青方氏は鎌倉時代の初期から五島列島の青方(現・新上五島町青方)の在地領主として発展した。南北朝以降は松(まつ)浦(うら)党(とう)の一員として活躍し、近世では五島藩の家臣を、幕末には家老職を勤めた。旧蔵館である県立長崎図書館では青方氏に伝来した中世から近世に至る文書を一括して「青方文庫」(1,229点)として整理したが、そのうち鎌倉時代から戦国期に至る中世を中心とした文書(一部近世文書を含む)94点(成巻分73巻・その他21巻分)を「青方文書」として指定した。青方文書は、鎌倉幕府の訴訟制度や地方武士団の存在形態、南北朝期から室町期にかけての国(こく)人(じん)一(いっ)揆(き)の実態を知る史料として、また中世の漁業関係史料等として、質・量ともに県内に類例のない中世文書群である。
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