長崎県

むし歯予防


2013年6月20日更新

むし歯予防

1.むし歯予防の原則

むし歯は、細菌(ミュータンス菌)が出す酸によって歯質(エナメル質や象牙質)が溶かされて発生する病気です。
主にむし歯になるには3つの要素があり、この3つの要素が満たされたらむし歯になります。(むし歯になる仕組み
したがって、どれか1つの要素が欠けたらむし歯になることを防ぐことができます。つまり、下記のむし歯になる(1)から(3)の要素を1つ取り除けばむし歯は予防できます。

むし歯になる要素
(1)細菌(ミュータンス菌) 歯に付く歯垢(細菌の塊)
(2)ショ糖類 細菌のえさになる甘い食べ物
(3)歯質 歯の表面(特にエナメル質)が酸に溶かされやすい状態(弱い歯)

 また、上記のむし歯になる3つの要素を強化する因子として「時間」があります。

つまり、3つの要素が満たされている時間が長いほどむし歯は発生しやすく、むし歯の進行も大きくなります。

したがって、細菌が増える時間が長く、ショ糖類が口腔内に滞在する時間が長く、これらが弱い歯に接している時間が長いほどむし歯が発生しやすく、進行することになりますので、3つの要素が満たす時間を短くすることでより一層のむし歯予防の効果が期待できます。

2.むし歯予防の方法

前述(1.むし歯予防の原則)で説明したとおり、3つの要素を取り除くことで、むし歯を予防することができます。
つまり、むし歯予防は、主に細菌を取り除く、ショ糖類を制限する、歯質を強化することで予防ができることになります。

下記の各要素に対しての予防方法において、「(1)主な方法」は、比較的現実的な方法、「(2)その他の方法」は、現実的に難がある方法という意味です。

【1】細菌(ミュータンス菌)を取り除く。
  方法 効果
(1)主な方法

ブラッシング(歯みがき)
(歯に付く歯垢(細菌の塊)を歯ブラシで物理的に取り除く方法)

歯の表面(平らな部分)は比較的簡単で対処できるが、歯の溝や歯と歯が接している部分は細菌を取り除くことはできません。また、一日何回ブラッシングしても歯ブラシの毛先が当たりにくい部分もあり、むし歯予防としての方法は、ブラッシングだけでは効果が低い。
(2)その他の方法 細菌を薬剤で殺菌をする方法 口腔内のむし歯の原因になる細菌を薬剤で殺菌するとむし歯は抑えることはできますが、そのかわり本来細菌数が少なく活動が抑えられていたもっと人体に悪影響を及ぼす細菌が活動できるようになるため(菌層の交代)、むし歯予防の効果はありますが、それ以上に重篤な疾病がおきる可能性があるので現実的には難があります。
 【2】ショ糖類を制限する。
  方法 効果
(1)主な方法

甘味制限
(細菌のえさとなる甘い食べ物を制限する方法)

細菌のえさとなるショ糖類を制限することにより、細菌の酸を代謝を減少し歯質の溶解を抑制します。しかし、完全にショ糖類を制限することは不可能です。

また、ショ糖類摂取は量ではなく、口の中にショ糖類が滞在している時間が長ければ(例えばあめなど口にながくいれておくなどの行為)それだけ細菌が酸を代謝する時間が多くなりむし歯になりますので、コントロールは必要です。

したがって、人に我慢させる予防法を中心にすることは困難であり、持続性も少ないので、効果的な手法とはいえません。

(2)その他の方法 ショ糖類以外の代換甘味料を使用する方法

キシリトールなどのショ糖類以外の代換甘味料を使用する方法は、比較的簡単にできそうですが、使用する代換え甘味料の糖度や味などの違いにより通常の使用が困難な場合が多く、さらに高価でもあるため、ショ糖類からすべて代換甘味料へ変えることは現実的ではありません。

また、日常生活の中でも食生活に浸透しなければ効果はありませんので、他の方法の補助的に使用する程度に考える方が良いといえます。

【3】歯質
  方法 効果
(1)主な方法

フッ化物(フッ素)の利用
(歯の表面(特にエナメル質)が酸に溶かされにくい状態に歯の構造を強くする(強い歯)方法)

フッ化物を応用した方法は、世界でも安全で効果がある方法として実施されています。
また、ブラッシングのような技術や甘味制限のような我慢が必要な方法ではなく、歯質全体に作用しやすいのでむし歯予防の方法としては簡単にできる方法です。
ただし、日常習慣として継続が必要です。

(2)その他の方法 むし歯になりやすい歯の溝を埋める。(シーラント)

直接、歯質を強くする方法ではないが、歯科医院でむし歯になりやすい奥歯の溝をセメント(フッ化物入りが多い)で埋める方法で、効果は大きいが、家庭で簡単にできる方法ではなく、むし歯になりやすい歯に限定した方法でもあるため、他の方法とあわせて行わなければならない。

また、費用も高いことが、デメリットでもあり、定期的に歯科医院で管理を行う必要がありるため、一般的に普及するにはやや難がある。

 フッ化物応用の方法

【1】フッ化物洗口剤でのうがい

概要

フッ化物洗口は、口に含みぶくぶくうがいを行う方法で、特徴として、手技が簡便で、むし歯予防効果が高く、安全性も高く、費用・効果率に優れた公衆衛生的特性の高いことがあげられる。
むし歯予防効果は、洗口開始時年齢と実施期間が類似していれば、洗口液のフッ化物濃度、洗口頻度が異なってもほぼ同程度であり、全体的にはDMFT(一人平均う蝕歯数)またはDMFS(一人平均う蝕歯面数)の評価で30パーセントから80パーセントの値が得られている。

使用薬剤 現在使用されているフッ化物洗口剤は、医薬品では2種類(製品:ミラノール((株)ビーブランド・メディコーデンタル)、オラブリス((株)昭和薬品化工)である。主成分は、フッ化ナトリウムである。また、歯科医師の指示により集団での実施は、フッ化ナトリウム試薬を使用している場合もある。
実施方法

実施方法は、毎日法と週1回法があり、家庭や就学前の児が集団で実施するときは毎日法、小学校以上の集団で実施する場合は、週1回法が一般的である。
なお、毎日法と週1回法は、フッ化物洗口液の濃度が異なる。

  • 毎日法:100ppmから250ppm(あるいは450ppmを使用する場合もある)
  • 週1回法:900ppm
 1)対象者

フッ化物洗口法は、とくに、4歳児から14歳児までの期間に実施することがう蝕予防対策として最も大きな効果をもたらすことが示されている。また、成人の歯頸部や根面のむし歯の予防にも効果があることが示されている。

 (1)対象年齢
4歳から成人、老人まで広く適用される。特に、4歳から開始し、14歳まで継続することが望ましい。その後の年齢においてもフッ化物は生涯にわたって歯に作用させることが効果的である。

(2)むし歯の発生リスクの高い児(者)への対応
修復処置した歯のむし歯再発防止や歯列矯正装置装着児の口腔衛生管理など、むし歯の発生リスクの高まった人への利用も効果的である。

2)洗口方法(一般的な使用指示)

※毎日法で示します。(週1回法の場合は、1日1回を週1回に置き換えてください。)
下記に示す洗口方法を1日1回行うように指導する。

(1)洗口の前には、歯をみがくか、水で口をすすぐ。

(2)(歯科医師より指導を受けた)液量を取り出す。
5mlから10mlの液量(目安:就学前7ml、就学後10ml)

(3)取り出した洗口液を口に含み、約30秒間洗口液が歯面にゆきわたるようにぶくぶくうがいをする。

(4)洗口は嚥下を避ける目的で、下を向いて行う。

(5)洗口後の液は十分に吐き出し、そのあと1回から2回たまった唾液を吐き出し、水で口をすすがないで、30分程度は飲食をさける。

3)フッ化物洗口剤の利用濃度

フッ化物洗口法は、2通りの利用方法(毎日法、週1回法)があり、各々適した濃度で洗口を行うようにする。

ただし、どちらの方法も洗口開始年齢と洗口期間が同じであればむし歯予防効果はほぼ同程度である。

したがって、家庭などの個人で洗口を実施する場合は、毎日の歯みがき習慣と組み合わせ行った毎日法が継続しやすいし、小中学校などで集団で行う場合は、時間等の都合から週1回法が利用しやすいと考えられる。(日常習慣から考えると洗口回数が多い方が望ましいが、規模や状況で決めても良いという意見もある。)

洗口回数は、都合や習慣等の状況により、歯科医師(学校歯科医師)に指導受け、決定すると良い。

【2】フッ化物の歯面塗布

概要

フッ化物の歯面塗布は、フッ化物溶液を直接歯に塗布するもので、歯科医師や歯科衛生士など専門家が医療の一環として行うう蝕予防法である。実施対象が限られることから、公衆衛生特性に劣るが、年数回の実施により効果が得られることから、フッ化物洗口のできない幼児の乳歯のう蝕予防手段としては、とくにその有用性が認められている。
厚生労働省は以前から本法を推奨し、1949年に「フッ化物歯面局所塗布実施要領」を出してその普及をすすめている。

使用薬剤

現在使用されているフッ化物塗布の薬剤には、リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)の溶液とゲルとフッ化ナトリウム溶液の3種類がある。市販されているフッ化物製剤は、APF溶液はフルオールN液((株)ビーブランド・メディコーデンタル)とフローデンA(サンスター(株))、APFゲルはフルオール・ゼリー((株)ビーブランド・メディコーデンタル)、フッ化ナトリウム溶液はネオ(ネオ製薬工業(株))がある。
フッ化物の歯面塗布に使用するフッ化物溶液(ゲル)の濃度は9,000ppmである。

使用方法の概略 フッ化物の歯面塗布は、溶液状のものは、綿球で塗布、ゲル状のものは歯ブラシで塗布する場合が多い。溶液状のものは、歯面を乾燥させる必要がある。集団に対して塗布を行う場合、簡便なゲル状のものが利用されることが多い。

 【3】フッ化物配合歯磨剤

概要

歯磨剤の成分にう蝕予防の効果のあるフッ化物が配合されている歯磨剤のことを指す。日本でのフッ化物歯磨剤の市場占有率(シェア)は88パーセントである(2004年現在)。
それに比べて、う蝕予防先進諸外国では90パーセント以上がフッ化物が入っており、疫学的にみてもその差も日本ではまだう蝕が多い原因の一つではないかと考えられている。
なお、他のフッ化物と併用してう蝕予防しても問題はない。むしろ、現在の日本では、併用を勧めるべきである。

フッ化物配合歯磨剤成分

日本では、フッ化物配合歯磨剤のシェアは88パーセントなので、う蝕予防のための市販の歯磨剤を選択する場合、薬用成分を考慮に入れ勧めることが必要である。
歯磨剤の薬用成分のところに、次のいずれかが記述されている。

  • モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)
  • フッ化第一スズ(SnF2)
  • フッ化ナトリウム(NaF)

※日本製のフッ化物配合歯磨剤の濃度は、ほとんどの商品が1,000ppmである。

フッ化物配合歯磨剤の使用概要 歯磨剤の量は、大豆程度を歯ブラシにつけて磨き最後にうがいする。成人の場合も、ほぼ同である。また、歯磨剤を使用すると泡が立ち、何もつけない方が磨きやすい人には、何もつけずに磨いた後に、仕上げ磨きとして歯の表面に“フッ化物を塗る”つもりで使用すると、う蝕予防に効果が期待できる。
類似商品:スプレー式のフッ化物応用

正確にいうとフッ化物配合歯磨剤の一部ですが、家庭で手軽に安全にう蝕予防を行う方法として、フッ化物イオンスプレー法が開発されました。
レノビーゴ(ゾンネボード製薬(株):図3)という商品名で、厚生労働省の認可を得て1993年から発売されています。フッ化物イオン溶液をスプレー式に応用する方法で、これまでにみられなかった応用方法である。(濃度:100ppm)

使用方法
  • まず、歯ブラシでよく歯を磨き、歯垢を落として口をすすぐ。
  • レノビーゴを5回から8回、歯に噴霧し、軽く磨いて、歯のすみずみにフッ化物イオンを行きわたらせる。噴霧を幼児が嫌がる場合には、歯ブラシにレノビーゴを噴霧した後、ブラッシングするのも一つの方法である。
  • レノビーゴでフッ化物イオンを歯のすみずみに行きわたらせた後、うがいをする必要はない。数回の噴霧量は約0.1mlなので、飲み込んでもフッ化物の摂取量は約0.1mgときわめてわずかである。

【4】フッ化物含有シーラント

 これは、萌出間もない六歳臼歯の咬合面の溝にフッ化物含有のセメントなどで一時的に塞ぎ、う蝕予防のために行う方法で、はっきりとターゲットを絞った永久歯のう蝕予防法である。

なお、シーラントは破折したり、外れやすいので定期的に管理の必要性があり、シーラントが取れたままだと逆にう蝕になりやすくなるので注意が必要である。

シーラント前           シーラントをした状態

  シーラント前              シーラントをした状態

【5】その他

現在、我が国では、う蝕予防のための全身に対するフッ化物応用は実施していないが、海外では、う蝕予防のために各種フッ化物を全身へ利用されている。

○フロリデーション(水道水へのフッ化物濃度調整)

その地域の上水道が自然な状態で含んでいるフッ化物をう蝕予防に適切な濃度に調整する方法である。

至適なフッ化物濃度は熱帯地区の0.7ppmから寒帯地区の1.2ppmまでの地域の気候により異なる。例えば、気温が高い地区では気温が低い地域に比較して、より多くの水を飲むため、低い濃度の設定がなされいる。

水道水へのフッ化物添加の予防率は、永久歯で50パーセントから60パーセント、乳歯で40パーセントから50パーセント(アメリカの初期の研究)である。

○フッ化物添加食品

食塩やミルクにフッ化物を添加し、日常生活の中でう蝕予防を行っている。特に、食塩にフッ化物を添加する方法は、地理的条件が悪く、しかも水道設備が悪い地域を中心に現在36カ国で実施されてる。この方法は、食塩1kgに約250mg(220から280mg/Kg)添加する。

○フッ化物錠剤(液剤)

フッ化物錠剤(液剤)のは、水道水のフッ化物濃度調整が実施されていない地区において、医師、歯科医師の処方のもとで利用される個人的な全身応用法であり、現在世界67カ国で実施されている。また、アメリカにおいては、2歳以下の幼児の15.1パーセントがフッ化物錠を使用している。(1989年現在)

※注フッ化物洗口法と他のフッ化物応用の組み合わせについて

 フッ化物洗口剤と他の局所応用との組み合わせて使用することは、一般的には相乗効果をもたらす。ただし、費用と便益効果が低い場合もあります。
 家庭では、一般的にフッ化物歯磨剤を使用している場合があるが、フッ化物洗口と併用して、毎日実施してもフッ化物の過剰摂取になることはありません。さらに、毎日のフッ化物洗口とフッ化物歯磨剤の使用に加え、年数回歯科診療所でフッ化物歯面塗布を受けても特に問題はありません。
 ただし、全身応用(水道水へのフッ化物濃度調整など)と局所応用の併用は、フッ化物の過剰となりうるので、各種多剤の局所応用と併用は避けなければなりません。
 しかしながら、平成21年度現在、日本では、全身応用は実施されていないので、局所応用の各種併用することに対して、安全性の問題はありません。

※フッ化物についての説明は、こちらもどうぞ
フッ化物(フッ素)を利用しよう!

 

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