ツクシシャクナゲ(ツツジ科)は,雲仙山系には産出せず、多良山系と西彼杵半島の山地に分布する。東彼杵郡の虚空蔵山と、五島列島中道島の三王山に分布していたが、現在は自生が見られなくなった。シーボルトが命名した花でもある。大形の常緑の葉をつけ、花は7数性で萼(合片萼)と花弁は7枚(合弁花冠)、雄しべの数は14本である。一方、他のツツジの仲間は一般に5数性である。
マンサク(マンサク科)は県下では多良山系特産種で、経ヶ岳、五家原岳、多良岳の山頂の夏緑林帯に生育する落葉樹である。早春、葉を落としたまま他の落葉樹に先駆けて黄色のリボン状の花弁を開く。この花に出会うと冬を耐えてきた生命力と春の息吹をなんとなく感じる。このように他に先駆けて先ず咲くことから、あるいは満ちて咲くことから、マンサクという名前がつけられたとも言われている。
オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)は、最初に確認されたのが多良岳産のもので、牧野富太郎によって学名と和名がつけられた。キツネノカミソリ(葉の様子をカミソリに見立てたことに由来する)より少し大きく、6本の雄しべが花弁の外につき出るのが特徴で、7月下旬頃一斉に花をつける。多良の山中には、いたるところに大群落があり、花の時期は一面のオレンジ色に林間が染められる。

ツクシシャクナゲ マンサク オオキツネノカミソリ
県内では、モミ林よりもツガ林が極めて稀で、多良山系、雲仙にわずかに自生している。モミとツガの違いは葉の形にあり、モミは葉先が2裂となって尖るが、ツガは丸く、裏面に白い線が2個あることで区別できる。ツガはマツ科で、2月頃花を開き、球果(まつかさ)は秋に成熟する。材は楽器や船舶材、パルプなどに利用される。モミは日本特産で、南限は九州。マツ科で、この仲間は北日本に多いが、モミに限っては南日本ほど多く、九州の山にはどこにも見られる。五家原岳や雲仙のアザミ谷一帯には高さが20mを超す大木がある。針葉樹の中では樹形がよいためクリスマスツリーとしても有名だが、冬に落葉した夏緑林の中に、くっきりと緑黒色のモミが林立している姿は力強さを感じさせる。葉は長さ3cm位で、葉先がわずかに2裂するのが特徴で、樹上に大きな球果が着く。

鳥甲岳に多く見られるツガ 五家原岳のモミ
ブナは冷温帯を代表する落葉樹で純林をつくる。葉のふちに波状の鈍きょ歯をもち、果実はソバに似た三稜形のドングリをつけ、幹が滑らかで灰白色ということで見分けることができる。県下では海抜1,000mを超す雲仙山系のアザミ谷の一角や多良山系の経ヶ岳付近の尾根筋やタワラギ山一帯に分布するが、その量は少ない。多良山系のブナは日本における分布の西限である。日本のブナ林の生態的な特徴はスズタケなどのササ類と結びつくが、経ヶ岳のブナ林にはササ類は全くない。九州や四国などに産するブナの葉の大きさは東北や北陸のそれより小さい。雪が少ない日本南西部で乾燥化が進行するなかで、葉を小型化することによって不利な環境に順応・適応していったといわれる。かつて、役立たずの木「きへんに無=木ではないの意」として伐採されてきた歴史があるが、今は水資源としての貴重樹木として見直されている。

