な思想家で教育家の孔子が「儒学」の創始者ですが、孔子の教えを弟子たちが書き留めた「論語」は、日本でもとても有名ですよね。「論語」には、名言がたくさん出ていますが、例えば、「友あり遠方より来る、また楽しからずや」などが挙げられます。

 学問以外にも「書」や「水墨画」などの中国の伝統芸術、「筝」や「二胡」などの伝統楽器、それから「珠算」、中国カンフーなどの授業もあります。

 

 

 

 

 

 

                   https://graph.baidu.com/s?sign=12630999a3783573faafd01583805612&f

                   https://image.baidu.com/search/detail?ct=503316480&z   

 (三) ネットでの国学ブーム

 中国では、ネットの有名人のことを「網紅」と言いますが、都市部の人々が憧れる田園暮らしと中国の伝統文化を編集した動画をインターネットで発信し、国内外のネットユーザーの注目を集めているリー・ズーチーという女性がいます。彼女は四川省出身で、ここ三年間連続して「第一網紅」と呼ばれており、中国のSNS「微博」でのフォロワー数が2000万人を超える人気ブロガーです。これをきっかけに、中国のウェブサイトでは、伝統文化をテーマにした中国風の動画が流行りだし、ある種のブームになっています。

                                                   

                        (https://image.baidu.com/search/detail?ct=503316480&z

 染物、酒の醸造、織物、古式製紙、口紅製造など、動画の内容は様々な分野に及んでいます。閲覧した人は、彼女の動画を通して、伝統文化を理解したり、仕事や暮らしの悩みを忘れたり、癒されたりすることができます。動画はわかりやすく、セリフもほとんどないため、中国語がわからなくても全然問題ありません。もし、中国の文化にご興味がありましたら、是非、ご覧になってください。

 以上、中国国学のご紹介でした。

 国際交流員として長崎で過ごしていた一年間は本当に楽しかったです。身近に日本の社会・文化を実感し、日本の職場の文化も少し理解できてきました。また、様々なイベントを通して、長崎県の方々と交流し合ったり、県内各地を視察したりする貴重な機会もいただいて、ありがたい気持ちでいっぱいです。帰国しても、中国と長崎県の友好交流の架け橋として、頑張っていきたいと思います。

 今後、日本国内のコロナウイルス感染が一日も早く収束することを心から願いつつ、長崎の皆さんのご健勝をお祈り申上げ、私の最後のコラムとしたいと思います。

 ザイジェン!(さようなら!)

                                                 

 

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