・九千部岳コース
@田代原(駐車場から西に、橘神社に下る車道を進むと、左に入る山道がある)→A九千部岳(頂上から下った鞍部を左に進む)→
B牧場歩道(左折)→@田代原(全180分)

・吾妻岳コース
@田代原(駐車場から橋を渡って歩道を進み、道標にしたがって登山道に入る)→A吾妻岳→@田代原(全90分)

・鳥甲山コース
@田代原(駐車場から県道を東に進む)→A牧場管理舎(左折して、神代方面へ県道を1kmほど進むと、右にNTT道路があるので入る)→B無線中継所(南側の小道に入る)→C鳥甲山(往路を戻る)→@田代原(全170分)
  *牧場内を通るときは、牛が逃げないように戸の開け閉めをきちんとすること。

アクセス
・田代原まで自家用車で入るのが便利。公共交通機関の場合は、諫早駅前バスターミナルから90分で雲仙公園バス発着所に着き、そこから車道を歩いて第2吹越に至り、その先から標識にしたがって九州自然歩道を通って行くことになる。

施設
・田代原キャンプ場/管理事務所、トイレ、シャワー施設が整備された高原のキャンプ場(7月中旬〜9月中旬まで開設)。隣接地にはトレイルセンターがあり、周辺の自然を詳しく案内してくれる。(問い合わせ/千々石町役場)

景観:標高600m程の田代原は牛が草を食む美しい草原。その北側にそびえる吾妻岳(870m)の山頂は木が茂っているが、九千部岳方面の眺望はよい。鳥甲山(822m)からは田代原が一望でき、その先に遠く橘湾が輝く。九千部岳(1062m)では普賢岳や国見岳、妙見岳が眼前に迫り、眼下に広がる一面の樹海は、新緑や紅葉のとき一段と輝きを増す。
        
       田代原と九千部岳            吾妻岳の断層崖。断層崖下を横に九州自然歩道が走る      九千部山頂近くの尾根道
地質:愛野展望所の直下は高さ約100mの断崖になっている。これは千々石断層と呼ばれる活動度第1級の活断層である。島原半島の大地には南北に引っ張るような大きな力がはたらいている。そのために地面には東西に延びる割れ目が発達する。この割れ目がどんどん開いていくと、ついには地面に段差ができて、千々石断層のような大きな崖にまで発達するのである。田代原はこの断層でできた盆地である。また展望所から千々石の海水浴場に向かう国道57号線は、断層の崖を斜めに降りていく道などである。
 これとは別に、国道251号線の深江町から布津町に入る坂道では、深江断層や布津断層を見ることができる。
 地質学的には200万年程前から現在までに動いた証拠のある断層を「活断層」と呼ぶが、島原半島にある断層は今も動いているものが多い。
動物:ヒキガエルが田代原の水場に産卵する。2月頃の暖かい小雨の降る夜、付近のヒキガエルが一斉に集まりいわゆる蛙合戦といわれる産卵行動が始まる。多数の雌雄のカエルが押し合いへし合いしながら産卵する様は見ていて実に楽しい。産卵期の雄は前足をつっぱり雌の来るのを今や遅しと待ち続けているのである。
          ヒキガエルの雄
昆虫:田代原には牧場があり、黒い牛がいっぱいいるが、牛糞には糞を餌にする昆虫が集まってくる。中でもダイコクコガネは犀のような大きな角を持った、黒光りのするコガネムシの一種で、コウチュウ類に関心がある人なら一度は採集してみたい憧れの昆虫である。糞の下30cmの所まで潜っていることもある。このように牛糞がないと生きていけない昆虫もいて、牧場では糞の掃除役の働きをしている。
 夏はミンミンゼミが名物である。川もあり、ミルンヤンマ、ヤマサナエ、コオニヤンマ、クロスジギンヤンマなどのトンボ類も見られる。秋にはコノシメトンボ、マユタテアカネなどの赤トンボがたくさん見られる。
植物:初夏から晩秋にかけて牛の放牧場となる広大な田代原とその周辺の山々には、5月ミヤマキリシマの花に始まり、初夏にはニシキウツギとヤマボウシ、秋の草原はリンドウ・ウメバチソウ・アキノキリンソウ・ウンゼントリカブトなどの野草が咲き誇る。その他、シラヤマギク・ヤマシロギク・シロヨメナ・オオバヨメナといった野菊が多いのも特徴である。
 九千部岳の登山道には、ジンジソウ・ヤマホトトギス・オカトラノオ・クサアジサイなどが、そして山頂部の岩場にはヒカゲツツジが多く、低木の続く夏緑林帯となっている。
 田代原をはさんだ吾妻岳は頂上から西斜面には比較的広い草原が広がり、春にはヤマルリソウ・ツクシショウジョウバカマなど、秋にはオミナエシ・ナガサキシャジン・アキチョウジなどの美しい花が咲く。

 ウメバチソウ      ジンジソウ        アキチョウジ(シソ科)
(ユキノシタ科)       (ユキノシタ科)


野鳥:九千部岳から田代原が鳥の生息の中心になり、春から夏にはオオルリ・キビタキ・ホトトギス・ツツドリ・カッコウ・ヤブサメ・センダイムシクイなどが渡来し、留鳥のウグイス・シジュウカラ・ヤマガラ・ミソサザイ・ホオジロなど共によくさえずり、稀にジュウイチも渡来する。田代原ではコジュケイも鳴きキジも多い。秋にアトリやマヒワの群れが渡来し、ルリビタキ・ジョウビタキ・ミヤマホオジロ・アオジ・クロジ・ウソ・イカルなども渡来する。夏は多くの鳥で賑やかであるが、冬季、九千部岳の上部では鳥は極めて少なくなる。
    センダイクイムシ       コジュケイ           クロジ