・湖畔と地獄の周回コース
@雲仙公園ビジターセンター(国道を仁田峠方面へ進む)→Aホテル東洋館前(国道から左に分かれる道を千々石方面へ下る)→B鴛鴦ノ池(ダムの堰堤を渡り、歩道を道なりに進む)→C湖畔→D小浜町上水道事務所(事務所の脇を進み、車道へ出ると左に曲がり、車道の突き当たりから左側歩道を進む)→E池の原(国道を仁田峠方面へ進むとすぐに右側に未舗装の林道が現れる。二股に分かれており左側の林道を進む)→F矢岳登山口(左手に矢岳登山口を見ながら歩道を進む)→G大叫喚地獄(地獄の中の遊歩道)→@雲仙公園ビジターセンター(全140分)
   
                    雲仙地獄
・夕陽を楽しむ絹笠山登山コース
@雲仙公園ビジターセンター(国道を小浜温泉方面へ進む)→A白雲ノ池分岐(右に曲がる)→B白雲ノ池キャンプ場(管理棟脇の歩道を登る)→C絹笠山(反対側歩道を進む)→D体育館(車道へ出ると右に曲がる)→E原生沼(原生沼の向かいのテニスコート脇の歩道を進む)→F旧八幡地獄→@雲仙公園ビジターセンター(全120分)
    
                  絹笠山登山道
・温泉街を眺める矢岳コース
@雲仙公園ビジターセンター→G大叫喚地獄(地獄脇の九州自然歩道を登る)→F矢岳登山口分岐(右側矢岳登山道を登る)→A矢岳(来た道を戻る)→@雲仙公園ビジターセンター(全120分)

・もうひとつの温泉とロッキーヒル高岩山登山コース
@雲仙公園ビジターセンター(国道横の駐車場の奥にある雲仙測候所脇の車道を通り、美化センター先の左側歩道に入る)→A小地獄(車道を左折)→B宝原園地(車道の突き当たりから右側の歩道を進む)→C高岩神社参道 →D高岩山(全90分)
アクセス
・諫早駅前バスターミナル(県営・島鉄バス・90分)→@新湯    *「雲仙」行き

施設
・雲仙公園ビジターセンター/雲仙の自然や歴史を、写真やジオラマなどでわかりやすく紹介。自然教室、自然観察会なども開催。
                   入館無料。木曜休館。
・白雲ノ池キャンプ場/湖畔の林の中に常設テントを設置。釣り、ボートも楽しめる。4月1日〜11月30日まで開設。
                   (問い合わせ/自然公園美化管理財団雲仙支部)

景観:バードウォッチングが盛んな鴛鴦ノ池や白雲ノ池、地獄や原生沼など特異な環境に適応しためずらしい生物、ミヤマキリシマが圧巻の池の原や宝原など、温泉街周辺はさまざまな表情を持つ自然に恵まれている。また温泉街を取りまく矢岳(940m)、絹笠山(870m)、高岩山(881m)からの景色もそれぞれ趣がある。  
        
  森に囲まれた雲仙温泉街。手前は白雲ノ池             原生沼の春。
                                     カキツバタやミヤマキリシマが咲き誇る
地質:雲仙の温泉街に着くと、白い湯煙と独特の硫黄の臭いが印象的である。雲仙地獄の最も温度の高いところは90℃を超すほどである。この地獄からは水蒸気のほか二酸化炭素、硫化水素(腐卵臭)がおもに噴出している。温泉の湧水区域は、南北1km、東西0.5kmに及び、北から別所、古湯、新湯の3地区に大別され、さらに南に小地獄がある。新湯の地獄地帯を西から東に歩くと、地獄の盛衰がわかる。絹笠山のふもとの原生沼周辺には白く変色した岩石が、植物の間からのぞいている。これはずいぶん昔の地獄らしい。そこからテニスコートの脇を通り抜けると、旧八幡地獄地帯に入るが、地面は白く変色しているものの、噴気はほとんどない。ここも以前は噴気活動が見られた所であった。国道57号線を越えて清七地獄に入ると、噴気は上がっているが、さほど強いものではない。遊歩道をお糸地獄の方に上がって行くにつれて、徐々にその活動が活発化していくのがわかる。最も活発なのが大叫喚地獄である。もうこれは山際に迫っており、すぐそばにまだ植生もある。このように、地獄の活動場所は徐々に西から東へと移動しているのである。この移動方向が普賢岳の方向であるのは興味深い。



昆虫:地獄周辺は裸地になっているから昆虫は少ないが、ハマベハサミムシ・ナミハンミョウが棲んでいる。付近の草むらや石の間は冬でも温かいので熱帯から日本に帰化したカマドコオロギが棲みついている。卵売場の小屋に棲みついたのもいて、夜出かけると可憐な声で「チリチリチリーーー」と鳴いているのを楽しめる。雲仙の温水が流れる溝には温泉に固有なユスリカ(蚊に似た昆虫だが蚊ではない)の一種が大発生し、地元では「湯虫」と呼ばれ、電灯や窓に集まってくるので不快昆虫の一つになっている。でも観光客を歓迎してくれているのだなあと虫嫌いの人も我慢してやってほしい。雲仙が国立公園になるずっと以前から住んでいた先住者なのだから。
 原生沼にはミズゴケとアシなどがぎっしり生え、水面は最近ほとんど見られなくなり、トンボの生息には厳しくなってきた。自然の成り行き(遷移)ではあるが、水面を人工的に小面積作ってやるとトンボが棲みつく。以前はヒメアカネがたくさんいたが今は見られないようである。周囲にあるコンクリート製の枡にはギンヤンマの幼虫がたくさんいる。時たまホバリングしているのは金緑色のタカネトンボである。



野鳥:温泉街の両側の絹笠山と矢岳の林では、春から初夏にウグイス・シジュウカラ・ヤマガラ・キビタキ・オオルリ・ホオジロ・ホトトギス・カッコウなどがさえずり、まれにヤマショウビンが鳴くこともある。この付近の鳥を見るには、矢岳山麓を一周するコースが鳥との出会いが多くてよい。冬季はジョウビタキ・ルリビタキ・シロハラ・ツグミ・アトリ・マヒワ・アオジ・ミヤマホオジロなども渡来する。鴛鴦ノ池にはマガモ・カルガモ・コガモ・ホシハジロ・キンクロハジロ・スズガモなども渡来越冬する。池の周辺の林にはホオジロ・ウグイス・シジュウカラ・ヤマガラ、冬季はアオジ・ミヤマホオジロなども見られる。噴煙のある地獄付近にもヤマガラ・シジュウカラなどが飛来し、噴煙の出ている地上近くでキセキレイの繁殖例もある。


植物:温泉街には原生沼湿原と地獄と呼ばれる硫気孔があり、この地域にしかない特殊な植物相を見ることができる。
 原生沼は面積1.2haの湿原で、国の天然記念物に指定されている。ミズゴケ類の他、ヤマドリゼンマイ・カキツバタ・レンゲツツジ・モウセンゴケ・ヒゲアブラガヤなどの湿生植物が見られるが、特にカキツバタ・レンゲツツジ・ミヤマキリシマの花々が一斉に咲く5月上旬頃が最高だ。
 地獄では、亜硫酸ガスを噴き出す硫気孔の周辺にツクシテンツキ群集が発達している。ツクシテンツキは九州の火山に固有の植物で、旺盛な生命力を誇る。一方、アカマツ林に混じってシキミ・ネジキ・シャシャンボ・ナツハゼなどの樹木とシロドウダンが目につくが、シロドウダンは地獄周辺に特に多く、5月白色のつぼ型の花が咲き美しい。そのため「地獄地帯シロドウダン群落」として国指定天然記念物となっている。地獄一帯には、ウンゼンザサも多く、冬に雪をかぶったササ原は地獄のもう一つの風物詩となっている
    ツクシテンツキ(カヤツリグサ科)     シロドウダン(ツツジ科)            ウンゼンサザ(イネ科)
噴気がない旧八幡地獄
カマドコオロギ
シロハラ
ミヤマキリシマ(ツツジ科)