平河町2丁目通信


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VOL.2 「皿うどん」に関する一考察〜長崎と東京における食し方を中心に〜

                         皿うどん
                                             自作の皿うどん。海鮮等を入れなかったので具材がやや貧弱。
 「皿うどん」、それは「ちゃんぽん」と並んで長崎が世界に誇る二大郷土料理の一つである。それぞれがどのような料理であるかについては、ここで敢えて説明するまでもないほど昨今では関東地区においてさえも市民権を確立していると思われるので割愛させていただく。
 ちなみに二大というのは筆者の個人的見解であるので、人によっては「ちゃんぽん」が圧倒的に上位で「皿うどん」は2番手にすぎないという考えを持っているかもしれない。しかしながら、最も妥当な認識としては、「ちゃんぽん」と「皿うどん」は並列の関係であるというものであろう。
 筆者は根っからの「皿うどん」派であり、メニューに「ちゃんぽん」と「皿うどん」の両方があれば、99.9%「皿うどん」を注文する。また、ご存じの方もいらっしゃるとは思うが、「皿うどん」は2種類あり、麺を揚げてパリパリになっている「細麺」とちゃんぽん麺を使用した「太麺」がある。ここでも「細麺」派と「太麺」派に好みが分かれるところであるが、個人的には、基本は「細麺」、たまに気分を変えたいときに「太麺」といったところで、おそらくこれが一般的にもオーソドックスなスタイルであると思われる。

筆者は人生の大半を長崎で過ごしており、東京に「皿うどん」を食べられる店があるのかどうかまったく知らなかったのだが、実際に東京に住んで探してみると予想を遙かに超えるほど、東京で「皿うどん」が普及していることが分かった。中身についても、味も見た目もほぼ長崎で出てくる物と変わらないものがほとんどであり、大変嬉しく思った。

筆者が今回注目したいのは、「皿うどん」の長崎と東京での食し方の違いである。
 長崎においては「皿うどん」はウスターソースをかけて食べるのが基本である。「皿うどん」にかかっているアンは大変美味しいのだが、ずっと食べてるとやや舌がだるくなってしまいがちである。しかしウスターソースをかけると、ソースのスパイシーさがアンにピリリとした辛みを与えてくれ、それがだるくなりがちな舌を蘇らせてくれるのだ。さらに、アンにソースの旨味が一味加わることで、アンそのものの味を損なうことなく、その味わいをより一層の深みのあるものに変えてくれるのである。
 昔、長崎のとある中華料理屋さんが「『皿うどん』というものはウスターソースをかけることによって完成する」といった意味のことを言っていたが、まさにそのとおりであると思う。
 しかしウスターソースをかけることによる弊害も存在する。それは塩分である。ウスターソースをかけるとアンの塩気にソースの塩気までが加わってしまい、ちょっと塩っ辛い感じになってしまうのである。よって、塩っ辛い物があまり好きでない方にはウスターソースはあまりお勧めできる食べ方ではない。
 
ウスターソース一方、東京では「皿うどん」にはウスターソースではなく、酢と練りカラシで食べることが当たり前になっているようである。酢をかけるというのは長崎でもたまに見かけるが、カラシをつけて食べるというのは長崎ではほとんど見たことがなかった。これを見たとき最初はちょっとした抵抗感を覚えたものだが、実際に酢とカラシを使用してみたところ、酢がアンのこってり感をちょうど良い塩梅にさっぱりとしてくれて、またカラシはウスターソースとは違ったツーンとしたその辛さがアクセントになり、アンの旨味・甘味を引き立ててくれ、「皿うどん」を飽きることなく最後まで食べることを可能にしてくれるのである。
 しかし、こちらの食べ方にも問題がある。酢によっては酸味が強すぎる場合があり、その際、酢の酸っぱさが際だってしまい、アンの味わいを損なってしまうことがある。また、カラシのツーンとした辛さは子供には向かないという弱点がある。

このようにそれぞれに一長一短あるが、長崎の人間としてはウスターソースで食べたことがない方には是非とも一度ウスターソースで食していただきたい。実際、「皿うどん」には酢とカラシを使うのが当然と思い、「皿うどん」にウスターソースなんて、と思っていた東京の人に初めてウスターソースで食べさせてみたところ、たちまちウスターソースをかけた「皿うどん」の美味しさに目覚めたということがあった。
 もちろん、ウスターソースと酢及びカラシの違いというのは、そのまま長崎と東京の食文化の違いを反映しているのであり、東京で独自に培われた、と思われる東京式の食べ方を否定するわけではないが、敢えて筆者の私見を述べるならやはり、「富士には月見草がよく似合う」ように「皿うどんにはウスターソースがよく合う」と主張させていただきたい。(M.Y)
 (上の写真)長崎で皿うどんの出前を頼むと、このような栄養ドリンクの空き瓶にウスターソースが入ったものがついてくる。

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