整形外科が取り扱う疾患

発達遅延、発達障害

幼児期での発育が正常に行われているか否かの判断は専門医でも困難な事が少なくありません。個人差の存在と、本人からの訴えがない事が最も大きな理由です。従って、医師による診察、経過観察に加え、理学療法士による育児指導も実践しています。必要に応じてMRIなどの検査も行っていきます。発育遅延の原因が確定した時点で、治療に移行します。また、精神発達に関しては小児科常勤医が7名在籍しており、必要に応じて院内での紹介を整形外科から行っています。

脳性麻痺

出生時に未熟児、低体重などが誘引となった脳の病変が麻痺を引き起こす疾患です。

整形外科的治療に加え、自宅での生活指導、公的援助の申請など包括的な診療体制で治療にあたります。整形外科医のみならず、理学療法士、義肢装具士、社会福祉士が積極的に関わっていきます。

1, ボトックス

2歳以上で使用可能です。緊張した筋肉に一時的にボツリヌス毒を注入することで、緊張を和らげ、理学療法を併用することで、歩行の安定化を図ります。初回の注射に関しては入院をしていただいています。

2, 装具療法

整形外科医の処方により、専門の義肢装具士による作成が行われます。日に日に発育してゆく子ども達に適切な形状、サイズの装具を作成するために、ほとんどがオーダーメイドで、慎重に型取りが行われます。従って、完成までに通常1週間を要します。

3, 外科的治療

ボトックス治療を行っても、十分な効果が得られない場合、装具で対応できないほどの強い筋緊張が継続する場合は、手術が検討されます。筋力を出来るだけ落とさずに、緊張を軽減する目的で、緊張筋の腱様組織のみを選択的に切離する手術が全身麻酔下に行われます。術後2週間程度のギプス固定の後、装具を装着します。

二分脊椎

出生時点での脊髄の損傷が原因で麻痺が発生している病態です。まず、診察にて、麻痺の程度を評価します。その後、車椅子移動、杖歩行、装具装着での独立歩行など、個々に目標を設定します。残った筋力で可能な最大限の活動を日常生活で発揮できるために治療を行います。目標の日常生活に支障が生じる下肢の変形、関節の脱臼に対しては脳性麻痺同様、外科的治療が選択されます。

先天性股関節脱臼

外傷などによらない乳児期の股関節脱臼を指します。開排制限、脚長差、大腿皮溝の左右差を生じることが多いため、3-4ヶ月乳児健診にて該当する項目があれば、整形外科へ紹介となります。当院ではエコー検査をおこなって脱臼の有無を確認しています。脱臼が明らかな場合は月齢により以下の治療が実施されます。

生後3-6ヶ月 リーメンビューゲル装具を装着し、外来通院治療

生後7-12ヶ月 入院しての牽引治療

難治例に関しては手術療法を行うことがありますが、当院では可能な限り、上記保存的治療を選択しています。

ペルテス病

4~8歳の男児に発生します。病態は成人の大腿骨頭壊死症と同じです。大腿骨頭への血流障害が原因で壊死を引き起こす疾患です。ただし、成人の場合と異なり、壊死部の血流が再開し修復されます。発症年齢が低いほど短期間で、高年齢では修復に2~3年かかることもあります。治療法は発症年齢と病巣の範囲で決定されます。高年齢発症や壊死範囲が大きい場合は手術が選択されます。

先天性内反足

出生時に足部が内向きに変形していることで、発見されることが多い疾患です。徒手的に矯正し、ギプス固定で保持することにより、徐々に正常の形に戻していきます。徒手的に矯正されない変形が残存する場合は、手術を行います。

先天性筋性斜頚

頭が傾いていると指摘され発見されることが多い病気です。片側の首の筋肉が硬くなることが原因です。自然に改善することもあるので、経過観察をまず行いますが、改善傾向が無い場合は、手術を行います。

 

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