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輝く人たちが暮らすまち長与町。自分の好きなことを自然体で追求する----このまちにはそんな輝く人たちが大勢いた。
ニコリスト1 アンティークをこよなく愛する 町田裕司さん 富美子さん

 

まちだゆうじ・ふみこ

20年ほど前に長崎市内で妻の富美子さんがアンティークショップを開業。その後、長与町高田(こうだ)郷に店を移転し、ご主人の裕司さんと一緒に経営を始める。12年前に大村湾を望む長与町岡(おか)郷へ再度移転し、現在に至る。商品への信頼度が高いことから、地元だけでなく県外からも足を運ぶ根強いファンが多い。

このコーナーでは地域を愛する人で、伝統芸能や伝統技術を大切に守り伝えている人やまちおこし・珍しいことに取り組んでいる人などをご紹介します。

町田裕司さん
時を経たものだけが持つゆるぎないもの

「シシングハースト」は、大村湾を望む静かな場所に佇(たたず)んでいる。自然豊かな環境が気に入って町田(まちだ)さん夫妻がこの場所に店を移転したのは12年前のこと。長与町生まれの裕司(ゆうじ)さんにとっても、隣町である時津町生まれの富美子(ふみこ)さんにとっても、この土地は馴染(なじ)み深い場所であり、なによりアンティークを販売するには絶好の環境であった。移転後は「アンティークを見に来られたお客様にゆっくりしていただきたい」と、カフェを併設。こちらも平日でも客足が途絶えることがないほどの人気店となった。
 店の扉を開けると、時間が止まる。そこにはセピア色の世界が広がっていた。この店で扱っているのは、主にイギリスのアンティーク。商品は年に2、3回、2人で渡英し、自ら探すという。アイテムは家具だけでなく、アクセサリーや食器、布製品など多岐に渡る。選ぶ商品の基準は年代、材質、虫食いがないかなど、クオリティーの高さはもちろんだが、2人が最も大切にしているのは、それが「好きなものである」こと。売れると分かっていても、愛着が湧(わ)かなければ買わないという潔(いさぎよ)さが格好いい。
アンティークをメンテナンスするのは、裕司さんの仕事だ。「きれいにし過ぎてもいけない。持っている雰囲気を大事にしながら使いやすいように手を入れることを心掛けています」と裕司さん。
店を始めた原点は富美子さんにあった。「小さい頃からノスタルジックなものが好きで、アメの包み紙さえも捨てられなかったんですよ」。大人になり、長崎に思うようなアンティークショップがなかったため、ついに自分で店を持つことにした。富美子さんはアンティークの魅力を「時を経たものだけが持つゆるぎないもの、新しいものには醸(かも)し出せない美しさがあります」と話す。
2人の夢を尋ねると、裕司さんが「このままつつがなく過ごしたい」と笑った。豊かな時間が流れる店内にいると、それが心からの願いであることが理解できる。誰かが大事に使っていたものをまた別の誰かの手に届けていく——。2人の仕事は、まるで時を繋(つな)ぐ架け橋のようである。

 

 

【問合せ先】
Sissinghust(シシングハースト)
長与町岡郷1670-3 TEL:095-887-3878

ニコリスト2 長崎県立大学シーボルト校の名物サークル映像制作団体Siebo

 

映像制作団体Siebo えいぞうせいさくだんたいしーぼ

長崎県立大学シーボルト校のサークル。映像、音声、出版物など、各種作品の自主制作を行っている。制作した映像はYouTube(ユーチューブ)にて配信。地域のイベントなどにも参加し、学内だけでなく学外でも活動の輪を広げている。

雲仙市立小浜中学校吹奏楽部

待っていたのは、最高のキャンパスライフ。モノづくりって、本当に楽しい!

 長崎県立大学シーボルト校に面白いサークルがあると聞き、訪ねた。案内されたのは、メディア調整室を兼ね備えたスタジオ。大学とは思えない、テレビ局並みの設備である。
 「映像制作団体Siebo(シーボ)」は、インターネットテレビ、ネットラジオ、フリーペーパーを中心に様々な活動をしている総合メディアサークル。創部5年目の新しいサークルだが、昨年はNHK杯においてライブ部門とCM部門で3位入賞を果たすなど、その実力は本物だ。現在部員は94名。その大半が情報メディア学科の学生で、それぞれが報道やドラマ、ドキュメンタリーやショートムービーなど、興味のある分野で活動をしている。代表を務める河野美来(こうのみく)さんは「授業で学ぶのは映像制作の基礎。サークルでは各自が作りたいものを形にするためにはどうすればいいのかを考えながら取り組みます。サークルは授業の応用編ですね」と話す。
 同サークルが制作した映像はYouTubeにて「siebocom」と検索すれば、誰でも観ることができる。実際に観てみると、学生たちが楽しみながら映像を制作していることが伝わってくる。撮影や編集はもちろん企画や脚本、役者までこなすため、1人1人の学生に求められるものは大きい。サークル活動の魅力を河野さんは「取材する中で多くの人に出会い、この活動をしていなかったら決して聞くことのできない貴重な話を聞けるのが楽しい」と言う。また、副代表の谷川翼(たにがわつばさ)さんは「カメラワークや絵コンテを考える時間が楽しくてたまらない」と話してくれた。
 しかし、イメージ通りの映像が撮れなかったり、どう編集したらいいか迷ったりと、出来上がりまでにはいくつもの壁もある。完成品を観た他のメンバーから容赦(ようしゃ)のない厳しい言葉をぶつけられることもあるという。でも、だからこそ納得できるものが出来た時の喜びは大きい。
現在、3年生の2人は就職活動中。河野さんは報道に、谷川さんはドラマやバラエティー番組の制作に興味があり、2人ともテレビ局への就職を希望しているという。2人に共通しているのは「映像を通して多くの人に伝えたい」「一生を通してものづくりをしたい」という、サークル活動を通して築き上げてきた想い。彼らのこれからに期待したい。

 

【問合せ先】
長崎県立大学シーボルト校(映像制作団体Siebo
長与町まなび野1-1-1 TEL:095-813-5500

ニコリスト3 九州初の試みでまちづくりに取り組む長与町オリーブ振興協議会

 

おりーぶしんこうきょうぎかい

平成21年7月、荒廃地を利用してオリーブ栽培を広める目的で設立。地道な活動を続け、現在、長与町での栽培面積は約7.7ヘクタールまでに拡大し、植栽総本数も4,800本と増え続けている。会員は36名。

このまちを元気にしたい。その想いがオリーブの木にたくさんの夢を実らせる。

 長与町を代表する特産品といえば、みかん。しかし、みかん農家の高齢化に伴い、近年は農地の荒廃化が進んでいる。この状況をなんとか打破したいと立ち上がったのが、福田傳(ふくだつたえ)さんをはじめとする10数名の有志だった。みかん栽培は重労働の上、大変な手間を要する。高齢になっても栽培できる、みかんに代わる新しい作物はないだろうか——。
 そんなとき出会ったのがオリーブである。福田さんたちはオリーブの島とも呼ばれる香川(かがわ)県の小豆島(しょうどしま)へ見学に行き、比較的育てやすく、耐久性の強いオリーブなら長与町でも栽培できるのではないかと確信を持ったという。そして平成21年、「長与町オリーブ振興協議会」を設立。現在、36名の会員がそれぞれの畑でオリーブ栽培に力を注ぎ、取り組みは実りつつある。荒廃地をオリーブ園に蘇(よみがえ)らせる試みは九州で長与町が初めてとあって、今では九州各県から視察団が訪れるまでになった。
 会員の1人、浜口格(はまぐちいたる)さんのオリーブ園を訪ねた。海を見下ろす段々畑には、たくさんの実を付けたオリーブの木が植わっている。「オリーブの木は実を付けるまでに5、6年かかるといわれています。私が木を植えたのは4年前。こんなに早く実を付けるなんて大成功です」と浜口さん。
 成功の影には、大いなる支援と努力があった。同会は小豆島のオリーブ園と技術提携を結び、全面的な支援を受けているほか、自身でも定期的に剪定(せんてい)の講習会を行うなどして技術力を高めてきたという。また育てやすいとはいっても、やはりオリーブも生きもの。浜口さんは「愛情を注ぐ、手をかけるほどに応えてくれます」と話す。
 まだまだ長与町のオリーブ栽培は始まったばかり。1昨年はオリーブオイルの商品化に成功したものの、昨年は天候不良のため収穫量が少なく、商品の生産ができなかった。「でも、今年は楽しみにしていてください。年内には良質のオリーブオイルができますよ」と福田さんは満面の笑みを浮かべた。今後は、長与町の新しい特産品として、商品を展開していく計画だ。長与町がオリーブのまちになる日もそう遠くはないかもしれない。

 

 

【問合せ先】
長与町オリーブ振興協議会
長与町斉藤郷568 TEL:095-883-1549

長与町役場農林水産課
長与町嬉里郷659-1 TEL:095-883-1111