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平成25年2月18日 平成25年2月定例月議会における知事説明

 説明に入ります前に、去る2月8日に発生した長崎市内の認知症高齢者グループホームの火災事故によってお亡くなりになられた方々並びにご遺族の皆様に心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。7年前に大村市内のグループホームで火災事故が発生して以降、市町や事業者の方々とともに再発防止に努めてきた中で、このような痛ましい事故が発生したことは痛恨の極みであります。
 事故後、県では直ちにすべての市町に対し、各グループホームにおける防火対策の徹底とスプリンクラーの設置等について指導強化を求めるとともに、県所管の199施設に対し、建築基準法に基づく緊急査察を始めたところであり、今後も防火安全対策の一層の強化に取り組んでまいります。

 それでは、平成25年2月定例月議会が開会されるに当たり、県政運営についての所信を申し述べますとともに、平成25年度当初予算案について、その概要をご説明申し上げます。

 我が国の景気は、「弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しも見られる」とされており、また最近は、過度な円高の動きは修正されつつあり、株価も回復し始めているものの、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっているほか、デフレの影響等にも注意が求められております。
 一方、本県の景気は「弱含んでいる」とされており、昨年12月の有効求人倍率は、前月と同じ0.65倍と、依然として厳しい雇用・所得環境が続いております。
 このような中、去る1月、国において、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3分野を重点とする「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が決定され、事業費規模で20兆円に上る補正予算案が現在、国会において審議されているところであります。また、国は、平成25年度予算を今回の補正予算と一体的なものとして編成することによって、切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れの回避とデフレからの早期脱却及び成長力の強化を図るとしております。
 県としても、こうした国の動向を踏まえ、地域経済を下支えする公共事業や、離島の産業の活性化に直接波及する離島輸送経費の助成事業については、早期の事業執行が求められることから、今回、他の経済対策事業に先行して予算措置を講じることとしております。また、国が講じる他の施策も最大限に活用することによって、厳しい現状を打開し、本県の活性化へと着実に結びつけることが出来るよう、引き続き予算の確保に全力で取り組み、今後、速やかに対応してまいりたいと考えております。
 一方、今年は、5年間を実施期間とする長崎県総合計画が3年目を迎えるとともに、私にとりまして、知事として任期4年目に当たります。私は、「人」の力があらゆる施策を推進する原動力となり、地域に活力を生み出す源であることを、自らの経験の中で学んできたことから、知事就任以来、「人を大切にする県政」を県政運営の基軸に据えてまいりました。これまで、人の痛みや思いを汲み取り、県民の皆様と同じ目線に立ちながら、喫緊の課題である雇用対策に最優先で取り組むとともに、乳幼児医療費の現物給付化、「安心こども基金」を活用した子育て環境の整備、特別支援学校の適正配置など、各世代で途切れることのないきめ細かな子育て支援のほか、本県独自の医療人材の確保対策や将来を担う国際人材の育成などにも力を注いでまいりました。
 さらに、総合計画では、「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県づくり」を基本理念に掲げ、県民の皆様が生きがいや希望を持ってこの地で暮らしていただけるような、活力ある長崎県の実現を最大の目標として、計画に盛り込んだ各種施策やアジア・国際戦略などの政策横断プロジェクトの推進に取り組んでいるところであります。
 これまで、計画に沿って、医療、福祉、介護、子育て、教育等の分野で、きめ細かな支援策を講じてきたほか、他の分野においても、農産加工品のブランド認証制度の運用開始、新たな養殖技術の開発、首都圏や関西圏における県産品の販路拡大、「孫文と梅屋庄吉」プロジェクトから芽生えた湖北省との友好交流関係の締結など、事業の具体的な成果が少しずつ現れてきているものと実感しております。
 しかしながら、その一方で、人口減少やしまをはじめとする地域活力の低下など、本県は依然として構造的な課題に直面しており、とりわけ一人当たり県民所得の低迷については、県民の皆様の働く場を創出し、地域に活力を取り戻すためにも、改善に向けた道筋を少しでも明らかにしなければならないとの思いを強く抱いているところであります。
 そのため、平成25年度は、これまでの各種施策をさらに前進、発展させるとともに、県総合計画の目標達成に向けて、一人当たり県民所得の向上を図る視点から対策を講じ、国内外の競争に対応し、今後の成長につながる付加価値の高い産業群の構築を目指してまいります。
 具体的には、新たな大規模市町営工業団地の整備促進など企業誘致の強力な推進、製造業における中堅企業の受注拡大を中小企業の受注機会の拡大へと波及させる産業構造の実現、本県の強みを生かした環境・エネルギー分野における新産業の創出、高品質・高単価化や消費ニーズに対応した収益性の高い農林水産業の育成、世界に誇れる独自の歴史資産を活用した国内外からの誘客拡大などの施策に全力を傾注してまいります。
 また、一人当たり県民所得の向上に関しては、より実効性を高めるため、事業効果が一定程度発現する平成27年度の経済波及効果額を県民所得で約779億円とする具体的な数値目標を、先般、県として初めてお示ししたところであり、今後、目標達成に向けて、民間の方々の積極的な事業活動も促進しながら、各種施策を戦略的に展開してまいります。併せて、今回お示しした施策のみならず、今後、国の成長戦略も積極的に取り込みながら、一人当たり県民所得の向上を目指す政策群をさらに強化してまいりたいと考えております。
 このほか、アジア・国際戦略においては、昨年から日中・日韓関係が難しい状況に直面しておりますが、これまで長年にわたり日中・日韓関係の構築に重要な役割を果たしてきた本県ならではの立場も認識しつつ、関係改善や新たな交流拡大に向けて、努力を重ねるとともに、アジアの活力を本県に取り込み、さらなる実利の創出につなげてまいりたいと考えております。
 また、地域活力の低下が大きな課題とされる中、「しまは日本の宝」戦略を着実に推進するとともに、NPOやボランティア団体、地域おこしグループなどの主体的な活動とも連携しながら、地域発の地域づくりを進め、女性や高齢者の一層の社会参加を促進するなど、県民の皆様と力を合わせて、地域の活性化に取り組んでまいります。
 さらに、昨年は、長年にわたる関係者の方々の努力が実を結び、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)が認可・着工され、全国和牛能力共進会においては肉牛の部日本一の評価を得たところでありますが、今後はこうした成果をさらなる県政浮揚に向けての大きな契機にしなければならないと決意を新たにしているところであります。
 この一年、県民の皆様に具体的な成果をお示しできるよう、全力を傾注するとともに、長年にわたる県政の構造的な課題に対しては、その解決に向けた道筋を少しでも明らかにし、本県の未来を切り開く新たな一歩を踏み出すことができるよう、全職員一丸となって取り組んでまいります。

 それでは、新年度の主な施策について、「長崎県総合計画」の3つの基本理念と10の政策に沿ってご説明いたします。
1 人が輝く長崎県
(未来を託す子どもたちを育む取組の推進)
 安心して子どもを生み育てることができる社会を実現するため、新たに訪問型の病児・病後児保育に対する支援をはじめ、ひとり親家庭の子どもや発達障害のある子どもを対象とした学習支援、夏休み期間に開設する放課後児童クラブへの助成など、市町や地域と連携しながら、仕事を持つ女性の子育て環境に応じたきめ細かな支援に力を注いでまいります。さらに、新生児に対し、新たにタンデムマス法による先天性代謝異常検査を公費負担により実施するとともに、軽度・中等度難聴児の補聴器購入費用を助成し、言語発達等の改善を図ることで、児童の健やかな発達を促進してまいります。
 一方、国際化が急速に進展する中、県では将来を見据え、国際社会で活躍できる人材を育成するため、小中高校を通じた外国語教育の充実、強化を図ってまいります。具体的には、市町が教育課程を特例的に編成し、小学校低学年からの英語活動の実施や高学年において英語学習の先行実施を推進するとともに、中学校では基礎力を高めるため、新たにインターネットで配信可能な英単語等のソフトを開発し、活用することとしております。さらに、平成27年度には、県立長崎東高校に英語コミュニケーション能力の向上を目指す「国際科」を本県で初めて設置する予定としており、新年度は総合的な英語技能習得のためパソコンを活用した英語学習システムを整備するとともに、英語教員の指導力強化を図るため、来年度以降、計画的に海外研修へ派遣することとしております。併せて、中国語と韓国語を指導できる教員を養成するため、現地大学への派遣研修も実施してまいります。
 また、県内の小中学校や県立学校の推進拠点校に電子黒板やタブレットパソコンなどのICT機器を導入し、活用促進に向けた実践研究を行うとともに、遠隔授業システムの利用により離島教育等を支援するなど、教育内容の充実と子どもたちの学習能力の向上に力を注いでまいります。
このほか、県内の小学校5年生と中学校2年生の全児童・生徒を対象とした本県独自の学力調査を新たに実施し、調査結果を踏まえた学力向上対策に全県的に取り組む体制を整備するほか、私立学校の魅力的な学校づくりに対する支援も拡充してまいります。

(一人ひとりをきめ細かく支える施策の推進)
 県民の皆様の暮らしの安心と充実を図るためには、地域の特性を生かしながら、医療・保健・福祉・介護・教育など、生活に身近な分野に関して、きめ細かな支援策を充実させていくことが大切であると考えております。
 そのため、「地域医療再生臨時特例基金」を活用し、地域完結型の医療提供体制の構築に向けて、佐世保市立総合病院の救命救急センターや対馬地域新病院を整備するほか、県内の拠点病院における医師の研修環境の整備や、研修プログラムの充実等による医師の確保と県内定着を推進してまいります。また、県北地域の看護師養成施設の再編によって新たに整備する「看護研究研修センター」において、質の高い看護人材の育成に取り組むほか、住み慣れた自宅や地域で療養できるよう、関係機関が連携して在宅医療体制の整備を図ってまいります。
 障害者の方々の経済的負担の軽減を図る医療費助成制度に関しては、対象の拡充について、事業の実施主体である市町との間でこれまで検討を重ねてまいりました。その結果、新たに後期高齢者医療制度が適用となる中度障害者を対象とするとともに、精神障害者保健福祉手帳1級の方々の通院を助成対象に加えることとする一方、自治体の財政負担も考慮し、中度障害者の助成率を引き下げることで協議が整い、本年10月から実施することとしております。また、一般就労が難しい状況にある難病患者の方々の就労を支援するため、県難病相談・支援センターに専門員を配置するとともに、関係機関による支援体制を整備してまいります。
 一方、離島地区における特別支援教育の充実を図るため、新年度から壱岐及び上五島地区へ特別支援学校高等部の分教室をそれぞれ設置するほか、ひきこもりや不登校、ニート等、社会生活を営む上で困難を有する子ども・若者に対し、NPO等と連携しながら新たに居場所の提供や学習支援を行うなど、自立、就労を推進してまいります。
 このほか、カネミ油症被害者の救済に関しては、昨年9月に総合的な支援策が法制化されたことを受けて、県としても新しい診断基準に基づく患者の方々の認定が円滑に進むよう、適切に対応してまいります。

(人を育てる、人を活かす取組の推進) 
 人口減少社会が進展する中、これからは、元気な高齢者が自らの豊かな知識や経験、技術を生かしながら地域社会の中で生きがいを持って活躍できる機会の拡充や、女性の幅広い社会参画が期待されております。
 そのため、元気な高齢者の方々が、地域住民と協力しながら地域課題の解決に向けて活躍できる新たな仕組みを構築するほか、女性のライフスタイルに応じた多様な働き方の実現や起業等へのチャレンジを支援するとともに、若い女性の就労意欲の高揚やキャリア形成を促進してまいります。
 また、意欲ある若手農業者を対象に、経営力向上セミナーの開催や専門家による個別の経営診断を実施するなど、地域農業を牽引する農業経営者の育成を目指すほか、新規漁業就業者の確保や若手漁業者の技術習得を支援するなど、将来の一次産業を担う人材の育成に力を注いでまいります。
 さらに、先に国において増額措置が講じられ、事業期間が延長された「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を引き続き有効に活用しながら新たな雇用創出を図るほか、公的サービスの新しい担い手として期待されるNPO等からの具体的な事業提案を促進し、地域課題の解決に協働で取り組むとともに、NPO等の活動基盤の強化を図ってまいります。
 このほか、県内の公私立の保育所、幼稚園、小学校を対象に、関係機関と連携してフッ化物洗口によるむし歯予防対策に取り組むなど、県民の健康づくりを推進してまいります。

2 産業が輝く長崎県
(力強く豊かな農林水産業を育てる施策の推進)
 農林水産業を取り巻く環境は、農水産物の価格低迷や生産コストの高止まり、担い手の減少・高齢化など、大変厳しい状況にありますが、地域経済を支える基幹産業であり、一人当たり県民所得の向上を図るためにも、より付加価値の高い産業への脱皮を目指していかなければならないと考えております。
 そのため、農林業においては、園芸作物の高品質・高単価化を推進するため、いちごについては、品質に優れ年内収量が確保できる新品種「ゆめのか」への転換を促進するとともに、温州みかんでは、高品質な果実生産技術や優良品種の導入を進めるほか、園芸用施設における低コストハウスの導入や施設の長寿命化を支援し、生産コストの低減による農家所得の向上を目指してまいります。
 また、野菜需要の過半を加工・業務用が占めていることから、実需者のニーズを踏まえた加工・業務用農産物の産地育成と生産拡大に、水田裏等を活用しながら取り組んでまいります。
 さらに、これらの生産対策の実施に欠かせない優良農地の整備や農地集積と地域労力支援システムの構築による経営規模の拡大を引き続き推進していくこととしており、こうした取組に当たっては、個別農業者の経営改善計画の達成支援とともに、集落において作目や農地の実態等を踏まえながら農業所得向上を目指す活動も支援してまいります。
 肉用牛の振興については、昨年の全国和牛能力共進会における日本一獲得を受けて、「長崎和牛」を全国にアピールする絶好の機会を迎えていると考えております。
 そのため、高品質な肥育牛と優良繁殖牛の増頭に対し新たな支援策を講じるとともに、今回の大会で培った生産技術の普及拡大を図るなど、生産振興対策を強力に推進してまいります。また、流通販売対策については、「日本一の長崎和牛」を首都圏や関西圏に訴求するため、関係機関と連携しながら航空機内やホテル、レストラン、百貨店等におけるPR活動を展開するとともに、県内外の量販店等に対する販売促進活動などに力を注ぎ、長崎和牛の消費拡大やブランド力の強化を図るほか、海外でのさらなる販路拡大にも取り組んでまいります。
 このほか、鳥獣害対策については、これまでの捕獲、防護、棲み分けの各対策に加え、離島におけるイノシシの新規生息調査を実施するなど事業を拡充するほか、県産材の流通拡大に関しても、関係機関との連携を図りながら取り組んでまいります。
 水産業においては、「もうかる水産業」を目指して、従来からの生産対策はもとより、クロマグロの完全養殖や低コスト陸上養殖システムなど本県独自の養殖技術の開発、生産者の所得向上を目指した水産加工業における協業化の推進や流通販売対策の強化、中国全域への輸出展開のほか、担い手の確保・育成対策に力を注いできているところであります。
 新年度は、こうした施策を着実に前進させるとともに、さらなる所得向上を目指し、水産物の輸出拡大を図るほか、収益性の高い養殖業を育成するため、新たに養殖マグロの高品質化に向けた品質基準づくりや高品質真珠の生産手法の開発、経営多角化のための貝藻類の無給餌養殖の導入を支援してまいります。
 また、産地側から販売先企業への従業員の派遣や、産地を訪れた販売先企業の指導、助言に基づく水産加工品や未利用魚等の新商品開発などに取り組み、そこで構築される人的関係をその後の販路拡大にも生かしていくほか、水産業を核とする地域資源を活用した漁村の活性化に地域の方々とともに取り組み、漁家所得の向上や新たな雇用創出を目指してまいります。
 さらに、藻場の維持、回復と拡大を図るため、県で開発した手法の実証による効果的な藻場回復技術の普及を図るほか、資源の有効活用と収益性の確保を図るため、資源管理型漁業のさらなる定着を促進してまいります。
 一方、農林水産物をはじめとする県産品の販路拡大とブランド化に向けては、首都圏において、先月、地域の有力スーパーである株式会社京北(けいほく)スーパーと長崎県産品の取扱強化に関する覚書に調印したほか、新年度は、県東京産業支援センターに新たな商談ルーム等を整備することとしております。また、関西圏では、昨年の株式会社阪食とのパートナーシップ宣言調印を契機として、県産品のPR活動を拡充するなど、国内の二大消費地を中心に据えながら、県産品のさらなる販路拡大とブランド化に努めてまいります。

(次代を担う産業と働く場を生み育てる取組の推進) 
 国・地方を通じて、厳しい経済情勢が続く中、一人当たり県民所得を引き上げるためには、地場企業の活性化と良質な雇用の場の創出につながる力強い地域経済の実現を目指し、これまでにない思い切った施策を講じていかなければならないと考えております。
 こうした中、先に申請しておりました「ながさき海洋・環境産業拠点特区」の総合特区指定が先般、国において決定されたところであります。今後、この特区指定を活用し、本県造船業が有する高い技術力を生かしながら、高付加価値船や省エネ船の建造促進に加え、海洋エネルギー分野における海洋関連産業の拠点づくりを進めることによって、本県の経済成長の牽引役として期待される造船業のさらなる発展を目指すとともに、県内産業の裾野の広がりと成長を促し、地域経済の活性化につなげてまいります。
 また、従来からの中小企業対策のみならず、今後はさらに幅広い視点に立って、県内製造業のうち大半を占める機械、電子等の分野において、牽引力のある県内中堅企業の製品開発力や市場開拓力を生かしながら、県外や国外からの受注拡大に向けた取組を支援するとともに、その効果が中小企業の受注機会の拡大へと着実に波及するような製造業振興の新たな事業に力を注いでまいります。
 さらに、県内製造業の中で就業者割合は高いものの、労働生産性が全国下位に止まる食品製造業の底上げを図るため、県内中堅企業の規模拡大や技術開発による受注拡大と併せて、中小企業者の生産性向上と県内農水産物の利用拡大による高付加価値化や小規模事業者等の協業化を支援し、県外へ依存している一次加工の県内調達の拡大を目指してまいります。
 一方、企業誘致については、雇用創出と地域経済の活性化に即効性が高く、県民所得の向上に大きく寄与することから、県としても強力に推進してまいりたいと考えております。
 そのため、市町営工業団地の整備に際し、市町が負担する起債利子を団地の規模に応じて県も支援するよう助成制度を拡充することにより、新たな大規模工業団地の整備を促進してまいります。
 また、平成25年度には、県北地域を中心に県内で約30ヘクタールの工業団地が整備される予定であり、県としてもこの機を捉え、企業誘致を積極的に進めてまいります。
 具体的には、立地を検討する企業を広く募集・招待する企業誘致フォーラムを開催するほか、誘致企業に対する新たな補助制度の創設や拡充を図りながら、核となる企業と複数の関連企業からなる企業群の本県進出を促進するとともに、交通アクセスに左右されにくい事務系企業を幅広く対象とする新たな誘致にも力を注いでまいります。
 このほか、ナガサキ・グリーンニューディール戦略プロジェクトに関しては、海洋エネルギー産業の創出につながる国の実証フィールドの誘致、対馬地域におけるエネルギー自立のしまのモデル構築に向けた取組支援、五島地域における次世代型超小型自動車の実証地域の形成、県内企業のスマートハウス製品と県産材を活用したモデルハウスの建設支援などの事業に積極的に取り組んでまいります。

(地域の魅力を磨き上げ人を呼び集める取組の推進)
 本県の基幹産業である観光は、関連する産業の裾野が非常に広く、経済波及効果が大きいことから、一人当たり県民所得の向上を目指すためにも、その振興に力を注いでいかなければならないと考えております。
 そのため、新年度は、「長崎の食」の魅力を生かした事業の定着を図りつつ、昨年新たに認定された世界新三大夜景や平成27年の世界遺産登録を見据えた教会群とキリスト教関連遺産など、本県独自の地域資源を生かした観光地づくりを推進するとともに、戦略的な情報発信による本県観光のイメージ形成と浸透を図り、誘客拡大につなげてまいります。
 具体的には、本県観光の魅力を印象づける訴求力のあるテーマや観光素材を活用し、統一的な長崎の観光イメージを形成するとともに、首都圏や関西、福岡を中心に積極的なプロモーション活動を展開してまいります。また、県民の県内旅行を促進するため、県民向けの旅行商品造成を支援するほか、新たに県ホームページ上に専用のサイトを設け、宿泊プランの紹介、PRを行うなど県内観光の需要喚起を図るとともに、新年度から発行予定の離島地域限定の「しまとく通貨」の利用促進にもつなげてまいります。
 また、悲願のJリーグ昇格を果たしたV・ファーレン長崎については、今年のホームゲームとして、3月10日のガンバ大阪戦を皮切りに、県立総合運動公園陸上競技場において21試合が予定されており、県民の皆様とともにその活躍を大いに期待しているところであります。県では、引き続きV・ファーレン長崎の地域貢献活動などを支援するほか、各種のスポーツ合宿、大会の誘致にも力を注ぐことによって、スポーツを通じた交流人口の拡大と地域の賑わい創出を図ってまいります。
このほか、カジノを含む統合型リゾートに関しては、新年度に県及び佐世保市で構成する協議会を設け、導入の効果や影響等について、県市共同で調査研究や専門的検討を実施してまいります。
 一方、昨年の「全国和牛能力共進会」に続き、平成25年度から翌年度にかけて、「全国高等学校総合文化祭」と「長崎がんばらんば国体・長崎がんばらんば大会」が相次いで開催されます。このような全国規模でのイベントは、本県の「おもてなし力」を全国にアピールする絶好の機会であることから、官民一体となって、総おもてなし運動の推進に努めてまいります。

(アジアと世界の活力を呼び込む取組の推進)
 県では、成長著しいアジアの活力を取り込むため、昨年3月に策定した「アジア・国際戦略」に基づき、各種施策に取り組んでいるところであります。
 こうした中、昨年の尖閣問題から日中関係は難しい状況に直面しておりますが、中国と歴史的なつながりを持つ本県においては、その後も上海市で孫文と梅屋庄吉に関する学術交流展や長崎歴史文化博物館で中国福建博物院展などの交流事業を積極的に実施してきたところであり、今後も両国の関係改善のきっかけとなるよう、地域間交流や民間交流を推進してまいります。
 一方、日韓関係にも一部深刻な状況が生じたものの、昨年は、対馬市を訪れる韓国人観光客が過去最多の約15万人となるなど、本県との結び付きがさらに拡大しております。そのため、新年度の早い段階で現地の活動拠点となる県ソウル事務所を開設し、長崎市と対馬市の釜山事務所とも連携を図りながら、幅広い分野における人脈の再構築と観光客の誘致や県産品の輸出拡大に向けた事業を加速させてまいりたいと考えております。
 さらに、東南アジア諸国に関しても、海外技術研修員の受入などを通じて本県が育んできた交流関係や民間の交流基盤を生かしながら、各国の実情に応じた事業展開を図ることによって、「アジア・国際戦略」にこれまで以上の広がりを持たせ、さらなる経済的実利の創出、拡大による本県経済の活性化を目指してまいります。
 海外からの誘客対策に関しては、これまで九州各県が連携して取り組んできた「九州アジア観光アイランド総合特区」が先般、国の指定を受けたことから、これを積極的に活用し、成長するアジア市場から観光客を呼び込み、観光需要の喚起と消費拡大を図ってまいります。
 また、中国では残念ながら、先月、上海航路の長期運休が決定するなど、未だ訪日旅行市場の回復が遅れている状況にありますが、県ではこれまでの上海航路の誘客活動によって芽生えた成果を生かしながら、新たな分野における中国人客の呼び込みを図ってまいります。さらに、中国東方航空が運航する長崎〜上海線の週3便化を前提に、その定着化を図るため、社会実験として増便分の運航経費の一部を助成するほか、旧香港上海銀行長崎支店記念館に孫文・梅屋庄吉と長崎近代交流史に関する常設展示施設を長崎市とともに整備し、国内外に情報発信してまいります。
 一方、韓国に関しては、日韓共通の歴史資産である「朝鮮通信使」を対馬市と連携しながら顕在化させ、企画展の開催などによってその魅力を広く国内外へ発信し、さらなる交流人口の拡大へつなげてまいりたいと考えております。
 このほか、アジアからの観光客を首都圏や関西圏から呼び込むための旅行商品の販売奨励や、中国、韓国とともに台湾、香港の東アジア市場を対象に、それぞれの国、地域の市場の成熟度や旅行形態に応じた誘客対策を積極的に講じてまいります。併せて、増加傾向にある個人旅行客やタイ・シンガポールなどの東南アジアからの誘客、本年4月からの福岡〜オランダ間航空便の新規就航を見据えた誘客にも力を注ぐほか、昨年、過去最高の78隻が寄港したクルーズ客船については、新年度も引き続き誘致促進に努めるとともに、外国人観光客の受入環境の整備も進めてまいります。
 県産品の輸出拡大については、中国では北京市や湖北省における県産食材フェアの開催など、県産品の知名度向上と販売促進に取り組むとともに、韓国への水産物、県産酒やタイ・マカオへの長崎和牛など、アジア諸国への輸出拡大を図ってまいります。
 一方、県内企業の海外展開については、韓国ではソウル事務所を最大限に活用しながら、経済的実利の獲得につながるよう、新たな人的関係や企業などとの関係構築に力を注ぐほか、これまでの中国に加え、経済成長が著しい東南アジア諸国にも、新たにビジネスサポートデスクを設け、環境・エネルギー分野などにおける県内企業の市場開拓等を支援してまいります。
 また、本県の認知度向上と幅広い交流拡大に向けて、中国においては、今年、県日中親善協議会が設立40周年を迎えることから、各種記念交流事業を実施するとともに、上海市との間でも書画展などの文化交流事業を開催いたします。さらに、資生堂TSUBAKIのイメージキャラクターを活用した本県のPRや、中国版ツィッターによる情報発信を行うこととしております。韓国においては、PR会社を活用した各種メディアにおける本県の情報発信を促進するほか、これからの日韓交流の担い手となる青少年の交流事業を新たに実施してまいります。
 このほか、県内の大学、経済団体、県、長崎市などで組織する長崎留学生支援コンソーシアムの設立総会が今月1日に開催され、「長崎留学生支援センター」の設置が決定されたところであり、今後、産学官が一体となって、同センターを中心に将来の本県との架け橋として期待される外国人留学生の募集、生活、就職等を支援してまいります。

3 地域が輝く長崎県
(「地域発の地域づくり」を進める取組)
 人口減少や高齢化が進展し、地域活力の低下が大きな課題とされる中、地域が元気を取り戻すためには、身近な地域コミュニティが活発に機能して地域を盛り上げていくことが重要であると考えております。そのため、平成24年度から、新たな交付金制度を設け、地域が自らの課題解決に向けて主体的に取り組む事業を市町とともに支援するほか、各振興局が開催する「こぎ出せミーティング」において、地域の方々と様々な地域課題の解決策について議論を重ねるなど、自発的な地域づくりを促進してまいりました。
 新年度においては、これらの事業効果をさらに高めるとともに、市町と連携して、新たに都市部の特色ある人材を、国の「地域おこし協力隊」の制度を活用して呼び込み、外部の視点を生かした地域の魅力向上や起業、定住化を促進してまいります。
 一方、今年3月末で期限切れを迎える離島振興法については、昨年6月に改正離島振興法が成立し、平成35年3月までその期限が延長されたところであり、現在、しまの将来を見据えた新たな離島振興計画の策定作業を進めているところであります。
 今後、改正離島振興法に盛り込まれなかった国境離島地域の振興や定住促進のためのさらなる支援策の実現を目指し、関係自治体との連携を図るとともに、国の動向を見極めながら、「国境離島新法」の制定を働きかけてまいりたいと考えております。
 また、「しまは日本の宝」戦略における事業展開として、大きな課題とされてきた離島の高い輸送経費については、これまで県議会や県選出国会議員の皆様のご協力も賜りながら、国に支援策を講じるよう強く要望してまいりましたが、今回、離島活性化のための新たな交付金制度が創設されたところであります。県としては、この交付金を活用して戦略産品を対象に助成を行う市町を支援し、生産者の負担軽減と本土との格差是正による離島の産業の活性化を図ってまいります。
 さらに、しまのPRと島外からの誘客や消費の呼び込みを図るため、県内の離島限定で使用できるしま共通の地域通貨(しまとく通貨)が、いよいよ今年4月から発行されます。県としても、この「しまとく通貨」が、今後、観光客や島内観光消費額の増加に着実につながるよう、20%のプレミアムと併せて、旅行会社とタイアップした宿泊促進や誘客拡大対策などに、市町と連携しながら取り組んでまいります。
 このほか、離島住民の負担軽減を図るため、これまでの船舶リプレイス事業による基幹航路の運賃低廉化に加え、新年度から補助航路について、当該離島のバス運賃を限度とする航路運賃の引き下げを国や市町とともに助成するほか、五島地域におけるツバキ油の増産に向けた取組など、しまごとのプロジェクト事業についても積極的に後押ししてまいります。

(安全・安心で快適な地域をつくる取組)
 地域における安全・安心な暮らしを確保できるよう、県民の防災意識の向上と地域の防災力を高めるため、引き続き自主防災組織の育成・組織化を促進するとともに、消防団員の確保を図ってまいります。
 また、従来から通学路の交通安全対策や学校の耐震化に取り組んでおりますが、このうち県立学校については、本年度をもって耐震化工事をすべて終えることとなっており、私立学校においても引き続き促進してまいります。併せて、災害時の避難場所でもある県立学校体育館・武道場の照明器具の落下防止対策や特別支援学校教室の天井耐震診断調査を実施するほか、倒壊して緊急輸送道路を閉塞するおそれのある沿道の民間建築物の耐震化について、国や市町とともに助成してまいります。
 さらに、県民の安全で快適な住環境整備を促進するため、従来の住宅耐震改修工事に対する助成に加え、将来も見据えた住宅の性能向上を目的とする新たな住宅リフォーム支援制度を創設し、高齢者や障害者に限定しない「バリアフリー・安全型」、環境に優しい「省エネ型」、台風被害等の低減を図る「防災型」を対象として、住宅リフォーム費用を助成してまいります。
 一方、低炭素社会や循環型社会の実現を目指した事業として、節電や省エネなど、県民の環境行動における二酸化炭素排出削減量にポイントを付与し、商品やサービスと交換できる「九州版炭素マイレージ制度」を九州各県と連携して新たに創設するほか、早期処理が求められているPCB廃棄物の適正処理を進めてまいります。
 このほか、身近なふるさとの自然環境の保全や再生を図るため、生物多様性評価地図を作成するほか、地元小学生などに対してツシマヤマネコ保護意識の醸成を図るなど、人と自然が共生する地域づくりを推進してまいります。

(地域づくりを支えるネットワークをつくる取組)
 多くの離島・半島を有する本県において、産業振興や交流の拡大による地域の活性化を図るためには、それを支える交通ネットワークの整備が必要不可欠であります。
 このうち九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)については、今後、新幹線効果が最大限発揮されるよう、地元市町などとともに魅力あるまちづくりに全力で取り組むほか、JR佐世保線へのフリーゲージトレイン乗り入れのための整備・実証運行を国に求めていくとともに、必要な調査も実施してまいります。
 道路整備については、西九州自動車道で唯一の未着手区間となっている松浦市〜佐々町間の環境影響評価の準備書と都市計画案の公告・縦覧を今月末から実施するほか、島原道路においては、昨年開通した島原中央道路に続いて、平成25年度は愛野森山バイパスが開通予定となっております。また、西彼杵道路については、小迎バイパスが本年3月に開通予定であり、指方バイパスから約14kmが自動車専用道路でつながるほか、時津工区は、今月、都市計画決定に向けた地元説明会を開催したところであり、引き続き早期の事業化を目指してまいります。さらに、市町道と一体となった幹線道路のネットワーク整備を進めるため、市町と連携した新たな制度を創設するなど、より効率的、効果的な道路網の整備に努めてまいります。
 このほか、国の交付金を活用した離島基幹航路における新船建造を引き続き支援するなど、公共交通における県民の快適で安全な利用を確保してまいります。

それでは、次に、これまでの3つの柱に沿った事業以外の主な施策や懸案事項などについてご報告を申し上げます。
(世界遺産登録の推進)
 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録については、昨年6月に推薦書原案を文化庁に提出し、文化審議会世界文化遺産特別委員会において審議いただきましたが、残念ながら推薦決定には至りませんでした。
 そのため、県では、文化庁や国内専門家のご指導もいただきながら、市町と一体となってこれまで原案の熟度を高めてきたところでありますが、その結果、昨年の審議会における指摘事項への対応や構成資産の万全な法的保護に目途をつけることができたことから、去る1月22日、蒲島(かばしま)熊本県知事及び関係市町長とともに、下村(しもむら)文部科学大臣に推薦書原案を提出いたしました。その際、大臣からは「暫定一覧表に記載されている資産の中で、推薦準備が最も順調に推移している」との大変心強いお言葉をいただき、来年度の国の推薦決定に向けて、弾みがついたと感じております。
 平成27年は、大浦天主堂における「信徒発見」から150周年という節目の年であり、それまでに世界遺産登録を実現するため、今後とも文化庁や専門家の方々のご指導、ご助言を賜りながら各種準備作業を進めるとともに、県内外への周知・啓発にも一層努めるなど、確実に推薦決定が得られるよう、県をあげて取り組んでまいります。

(韓国への訪問)
 韓国へは、昨年8月の訪問予定を延期しておりましたが、現在、日韓両国の関係修復の動きもあり、民間交流や経済・文化交流の進展が期待できる状況にあると判断し、去る1月27日からソウル市を訪問してまいりました。
 今回の訪問では、韓日親善協会中央会の金(きむ) 守漢(すはん)会長や、本県ゆかりの団体であるハンナ会の李(い) 大淳(ですん)会長と面会し、今後の関係強化について意見交換を行ったほか、別所(べっしょ) 浩郎(こうろう)在韓国日本大使に対しても、朝鮮通信使を活用した本県の認知度向上と交流拡大に向けた事業展開などについてご協力をお願いしてきたところであります。
 また、平成27年の世界遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に関しては、ソウル大司教区の廉(よむ) 洙(す)政(じょん)大司教を訪問し、登録に向けた応援をお願いいたしました。
 さらに、日本食レストランにおいて、県産品の販路拡大に向けた食材フェアを開催したほか、本県との間を定期で結んでいる大韓航空や高麗海運を訪問し、航路・航空路の維持、拡充を要請してきたところであり、今後、県ソウル事務所を最大限活用しながら、韓国との人的・物的交流の拡大を図り、本県の活性化へ着実につなげてまいりたいと考えております。

(長崎〜上海航路の長期運休)
 長崎〜上海航路については、中国における訪日旅行市場の早期回復が見込めないことから、先月、HTBクルーズ社において、長期の運休が決定されました。県においては、航路の開設効果を県内経済の活性化につなげられるよう、様々な事業を進めてまいりましたが、県民の皆様のご期待に早い段階でお応えすることができなくなったことは、誠に残念な思いであります。
 HTBクルーズ社においては、今後も運航再開に向けての検討は続けるとされておりますので、県においても、これまで官民連携で進めてきた中国人観光客の受入態勢の強化や将来を見据えた長崎港の機能強化を具体的な成果に結びつけるため、同社とともに運航実績を検証するほか、訪日旅行市場の回復への後押しとなるよう、中国との交流事業や誘客促進に取り組んでまいります。

(諫早湾干拓事業における開門問題)
 諫早湾干拓事業の開門問題については、これまで地元から繰り返し開門の問題点を指摘してきたにもかかわらず、国においては十分な対応策が示されないまま、本年12月の開門期限が迫っているとして、開門に向けた準備が進められようとしております。
 こうした中、去る1月9日と10日、国や各政党本部などに対し、開門の問題点を改めて指摘するとともに、地元の実情を強く訴えてまいりました。当日、農林水産省では、県議会や地元関係者の皆様とともに林農林水産大臣、江藤農林水産副大臣と面会し、「地元の理解が得られていない中、不十分な対策を内容とする予算を計上し、一方的に開門準備を進めようとする姿勢は見直すこと」、「諫早湾干拓事業の公共性と漁業補償契約の有効性を認めて開門請求を棄却した長崎地裁判決を踏まえ、控訴審において開門方針は争わないとの姿勢を見直すこと」などを強く申し入れたところであります。
 さらに、今月2日と3日には、林農林水産大臣と江藤農林水産副大臣が来県され、開門問題に関する現地視察及び長崎県関係者との意見交換会が行われ、地元住民、農業者、漁業者の方々からそれぞれ地域の実情や開門に伴う影響被害を懸念する切実な声が直接伝えられました。併せて、私からも「開門によって地元に影響があってはならないこと」、「地元の理解と協力がなければ決して事業は前に進むものではないこと」、「地元の声に十分耳を傾けていただき、開門差止訴訟の経過も見極めつつ、慎重に対応いただきたいこと」、「開門ありきの考え方で一直線に進むことだけは何としても避けていただきたいこと」を強く訴えさせていただきました。
 これに対し、大臣からは、「開門問題の解決は地元の皆様の話を聞くことなしにはできない。これからも繰り返し対話を続けさせていただき、問題解決に向けて誠心誠意努力したい」との説明を受けたところであります。
 県としては、国が開門準備を進めているという厳しい状況に変わりはないことから、今後も国の動向を注視し、開門による被害が地元に及ぶことがないよう、引き続き県議会や関係者の皆様とともに、適切に対処してまいりたいと考えております。

(石木ダムの推進)
 石木ダムについては、残る地権者の皆様との話し合いを促進するため、平成21年11月に国土交通省九州地方整備局に対し、事業認定申請書を提出いたしましたが、これまでの間、手続きは中断したままの状態が続いてまいりました。
 また、その後、国において示されたダム事業の検証手続きを経たうえで、事業を継続するという県の対応方針を決定し、平成23年7月に国へ報告するとともに、国においては、有識者会議の意見聴取を経て、昨年6月、「補助金交付を継続する」との最終の対応方針が決定されましたが、残念ながら未だ残る地権者の皆様のご理解をいただくには至っておりません。
 一方、昨年8月の定例月議会において、「石木ダム事業認定手続きの進展を求める意見書」が可決されたことを踏まえ、11月に県議会及び佐世保市議会とともに国土交通大臣へ事業推進を求める要望書を提出したほか、本年1月にも事業認定手続きの進捗と予算の確保について、改めて国へ要望活動を実施したところであります。
 このような中、中断されていた事業認定手続きについては、事業認定庁の主催による公聴会が、3月22日と23日の両日、川棚町で開催される運びとなりました。公聴会では、事業に対し、賛成と反対の立場からそれぞれ自由に意見を述べることが保障されていることから、地域の皆様において、事業の公益性と必要性への理解を深めていただけるものと考えております。
 また、未だご理解が得られていない地権者の皆様とは、事業認定手続きのみならず、あらゆる機会を捉えて話し合いを継続させていただくよう努力することが重要であると考えており、県、市、町が一体となって、全力を傾注してまいります。

(原子力災害対策)
 玄海原子力発電所での事故発生を想定した原子力防災訓練については、昨年11月の訓練当日に大雨警報が発令された関係から、壱岐市における避難訓練のみを実施しておりましたが、去る2月2日、延期していた他の地区についても改めて実施したところであります。
 当日は、松浦、佐世保、平戸各市の関係住民約320名の方々に、県地域防災計画に定められた30km圏外の東彼杵町、川棚町及び波佐見町などへ避難していただくとともに、関係4市を含めた対策本部設置訓練などを実施いたしました。
 また、警察、消防、自衛隊など多くの関係機関にも参加いただき、情報の収集、伝達や避難誘導などの各種訓練を行い、各機関の対応能力の向上と協力体制の強化が図られるとともに、地域住民の原子力防災に対する理解も深めていただけたものと考えております。
 一方、離島からの避難対策など、今回の訓練によって明らかになった課題については、十分に検証のうえ、今後の原子力防災に生かしてまいります。

(各種全国大会に向けた取組)
 今年は、いよいよ高校生のスポーツ・文化における全国規模の大会が本県で開催されます。
 まず、7月28日から8月20日にかけて、北部九州4県で 「2013 北部九州総体」が開催され、本県では5つの市において競泳など5競技が実施されるほか、7月31日から8月4日まで、「2013 長崎しおかぜ総文祭」が開催されます。
 県としては、両大会の成功とともに、全国から集う高校生や来県される多くの皆様にとって心に残る素晴らしい大会となるよう、万全の準備を進めてまいります。
なお、「第18回全国中学校総合文化祭」が、平成30年度に本県で開催されることが先般、決定されたところであり、本県の将来を担う子どもたちの文化活動のさらなる活性化につながるよう取り組んでまいります。
 一方、長崎がんばらんば国体・長崎がんばらんば大会については、いよいよ来年に開催が迫る中、国体の県外開催競技であるカヌー(スラローム・ワイルドウォーター)及びクレー射撃の開催準備のため、去る1月に熊本県人吉(ひとよし)市に、今月には熊本県益城町(ましきまち)にそれぞれ現地事務所を開設したところであります。
 また、開・閉会式会場となる県立総合運動公園陸上競技場は、今年3月に供用開始の予定であり、競技ごとのリハーサル大会が5月から県内各地で順次開催されるなど、両大会に向けた気運もさらに盛り上がってくるものと考えております。
 県では、今後も両大会の準備を着実に進めるとともに、競技力の向上にも引き続き力を注いでまいります。

(県庁舎の整備)
 新たな県庁舎の整備については、行政棟・議会棟・駐車場棟の基本設計を昨年12月に完了し、先般、県民の皆様に公表したところであります。現在は、実施設計を進めており、本年11月末までには、警察棟を含め全棟の設計を完了する予定としております。
 また、県庁舎の跡地活用については、検討懇話会において、ご議論をいただいているところでありますが、今後とも県全体にとって最も有効な活用策となるよう、県議会をはじめ県民の皆様のご意見を賜りながら、地元長崎市と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

(朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験)
 北朝鮮は、去る2月12日、国連安保理決議を無視し、平成18年10月、平成21年5月に続き3回目となる核実験を実施しました。
昨年12月に長距離弾道ミサイル発射実験を実施したばかりの北朝鮮が、日本政府をはじめ世界各国からの中止要請にもかかわらず、今回、核実験を強行したことは、世界の多くの人々の願いを踏みにじるものであり、強い憤りを感じております。
 このため、直ちに渡辺県議会議長との連名で、金(きむ)正恩(じょんうん)北朝鮮国防委員会第一委員長に対し、抗議文を送付するとともに、このような暴挙が二度と繰り返されることがないよう、内閣総理大臣及び外務大臣に対し要請文を送付したところであります。
 今後も被爆県の知事として、長崎市や長崎大学などとも十分連携を図りながら、全世界に対して被爆の実相を訴え、一日も早い核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に努めてまいります。

 次に、議案関係についてご説明いたします。
 まず、平成25年度予算については、先の11月定例月議会における長崎県重点戦略案に関する議論や政策評価の結果等を踏まえて編成いたしております。
一般会計の予算額は、  6,812億6,822万1千円             
特別会計の予算額は、    752億  706万8千円
企業会計の収益的支出及び資本的支出の総額は、
               67億2,838万2千円
となっております。
 次に、平成24年度補正予算でありますが、今回の補正予算は、国の経済対策補正予算への対応と国庫支出金の決定等に伴う事業費の増減、その他年度内に執行を要する緊急な事業費について計上いたしました。
一般会計         38億4,376万8千円の増額
特別会計          9億8,563万7千円の減額
企業会計          2億3,407万7千円の増額
補正をしております。
 この結果、平成24年度の一般会計の累計予算額は、
         7,179億2,441万  円
となっております。
 次に、予算以外の議案のうち、主なものについてご説明いたします。
 第16号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」は、国家公務員の退職手当に関する国の取扱いの状況を踏まえ、職員の退職手当の支給水準を段階的に引き下げようとするものであります。
 第18号議案「執行機関及び附属機関としての各種委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」は、教育委員会や人事委員会など行政委員会の委員の報酬について、他県の状況等を踏まえ、支給方法の見直し及び報酬額の改定を行うため、所要の改正をしようとするものであります。
 第37号議案「公の施設の指定管理者の指定について」は、長崎県亜熱帯植物園の管理を行う指定管理者を指定しようとするものであります。
 その他の案件については、説明を省略させていただきますので、ご了承を賜りたいと存じます。

 以上をもちまして、本日提出いたしました議案の説明を終わります。
 なにとぞ、慎重にご審議のうえ、適正なるご決定を賜りますようお願い申し上げます。

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