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スナメリとは?
スナメリとは、クジラ目ネズミイルカ科に属する世界で最も小さなクジラ・イルカの仲間です。このスナメリは成長しても体長1.6〜1.7m、体重50〜60kg程度にしかならなず、寿命は20年〜30年程度と思われています。また、2年に1度程度、1頭の子供を生むと考えられています。外見上のイルカとの大きな違いは背びれがなく、またイルカのようなくちばしが無く顔が丸いことです。可愛らしい顔をしている事から水族館の人気者でもあります。
スナメリはインド洋〜南シナ海、揚子江、黄海〜韓国〜日本に生息していますが、日本では大村湾や有明海・橘湾のほか瀬戸内海や東京湾などで見ることができます。イルカのように外洋を回遊することはなく、沿岸5km以内、水深50m以下程度の海を好みます。
スナメリは水産資源保護法では保護動物に指定され、捕獲が禁止されています。水産庁のレッドデータブックでは希少種に、また、長崎県のレッドデータブックでも絶滅危惧U類にランク付けされています。

人間とスナメリの関わり
スナメリは沿岸の浅い海に棲息する事から、古くから人目に触れやすい動物でした。しかし、その肉はあまり美味しくなかったようです。1709年の「大和本草」には、“食スベカラズ”と書かれていますし、1738年の「長門国産物帳」には“民用利ナシ”と書かれています。スナメリから油を採ることはあったようですが、大きなクジラに比べると利用価値は低かったのでしょう。そのため、昔から漁獲対象にはなっていません。
漁業関係者にとって、スナメリは漁の邪魔をする事もありますが、イルカに比べるとその被害は非常に少なく、それほど嫌われているわけではありません。
また瀬戸内海では、かつてスナメリの後を追って魚を獲る“スナメリ網代漁”という漁法があり、スナメリは漁師から保護され、祀られてもいました。
ただ、多くの人にとってスナメリは、「益にも害にもならない動物」だったようです。そのため、人間の近くで生活する動物でありながら、これまであまり注意が払われませんでした。スナメリの好む沿岸の浅い海というのは、人間活動の影響を受けやすい場所でもあります。沿岸の埋め立てはスナメリの生活域の破壊につながりますし、生活廃水による水質の悪化はスナメリのエサとなる魚の減少を招きました。多くの人間の知らないうちにスナメリは、その数を減らしていったのです。
大村湾のスナメリ
長崎県には大村湾、橘湾、有明海にスナメリが住んでいます。中でも大村湾のスナメリは非常に数が少なく、絶滅も心配される状態になっています。大村湾ではイルカも見られますが、大村湾におけるスナメリとイルカの一番大きな違いは、イルカが西海橋の下を通って外洋と行き来しているのに対して、スナメリは基本的に大村湾から出て行かないという事です。大村湾のスナメリは、大村湾で生まれ、大村湾で育ち、20年から30年の時を過ごした後、大村湾で死んでいきます。彼らにとって、大村湾こそが世界の全てなのです。
現在の大村湾には、およそ300頭程度のスナメリが住んでいると言われています。昔の大村湾にどれくらいのスナメリが住んでいたのか? 2000年以前に科学的な調査が行われた事がないので、確かな事はわかりません。しかし、戦前の大村湾を知る漁師さんなどの話によると、今よりも遥かに多くのスナメリが大村湾に住んでいたのは明らかなようです。
大村湾のスナメリは食物連鎖(野生での「食う」―「食われる」の関係)の頂点に位置する動物です。スナメリが生きていける海というのは、スナメリを養うことの出来る豊かな海を意味します。昔の大村湾は、たくさんのスナメリを養う事のできるとても豊かな海だったのです。
しかし今では、大村湾でスナメリを見ることは簡単ではありません。
これからの大村湾とスナメリ
もし、大村湾からスナメリがいなくなったら・・・大村湾はどうなるでしょう? 食物連鎖の頂点に位置する動物を失うということは、例えるなら、ライオンのいないアフリカのサバンナやトラのいないアジアの森林、もしくはツシマヤマネコのいない対馬のようなものです。
スナメリが生きていけないほど魚介類の少ない大村湾。想像できるでしょうか?しかし、今や大村湾のスナメリは絶滅の恐れがあります。スナメリが住めないような大村湾は誰も見たくないはずです。これからもスナメリが安心して暮らせる大村湾であってほしいものです。
スナメリをこれ以上減らさないためには、スナメリが減った原因を探って、それらを取り除かなくてはいけません。まずは、スナメリのエサとなる魚介類を増やさなくてはいけません。魚介類を増やすには、大村湾の水をきれいにする事が重要でしょう。ですから、スナメリを増やす事は簡単ではありません。
しかし、大村湾の環境をこれ以上悪化させないためにはどうしたら良いのか? 昔のような豊かな大村湾を取り戻すためにはどうしたら良いのか? 皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
大村湾のシンボルとしてのスナメリ
大村湾は、これからもスナメリが安心して暮らせる豊かな海であって欲しい。そのような思いをこめて長崎県では「スナメリと共に暮らせる湖(うみ)づくり」をキャッチフレーズに大村湾の環境保全に取り組んでいます。
スナメリについてさらに詳しく知りたい方はこちらもご覧下さい。