長崎県立総合体育館 Nagasaki Sports Finder 

 スポーツ選手の動作分析 戻る 

1.基本的な考え方2.目的3.システムの概要
4.動作分析の実施内容5.選手、指導者への還元
平成15年度 スポーツ選手の動作分析実施要項

 県立総合体育館で実施している「スポーツ選手の動作分析」事業は,平成6年4月の開館以来,1年間の準備期間を置き, 平成7年度より事業を発足した。
 競技動作の動作分析を活用することによって,長崎県スポーツ選手の競技力向上につなげることを目的に,「スポーツ選手 の動作分析システム」の普及・開発に努めている。
 開館より8年を経過したことから,あらためて県立総合体育館で実施している「スポーツ選手の動作分析」事業の内容を 理解していただくとともに,これからの積極的な活用により,競技動作の問題点や改善点を 把握し,それぞれの競技における「技術」の向上を図っていただきたい。

1.基 本 的 な 考 え 方

 スポーツの競技成績を決定づける要因として,「体力」「技術」「戦術」「精神力」「状況判断力」 「コンディショニング」「体格」「環境適応能力」など,さまざまな要素が考えられる。なかでも, 「技術」は,スポーツの競技成績を決定づける代表的要因の一つである。
 競技パフォーマンスを高めるためには,競技に必要な「技術」を高めることが大切である。そのためには, それぞれの競技で,より高度な「技術」を収得するための動作の改善が必要である。
 近年,バイオメカニクスの研究は,測定機器や解析方法の開発進歩に伴い目覚ましい発展を遂げている。
 当体育館においても,2次元・3次元動作分析システムや最新の測定機器を使った「スポーツ選手の 動作分析」事業を行い,競技力の向上を図っている。
 動作分析で得た「技術」の改善に必要な選手の情報を,科学的に分析することによって,動作を客観的に把握し, 競技パフォーマンスを高める「技術」の改善を行うものである。
 なお,技術指導については,それぞれの競技の高度な専門的知識を必要とすることから,原則として,動作分析を 受ける選手・指導者が中心となって技術分析を行うものとする。
2.目  的

 スポーツ選手と指導者に対して,ハイスピードビデオシステムやホームビデオによって撮影した 「競技動作」の映像を客観的に分析することによって,競技力を支える重要な要素である「技術」の 改善を図るために必要な情報を提供し,競技力の向上に資する。

3.シ ス テ ム の 概 要

 「スポーツ選手の動作分析」システムは,競技動作の「映像中心の撮影」,「2次元動作分析」, 「3次元動作分析」を実施している。
 「2次元動作分析」は,競技動作を平面的に捉えたものであり,「3次元動作分析」は立体的に捉えたものである。 なお,これらの内容については後述する。また,「スポーツ選手の動作分析」システムの流れを <図1>に示した。
 本館では,3月末に新年度の「スポーツ選手の動作分析」実施要項と申込用紙を,県内のスポーツ競技 団体,高等学校,各市町村教育委員会に送付している。
 この申し込みによって,本館における動作分析の年間事業計画を作成している。ただし,事業の実施状況に応じて,年度途中の申し込みも受け付けている。

(1)事前準備

 この過程では,提出された動作分析の内容や年間活動計画から,撮影日程や希望する動作分析の 内容に沿った撮影方法や分析方法を,具体的に検討する。

(2)当  日

 屋内競技については,県立総合体育館施設内での撮影を基本としているが,選手・指導者の意向, 競技種目の特性等を考慮して,試合会場や日頃活動をしている練習場所に出向き,分析する競技動作 を撮影する。

※ 県立総合体育館で動作分析を実施した場合,簡単な2次元の分析や大型スクリーンを使った 「技術」の比較考察,映像のカラープリントの還元(動作の連続写真)や違った方向から撮した 映像を,スクリーンの同じ画面上で見ることができる。

(3)事後報告

 できるだけ早く現場の実践に活用できるように進めている。また,選手・指導者の希望によって, 当体育館のバイオメカニクス室を使った報告ができる。
 視覚的な競技動作の映像と,2次元・3次元の動作分析で得られた分析結果から,競技動作の 「技術」の改善を図る情報を提供する。
 一般的には,映像のカラープリント還元(動作の連続写真)や4分割画面の映像,4分割画面の それぞれの映像と,2次元・3次元の分析結果を添えて報告している。

4.動作分析の実施内容

(1)映像を中心とした競技動作の撮影
 優れた指導者は,選手の競技動作を見るだけで,競技パフォーマンスを支える「技術」 の改善に必要なポイントを見つけることができる。 経験や勘を主体にした指導方法では あるが,競技力の向上を図るためには大変効果のある指導法の一つである。
 このことから,競技動作に応じた撮影を行い,選手や指導者に還元する。
 例えば,1秒間に60画面で分析できるような競技動作であれば,普通のビデオカメラで 撮影する。
 また,野球やゴルフのスイング,卓球やテニスのサービスなどのように,早い競技動作の 撮影については,高速度ビデオカメラで撮影する。
 スポーツ選手は,試合で最高のパフォーマンスを発揮することが多いことから,試合時の 競技動作を,複数の高速度ビデオカメラや普通のビデオカメラを使って撮影する。この映像は, 同期ユニットやタイマー,4分割装置を使って貴重な動作分析の資料となる。
 競技動作の,映像を中心とした競技動作の撮影では,それぞれの競技をネット型,ゴール型, 一般型に大別して撮影を行う。なお,下記の競技は,これまで「スポーツ選手の動作分析」を 実施した競技である。

5.選手,指導者への還元

 「スポーツ選手の動作分析」では,競技動作を撮影した映像や,2次元・3次元の動作分析で 得た情報によって,競技に必要な「技術」を高める動作の改善の情報を提供している。
 スポーツ競技選手にとって,ハイスピードビデオシステムやホームビデオによって撮影した 「競技動作」の映像を客観的に分析する事は,競技パフォーマンスを高めるうえで重要な意味を 持つ。
 つまり,映像や2次元・3次元の分析結果から,動作の問題点を把握することができたり, どこに重点を置いて「技術」を高める動作の改善を図ればよいのかを導き出すことができる。
 このように,競技動作を正確に把握することによって,選手の特性に応じた,競技パフォー マンスを高めるための効果的な競技動作の改善を図ることができる。
 また,競技動作を継続的・定期的に比較分析することで,競技動作を点検し,改善効果を 確認することができる。

【 還 元 内 容 】
(1)大型スクリーンを使った分割映像での「技術」の比較考察
(2)大型スクリーンを使ったスロー映像での「技術」の比較考察 
(3)映像のカラープリント提供
(4)連続写真の提供
(5)撮影した競技動作の同期映像の提供
(6)2次元動作分析結果報告
(7)3次元動作分析結果報告

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