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平成23年2月23日 平成23年2月定例県議会における知事説明

 本日、ここに、平成23年2月定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 開会に当たり、県政運営についての所信を申し述べますとともに、平成23年度当初予算案について、その概要をご説明申し上げます。

 私は、県内の経済雇用情勢が厳しい状況にあることから、昨年3月の知事就任以来、緊急の課題である経済雇用対策の推進に力を入れるとともに、一人ひとりをきめ細かく支える施策や、県内経済の活性化につながる産業の振興対策などに、最優先で取り組んでまいりました。
 我が国の景気は、「足踏み状態を脱しつつある」とされていますが、本県においては、有効求人倍率が低い水準で推移するなど、県民の雇用・所得環境は依然として厳しい状況にあります。
 このため、私は、来年度においても、雇用や医療、福祉、介護、子育てなどの県民の暮らしを守るセーフティネットの充実や、地域経済を下支えする公共事業等の確保、県内経済に活力を取り戻すための対策などを、県政の最重要課題に位置づけ、全力で取り組んでまいります。
 一方、本県は、人口の減少や雇用の場の不足、地域活力の低下といった様々な課題に直面しておりますが、このような中、来年度は、先の11月定例会で議決いただいた「長崎県総合計画」の初年度にあたり、「輝く長崎県づくり」に向けて、いよいよ本格的にこぎ出していくこととなります。
 「長崎県総合計画」については、「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県づくり」を基本理念に、県議会をはじめ、県民の皆様から様々なご意見をいただきながら策定を行ってきたところであり、私は、計画の実現にあたっても、県民の皆様と力を合わせ、その「総合力」を発揮してまいりたいと考えております。
 このため、私は、平成23年度に向け、まずは、新たに産業界や大学、市町、県などからなる「長崎県総合計画推進会議(仮称)」を設置し、県政が抱える様々な課題を解決するため、県内の知恵と力を結集し、官民一体で具体的取組を推進していく仕組みを、創り上げてまいりたいと考えております。
 その上で、これまでなかなか解決が図られてこなかった構造的課題に真正面から向き合い、アジア・国際戦略、ナガサキ・グリーンニューディール、「しまは日本の宝」戦略をはじめ、総合計画に掲げた各種施策やプロジェクトを着実に推進することにより、本県の未来を切り拓いてまいります。
 特に、私は今、これまでの友好の歴史や地理的強みを活かし、急成長するアジアとの関係を一層深め、長崎から新たなアジア軸を構築していく、絶好のチャンスが訪れていると考えております。このため私は、この機をしっかりと捉え、「上海航路の復活」や中国における経済交流拠点整備の検討をはじめ、あらゆる分野で海外との交流を加速する思い切った戦略を展開し、実需の創出・拡大による県勢浮揚を実現するとともに、我が国とアジアの一体的発展にもつなげてまいります。
 また、円高や国内外における競争に対応し、新たな価値を生み出す産業への転換が求められる中、競争力のある強い農林水産業を育成し、企業間連携の推進や環境・新エネルギー、医療・福祉等の新分野への取組などにより、地場産業の競争力を強化するとともに、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に対応し、本県の食の魅力や歴史・文化等の地域資源を最大限に活用しながら、2011交流拡大プロジェクトを全力で実施してまいります。
 さらに、衰退の危機にある地域を再生するには、地域に支え合う力や「つながり」を取り戻すことが重要であり、住民が一体となって取り組む地域づくりやそれを担う人づくり、新しい公共の担い手として期待されるNPO等への支援に力を入れるとともに、「新たな地域コミュニティ」のモデルづくりや自治会活動への支援などにも積極的に取り組んでまいります。
 こうした施策の一層の推進を図るため、私は、県の組織についても、思い切った再編を行ってまいりたいと考えております。
 現在の組織は、部から独立した推進本部や局を設置するなど、特定課題への対応を重視した体制となっており、推進本部における新たな機能やノウハウの蓄積など、個々のプロジェクトの実施に一定の成果があったと考えております。
 私は、こうした成果を活かしつつ、総合計画に掲げるプロジェクトをはじめ、総合的な施策の推進や部門間の連携を強化したいと考えており、今回、関連する分野を大括り化し、必要に応じて部の内部に局を設置するなどの改正を行いたいと考えております。その上で、職員の意識改革の徹底に努め、組織と職員の総合力を発揮しながら、総合計画の実現に向け、各種施策を迅速かつ効果的に推進してまいります。
 私としては、この一年、「長崎県総合計画」の実現に必要な基盤をしっかりと築いていくため、全身全霊を尽くす決意であり、職員と一丸となって、県民の皆様に具体的成果をお示しすることができるよう最大限の努力を傾注してまいります。

 それでは、新年度の主な取組について、「長崎県総合計画」の3つの基本理念と10の政策に沿ってご説明いたします。
1 人が輝く長崎県
(未来を託す子どもたちを育む取組の推進)
 核家族化の進行や地域社会における人間関係の希薄化により、家庭や地域の養育力・教育力が低下するなど、子育てや教育を取り巻く環境は厳しい状況にあり、県民総ぐるみで子育てを支援し、豊かな心と自立心を育て、個性や能力を伸ばす教育を推進していくことが求められております。
 このため、市町や地域と密接に連携しながら、本県独自の学習プログラムを活用した家庭教育への支援や訪問型家庭教育相談の充実を図り、子どもや子育て家庭への途切れることのない支援を実施してまいります。さらに、安心して子どもを生み育てることができるよう、引き続き、妊婦健診等の助成により妊娠・出産を支援するとともに、来年度から県内殆どの市町で実施される乳幼児医療費助成の現物給付を推進してまいります。
 また、子どもたちの個性を活かし、能力を伸ばす教育を推進するため、新たに、学力調査結果に基づく児童・生徒の習得状況を踏まえた学習支援や、言語活動の充実を図る実践教育に取り組むとともに、引き続き私立高等学校や専修学校等における魅力ある教育を推進してまいります。さらに、地域と家庭、学校が連携する「学校支援会議」の活動を促進し、地域の教育力の向上と子どもを核とした地域コミュニティの活性化を図るほか、地域の図書館における司書等を活用した住民への情報提供や相談対応の充実を推進してまいります。
(一人ひとりをきめ細かく支える施策の推進)
 厳しい経済状況の中、県民の安全で安心な暮らしを守っていくためには、医療、保健、福祉、介護、子育てなど、県民生活に関わる一人ひとりの思いや痛みを敏感に感じ取り、それらに対応したきめ細かな支援を充実していくことが重要であります。
 緊急の課題である病院勤務医師の確保については、魅力的な研修プログラムの検討や研修医の確保事業に取り組んでいる「新・鳴滝塾構想推進事業」において、新たに研修医への住居支援や指導医等の海外研修支援などを実施してまいります。今後、不足が見込まれている看護職員についても、看護職員修学資金の貸与枠拡大、専門分野の資格取得や研修等への支援の充実を図るとともに、病院等における離職防止や就業環境整備の取組などと連携しながら、確保対策を推進してまいります。
 さらに、各地域における医療課題の解決に向けては、「地域医療再生臨時特例基金事業」を活用し、佐世保・県北地域における救命救急センターの整備や離島地域における医療機能の集約化・機能分化などを着実に推進してまいります。
 また、きめ細やかな対応が必要な子どもや親を支援するため、社会生活を営む上で困難を有する子どもや若者を総合的にサポートする相談窓口を新たに設置するとともに、児童虐待の発生防止・早期発見・早期対応に向け、協議会の設置による関係機関の連携強化や一次的な窓口となる市町の体制強化に取り組んでまいります。さらに、ひとり親家庭等の就労による自立を促進する在宅就業支援事業の実施、DV被害者のステップハウス等の整備や自立に向けた支援の充実、配偶者暴力相談支援センターの機能強化等にも取り組んでまいります。
 一方、現在、高齢者を地域が連携して支える体制をつくることが急務となっていることから、認知症疾患医療センターの更なる整備を図るとともに、経済対策の基金を活用し、認知症高齢者や独居老人などの支援を要する高齢者を、行政や自治会、民間企業等が共同して見守るネットワークの構築に向け、市町を支援してまいります。
 このほか、「長崎県歯・口腔の健康づくり推進条例」に基づき、歯科疾患予防についての普及啓発の強化や在宅歯科医療体制の整備を図るとともに、がん検診の受診率向上に向けた取組の推進や自殺対策の拡充、新型インフルエンザ対策の強化などに努めてまいります。
(人を育てる、人を活かす取組の推進)
 本県の昨年12月の有効求人倍率は、前月を0.01ポイント上回る0.51倍となったものの、依然として厳しい状況にあり、また、こうした雇用環境を反映して、今春卒業予定の高校生の就職内定率も低い水準となっております。
 このような状況を踏まえ、平成23年度においても、「ふるさと雇用再生特別基金」と「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用し、医療、介護、教育等の様々な分野において約1900人の雇用創出を図るほか、民間の求人・求職サイトを活用した支援の充実や合同企業面談会の開催拡充等により、新規学卒者の就職を促進してまいります。
 特に、私は、今、前途ある若者が未就職のまま卒業することを未然に防ぐために全力をあげなければならないと考えており、県や国の支援を強化し体系化した「長崎県新規高卒者就活応援プログラム」の積極的な活用を学校関係者や経済団体等に周知するとともに、今月9日には佐世保市で、10日には長崎市で緊急の合同企業説明会を実施いたしました。さらに、未内定者や保護者を対象としたセミナーの開催やフレッシュワーク相談員等の増員により、きめ細かい就職支援を行うなど、引き続き高校生の就職促進に努めてまいります。
 また、女性が活躍できる環境づくりを推進し、「女性力」を生かした地域の活性化を図るため、女性の視点で課題を抽出し、解決策を幅広く議論していただき、その提言を県はもとより、民間等においても実践していくプロジェクトを推進するとともに、意欲ある女性農業者を支援し、女性力を活かした農業経営の推進と農村地域の活性化を図ってまいります。
 さらに、漁業就業者の減少や高齢化が進む中、漁業への新規就業を促進するため、地域に協議会を設置して受入体制の整備を図り、漁家子弟の着業を推進するための支援を充実するほか、企業ニーズの高い人材を育成するためのセミナーの開催や高校生等の溶接技術の資格取得促進に取り組むなど、地場産業を担う人材育成に力を入れてまいります。
 また、これまで専ら行政が担ってきた「公」をNPO等に開き、新しい公共の担い手としてその自立的活動を後押しし、公的サービスの効率的・効果的提供と地域における雇用や参加の場の拡大を推進していく「新しい公共支援事業」が、国の経済対策により実施されることとなりました。県としては、これを機に、本県の実情に即した形でNPO等の活動基盤の整備や具体的協働事業をさらに積極的に推進し、「新しい公共」の拡大・定着を図ってまいります。

2 産業が輝く長崎県
(力強く豊かな農林水産業を育てる施策の推進)
 農林水産業を取り巻く状況は、農水産物の価格低迷や生産資材等の価格上昇、高齢化や後継者の不足など、依然として厳しい状況にあり、このような中、さらに現在、国においては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた検討が進められております。
 私は、本県の農林水産業に極めて深刻な影響を及ぼすTPPへの参加は、十分な時間をかけ慎重に検討すべきであると考えていますが、産地間の競争を勝ち抜くためには、競争力のある力強い農林水産業の育成が不可欠であることから、生産性の向上や流通まで踏み込んだ販売対策の実施、加工分野の取組の強化などに、さらに力を入れてまいりたいと考えております。
 中でも、地域の農業・水産業を牽引する中核的な農業者や漁業者等の育成が急務となっていることから、新年度からは、雇用創出などによる地域への貢献が見込まれる意欲ある個人の取組にも助成を行い、支援を強化してまいります。
 農林業においては、強い経営体の育成を図るため、認定農業者の経営状況のデータベース化による経営改善計画の達成と徹底したフォローアップに取り組むとともに、法人化や農地の集積、6次産業化、生産性の向上等に対し、重点的に支援を行ってまいります。
 また、流通対策として、新たに地域中核量販店を対象とした販売促進対策を実施することで、戦略品目の取引拡大や準戦略品目の販売を促進し、契約的取引による農産物流通の安定化を図るなど、生産者や産地との連携を強化してまいります。
 さらに、本県農産物の付加価値向上を図るため、新たに県産農産物を主原料とした農産加工品の認証制度を構築し、全国に向け販売展開を図るとともに、農産物の海外への輸出拡大に向けた支援を実施してまいります。このほか、耕作放棄地を活用した放牧を推進する県有牛の無料貸出制度の創設、農山村資源の保全や地域ビジネスの創出をモデル的に支援する農山村の活性化対策、さらには木材市場と製材所の連携強化や県産材の輸出に向けた取組なども推進してまいります。
 水産業においては、収益性の高い安定した経営体づくりを進めるため、国の資源管理・漁業所得補償対策と連動して漁業共済等への加入を促進する融資制度や、コスト削減や経営安定化に取り組む認定漁業者等に対し、省エネ漁船の導入経費等を無利子資金や補助により支援する制度を創設いたします。
 また、養殖業の付加価値を高め、競争力の強化を図っていくため、クエの養殖技術の確立やトラフグの早期採卵技術の実証開発試験に取り組むほか、大規模な人工海底山脈の造成による資源回復や悪質・広域化する密漁の対策を強化するための高速漁業取締船の整備に取り組んでまいります。
 さらに、本県は、全国有数の養殖クロマグロ生産県を目指し積極的な取組を推進しておりますが、その殆どが天然種苗に依存しており、国際的な資源管理に対応するための人工種苗の導入促進が大きな課題となっております。こうした中、来年度には、クロマグロの種苗放流等に向けた採卵技術の開発のため、独立行政法人水産総合研究センターが長崎市の西海区水産研究所に、陸上における親魚産卵試験棟を世界で初めて整備する予定となっており、県としてもその技術を活用しながら、クロマグロの完全養殖に向けた取組を全力で推進してまいります。
 また、水産加工業の振興に向けては、本県独自の技術を活かした新たな水産加工品の開発や、産地の優位性を活かした高鮮度加工の推進、鮮魚や加工品の地域ブランド化等に対し支援を行い、「もうかる水産加工業」の育成を推進してまいります。
 一方、本県農水産物の販路拡大とブランド化に向けては、戦略商品10品目を中心とした「長崎フェア」等の取組に、新たに市町や民間団体と連携する推進体制を導入し、地域が有する優れた地場産品を発掘することにより、ブランド化の対象を戦略商品以外にも拡大し、流通業界とのネットワークを活かしながら、「ナガサキブランド」を確立してまいります。
(次代を担う産業と働く場を生み育てる施策の推進)
 地場企業を取り巻く経済環境は、厳しい状況が続いており、県内経済の活性化と雇用の確保を図るには、本県産業の中核を担う地場中小企業の経営基盤の強化や競争力の強化、新事業の展開に対する支援の充実などが必要となっております。
 このため、県では、これまでの個別企業への支援に加え、新たに、複数の中小企業等が連携して受注機会の拡大や収益性の向上を図る取組を促進し、産学官に金融機関を加えた支援体制により企業間の連携を支援してまいります。また、市場拡大が見込まれる環境・新エネルギーや医療・福祉の分野において、エネルギーの地産地消の取組や現場ニーズ・販路を見据えた事業創出、県内企業製品のトライアル導入制度の創設などを通じて、企業の新分野進出や事業拡大を支援するほか、中小企業のデザイン力を強化する対策にも取り組んでまいります。
 さらに、事業化につながる技術開発を進めるため、地場企業を産学官金の継続的な連携体制により支援するとともに、東京大学生産技術研究所が持つ優れた先端技術を県内企業に導入することで新産業の創出につなげてまいります。
 本県の代表的な地場産品である陶磁器についても、大消費地の百貨店等でのフェア開催やギャラリー展示などを通じてPRを行うとともに、商品開発や商談会等を支援し、産地の特徴を活かした陶磁器産業の振興と販売拡大を推進してまいります。
 企業誘致については、厳しい経済状況にあるものの、今後も粘り強く取り組んでいく必要があるものと考えており、ニーズが高い内陸型の工業団地が残り少ないことから、昨年12月に、新たに大規模工業団地を整備する「市町営大規模工業団地整備支援事業」の候補地として、佐世保市小佐々町内の地区を選定いたしました。来年度以降、佐世保市が整備を行うに当たっては、造成経費等について、従来よりも充実した補助制度により支援を行ってまいります。
 また、長崎EV&ITSプロジェクトについては、観光情報プラットフォームの構築や情報配信設備の設置など、今後とも、未来型ドライブ観光モデルの完成に向けた整備を進め、関連システムの開発などによる地場産業の振興を図ってまいります。
 なお、去る1月24日、株式会社博多大丸において、長崎店の営業を本年7月で終了することが決定されました。長崎市を代表する百貨店の閉店は誠に残念であり、地域経済や雇用への影響が憂慮されますが、新たな商業展開も含め跡地の活用が検討されていると伺っており、同社に対し商店街の賑わいへの配慮と雇用の維持に努めていただくよう、長崎市と共同で要請を行っております。県としても、商店街への支援制度の活用可能性の検討や、再就職支援センター等における個別の就職支援など、必要な対策に努めてまいります。
(地域の魅力を磨き上げ人を呼び集める取組)
 私は、来年度は、「龍馬伝」の放送終了に加え、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業することから、観光地としての新たな魅力を創出し観光客の減少を最小限にとどめ、改めて本県観光の基盤を築き上げていく節目の年になるものと考えております。
 このため、来年度は、新たに「文化観光物産局」を設置して、豊かな歴史、文化、自然等の本県のソフトパワーを最大限に活用し、これに磨きをかけ、「食」と観光をテーマとしたイベントの開催や「孫文・梅屋庄吉と長崎」の取組をはじめ、2011交流拡大プロジェクトを全力で推進するとともに、文化・観光・物産が連携した戦略的な情報発信を展開してまいります。
 中でも、2011交流拡大プロジェクトの核となる「来てみんね!長崎『食KING王国』」については、県内全域を舞台に、「食」と歴史・文化などの地域資源を融合させた多彩なイベントを開催し、旅行商品の造成と合わせて観光客の誘客を図り、イベント実施後も地域主体の「食」を活かした取組が継続的に実施されるよう取り組んでまいります。
 さらに、辛亥革命百周年にあたる今年は、孫文の活動を物心両面から支えた長崎県出身者「梅屋庄吉」の功績を広く顕在化させる取組を推進し、官民一体で本県と中国との揺るぎない友好の絆を築きあげるとともに、国内外からの誘客を一層拡大してまいりたいと考えております。このため、今月8日には、孫文と梅屋庄吉の顕彰や長崎とのゆかりの顕在化、国内外への発信に取り組むため、市町や経済界などと共に「孫文と梅屋庄吉」発信プロジェクト推進協議会を設立したところであり、今後はこの協議会と連携し、長崎歴史文化博物館における企画展やシンポジウムの開催、中国におけるプロモーションの実施など、様々な事業を展開してまいります。
 また、長崎歴史文化博物館には、「龍馬伝」効果により90万人に及ぶ多くの方々が訪れましたが、さらにその魅力を高め、この効果を持続するため、幕末・維新期の展示の充実などによる常設展示のリニューアルを行い、今後も本県観光の拠点として交流人口の拡大を図ってまいります。
 加えて、スポーツで人を呼び集め、地域活性化につなげるため、トップレベルの競技大会やスポーツ合宿の誘致、スポーツと旅行を組み合わせたスポーツツーリズムを推進するとともに、ロンドンオリンピック予選を兼ねたアジア女子バスケットボール大会の本県開催を支援してまいります。
(アジアと世界の活力を呼び込む取組の推進)
 「アジア・国際戦略」については、昨年5月に本部を設置し、県議会をはじめ、市町や民間の皆様方のご意見をお伺いしながら検討を進めてきたところであり、このたび平成23年度の行動計画案を取りまとめました。
 本戦略では、成長著しいアジアを中心に海外の活力を取り込み、本県経済の活性化を図るため、本県がアジアに対する日本のゲートウェイとなることを目指し、「上海航路復活」、「東アジア重点市場観光客誘致強化」、「孫文・梅屋庄吉と長崎」などの部局横断的な戦略プロジェクトに取り組むこととしており、来年度からは新たに「アジア・国際戦略課」を設置して推進体制の強化を図ることとしております。
 本議会でのご議論も踏まえ、今年度中に戦略を策定し、各市町や関係機関等と連携を図りながら、本県の歴史・文化・観光・物産などの多面的魅力と個性を情報発信することで本県のイメージ形成を図り、外国人旅行者の誘致や県産品の輸出など、実需の創出・拡大につなげてまいりたいと考えております。
 具体的取組としては、上海航路の復活のほか、長崎港のゲートウェイ機能の再構築やクルーズ船の受入拡大のための母港化、経済交流を促進するための中国における拠点整備の検討など、本県の将来を見通した様々な施策を展開してまいります。
 また、中国、韓国、台湾、香港などアジアからの観光客の誘致に重点的に取り組み、「龍馬伝」の海外放送や本県をロケ地とする映画・ドラマの放送を活用しながら、観光・物産が連携した積極的なプロモーションを展開するとともに、海外からのチャーター便の3倍増を目指してまいります。
 さらに、今後増加が見込まれる訪日観光客の受入体制づくりが急務となっていることから、外国人観光客の受け入れに地域が一体となり戦略的に取り組む場合に、外国人に対応した宿泊施設等の設備整備を支援する制度を新たに創設するほか、海外からのクルーズ船の受入拡大にも一層力を入れてまいります。
 県産品の海外への輸出拡大に向けては、中国において観光 PRと連携した「県産品フェア」を開催するとともに、台湾での「龍馬伝」の放送に合わせて物産展を開催するなど、アジアにおける「ナガサキブランド」の知名度向上に全力で取り組んでまいります。また、県内企業が中国に進出する際のサポート体制の強化や、中国でニーズが高い環境関連分野での実証プロジェクトの創出など、県内企業の海外でのビジネス展開を積極的に支援してまいります。
 このほか、長崎県の国際化や産業の活性化に貢献できる人材を育成するため、県独自の海外留学支援制度を創設するとともに、県内における外国人留学生の暮らしやすい環境づくりや、留学生を活用した地域の国際化、私立大学等における留学生の受け入れに対する支援などにも、力を入れてまいります。

3 地域が輝く長崎県
(「地域発の地域づくり」を進める取組)
 私は、かねてから、人口の減少や高齢化などにより地域の活力が低下するとともに、地域を支えるコミュニティの力が衰えつつあることに、強い危機感を感じてまいりました。
 こうした状況の中、地域に活力を取り戻し、地域が輝く長崎県をつくっていくためには、そこに住む方々が主役となり、その思いを活かし、相互に交流や協力を図りながら、力を合わせて地域づくりやコミュニティの活性化に取り組んでいくことが重要になってまいります。
 このため、県としては、新年度から、市町と連携しながら、これからの時代の「新たな地域コミュニティ」のモデルづくりや「自治会活動の強化」を図るとともに、県民に地域づくり活動への参加を促す取組や、地域と地域を応援する団体を結びつけるマッチング事業にも取り組んでまいります。  
 これにより、住民が力を合わせて地域活動や地域づくりに取り組むための基盤をつくり、さらに、企業・団体、市町等から多くの応募をいただき、現在、事業の選定を進めている「がんばらんば長崎」地域づくり支援事業などを通して、地域の取組を力強く後押ししてまいります。
 平成25年3月の現行離島振興法の期限を控え、現在、有識者等からなる県離島振興懇話会で、今後の離島振興のあり方等についてご議論をいただいております。平成23年度においては、この懇話会のご提言も踏まえ、離島振興に関する本県の意見書を国へ提出するとともに、国民的理解を得るための総決起大会を開催し、国境離島や外洋離島対策などの本県の実情を踏まえた思い切った施策を盛り込んだ、新たな法整備が実現できるよう積極的に取り組んでまいります。
 また、私は、本県離島の厳しい現状を考えますと、新たな法の制定に先行して、県の総力を挙げた離島振興対策に早急に取り組む必要があると考えており、新たに、私を本部長とする「長崎県離島振興本部会議(仮称)」を設置し、総合計画に掲げる「しまは日本の宝」戦略を全力で推進してまいります。
(安全・安心で快適な地域をつくる取組)
 安全・安心で快適な地域をつくるため、新たに私立学校の改築に対し支援を実施するなど、学校の耐震化の推進や地域の防災対策に全力で取り組むとともに、犯罪のない安全・安心な地域社会を実現するため、市町が主体的に取り組む防犯活動や地域の防犯団体の育成などに対し、支援を行ってまいります。
 また、ふるさとの美しい環境や自然を次の世代に引き継いでいくため、本議会に議案として提案している「長崎県環境基本計画」に基づき、「海・山・人 未来につながる環境にやさしい長崎県」の構築に積極的に取り組んでまいります。
 中でも、平成23年度においては、緊急の課題である地球温暖化対策を推進するため、事業所や家庭の省エネ診断による省エネ効果の「見える化」を図り、省エネ改修等を促進するとともに、その効果を広く公表することで、県民総ぐるみの運動につなげてまいります。
 また、環境分野での産業振興と雇用確保を目指す「ナガサキ・グリーンニューディール」を強力に推進するため、来年度は、環境部に新たに「ナガサキ・グリーンニューディール推進室」を設置し、県内企業の技術を活かした省エネ設備等の家庭や企業への導入を推進するとともに、環境実践モデル都市における地域資源を活かした環境技術の導入を支援し、技術開発の促進や県内の環境産業の振興につなげてまいります。
 さらに、本県の豊かな生物多様性を保全するため、新たな長崎県版「レッドデータブック」に掲載された種の保護保全方針を策定するほか、島原半島ジオパークの活用を推進するため、国・県・市等で連携を図りながら、ジオパークに関する展示施設等の整備やジオツーリズムの促進に取り組んでまいります。
(地域づくりを支えるネットワークをつくる取組)
 多くの離島や半島を有する本県において、観光交流の拡大や産業の振興などによる地域づくりを推進していくためには、それを支える鉄道や道路、航路、航空路などの交通ネットワークの整備が不可欠であります。
 このため、まずは、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の平成30年4月の武雄温泉〜長崎間フル規格による一括開業を目指し、残された課題の一日も早い解決に向け、引き続き積極的な取組を推進してまいります。
 また、道路網の整備については、長崎南環状線の女神大橋を中心とした約5kmの区間に続く、唐八景トンネルを含む約3kmの区間が完成し、今月13日に全線開通をいたしました。今回、長崎南環状線が長崎自動車道の長崎インターと連結したことにより、長崎港からの物流の一層の効率化が図られるとともに、3月27日に開通する伊王島大橋と相まって、さらに大きな効果が発揮されるものと期待しております。
 来年度においては、引き続き島原道路をはじめとする幹線道路網の整備に重点的に取り組んでいくとともに、離島地域の基幹航路についても、平成23年度は、国の交付金を活用して、長崎〜五島航路の2隻目のフェリーの新船建造に取り組むなど、交通基盤の整備に力を入れてまいります。
 さらに、公共交通の経営安定と安心して安全に利用できる公共交通を確保するため、離島バスの活性化に必要な対策の検討を支援するとともに、鉄道駅のバリアフリー化の推進に必要な施設整備の支援などにも取り組んでまいります。

 それでは、次に、これまでの3つの柱に沿った事業以外の主な施策や懸案事項などについてご報告を申し上げます。
(諫早湾干拓事業の控訴審判決への対応)
 諫早湾干拓事業については、常時開門を命じる福岡高裁の控訴審判決を受け入れた国の対応について、去る1月13日、諫早市長、雲仙市長との連名で、菅総理大臣に対し質問状を提出いたしました。
 質問状においては、国はなぜ地元に対し何ら相談も説明も行うことなく上訴を放棄されたのか、判決が過去の最高裁決定と矛盾し、合理性を欠く事実認定など問題が多いと思われることを国はどう評価したのか、常時開門を行う場合の影響・被害にどのような具体的対応策を持ち判決の受け入れを判断されたのか、などについて考え方を示していただくよう求めたところであります。
 これについて、1月23日に鹿野農林水産大臣が諫早市を訪れ、国の考え方を説明し地元関係者と意見交換を行われましたが、その際も、開門受け入れの判断の前に当然検討されるべき、開門による防災、農業、漁業、環境への具体的な影響や被害、実現可能な対応策等については、一切、具体的説明がありませんでした。
 また、農林水産省としては、防災、営農、漁業への影響が懸念されるなどの問題があることから、総理に対し「上告を行った上で原告側及び関係者の間で和解による解決を求めていきたい」との説明を行い、総理はそのことを理解した上で、防災・営農・漁業への影響に十分配慮し、開門の方法、時期、期間について、関係者との話し合いを行うとともに、環境アセスメントを行った上で、万全な事前対策を実施することを前提に「上告は行わない」という方針を決定した旨の説明がありました。 
 こうした農林水産大臣の説明に対し、地元市長をはじめ地元関係者からは、強い不信と怒りの声があったところであります。
 その後、1月28日付けで、菅総理から郵便で質問状に対する回答の送付がありましたが、意見交換会での大臣の説明と同様に具体的な回答はなく、開門による影響や対策等については、「現在実施している環境アセスメントにおいて検討している」、「開門の方法、時期、期間について関係者と話し合いを行う」、「必要となる対策を講じていく」といった回答に終始しており、到底、地元が安心し納得できるものではありませんでした。
 判決後の国の対応やこうした総理の回答を受け、地元関係団体においては、開門による生命・財産への被害を生じさせないためには、もはや開門差止めに向けた訴訟を行うほかなく、提訴に向けた準備を進めると同時に、訴訟提起団体に対し、地域を挙げて支援を行っていくとの方針などが決定されております。
 県としては、地元の不安に対し、法的問題も含め相談に応じているところであり、今後とも、開門により地元に重大な被害を引き起すことが決してないよう、県議会や地元関係者の皆様と連携を図りながら、適切に対処してまいります。
(県庁舎の整備)
 県庁舎及び警察本部庁舎の整備については、現庁舎が抱える課題を解決するため、長年にわたり検討が行われてまいりました。
 こうした中、それまでの経緯や県議会でのご議論等を踏まえ、一昨年5月に県議会で「県庁舎整備に関する意見書」が採択され、昨年2月にはその趣旨を踏まえた「県庁舎整備基本構想案」を策定いたしました。その後県議会におかれては、県庁舎整備特別委員会において「県庁舎整備について県民の声を聴く会」の開催とともに熱心なご審議を賜り、1月臨時会において委員長報告が行われるとともに、長崎魚市跡地における県庁舎建設に速やかに着手することを求める「新たな県庁舎の建設に関する意見書」が採択されたところであります。
 県庁舎の整備について、私は、建設ありきではなく県民の皆様のご意見を十分踏まえ検討を行うべきであると考え、パブリックコメントをはじめ、各種団体との意見交換会や「県民の声を聴く会」への職員の出席、地元自治会・商店街の方々との意見交換などを通して、広く県民の皆様の声をお聴きしてまいりました。
 その状況としては、移転に反対されるご意見もありましたが、県民の皆様の大方のご意見は、長崎魚市跡地での建設に賛成であったと考えております。こうした状況を踏まえ、私は、現庁舎が抱える諸課題の中で、防災拠点施設としての機能確保という喫緊の課題を、県政の責任者として放置することはできないと考え、今般、その早急な解決に向け、長崎魚市跡地における新庁舎建設に着手する必要があると判断をいたしました。
 新たな県庁舎については、まずは県民の安全・安心を支える防災拠点施設としての機能を十分に確保し、庁舎整備による円滑で効率的な行政運営の成果を県民に還元できるよう努めるとともに、県民が気軽に利用できる開かれた庁舎として整備してまいります。また、将来の行政ニーズの変化にも的確に対応できるよう工夫を行いながら、「県民とともに新しい時代を切り拓く庁舎づくり」を実現してまいりたいと考えております。
 今後は、来年度から基本設計に着手し、平成28年度の完成に向けて、「基本構想」をもとに、引き続き県議会や県民の皆様のご意見をお聴きしながら事業を推進してまいります。
 また、県庁舎建設や現庁舎の跡地活用は、長崎市のまちづくりの観点からも重要な問題であると認識しております。このため、跡地活用については、今後とも、県議会をはじめ県民の皆様のご意見をいただきながら、長崎市のみならず長崎県全体にとって最善の活用方策となるよう、県庁舎建設と並行して、地元長崎市と一体となり、積極的に検討を進めてまいります。
(上海航路の復活)
 上海航路の復活については、私は就任早々アジア・国際戦略を旗印として掲げる際に、何とかしてこの航路を復活できないかと考え検討を行ってまいりました。このような中、ハウステンボスが、本年7月に上海航路の開設を目指すとの構想を打ち出されたところであります。
 上海航路が実現すれば、日中両国で整備が進む新幹線網を一つにつなぎ、新アジア軸を形成する新たな交流インフラが整備されることになり、長崎を日中交流のゲートウェイとして再構築し、本県の有する地理的・歴史的な優位性を本県経済の活性化に活かすことが可能になってまいります。
 また、特に本年は、本県と上海市との友好交流関係樹立15周年に当たり、上海航路は中国との交流をより深めていくための有効な手段にもなります。古くから中国との交流の中で発展を遂げてきた本県にとって、上海航路の復活は、まさに、千載一遇のチャンスであり、中国人観光客の誘致促進や観光関連産業の振興はもちろんのこと、新幹線の開業を後押しし、長崎の都市再生の一端を担うものにしてまいりたいと考えております。
 このため、県としては、昨年末に庁内に副知事をトップとする「上海航路復活」プロジェクトチームを立ち上げるとともに、県民参加型の社会実験として市町や民間団体ともしっかりと連携・協働しながら、船内における観光、物産、歴史・文化など本県の魅力の情報発信や県内各地域での様々なもてなしの事業を展開するなど、日中交流の促進と航路を活かした本県の活性化に向け、積極的に取り組んでまいります。
(大島大橋の無料化)
 離島架橋については、人口の減少が続く中、地域の活力を維持し交流人口を拡大していく必要があることから、できる限り無料化が図られるよう取り組んでまいりました。
 その結果、平戸大橋と生月大橋は、昨年4月から無料化が実現し、また、来月開通する伊王島大橋についても無料化が決定していることから、現在、県内では、唯一大島大橋が有料の離島架橋となっております。
 大島大橋の無料化については、先の11月定例会においてもご議論をいただき、約37億円の未償還金の負担について、地元西海市がどこまで主体的に役割を果たしていただけるかが重要であるとの考えをお示しするとともに、県としても、市の負担が可能となるような方策を検討し、協議を進めてまいりました。こうした中、去る1月31日に西海市から、市としても合併特例債を活用して未償還金の返済に積極的に負担を行い、県の支援を得たい旨の要望をいただいたところであります。
 今回の提案を踏まえ、私としても、大島大橋の無料化を望む地域の強い思いを十分に理解したところであり、合併による地域の一体化をさらに推進し、大島・崎戸地域の活性化を図るためにも、無料化は大変有効な方策であると考えております。
 このため、今回、県の出資金約14億円の返還を免除することにより、本年4月1日からの無料化を図りたいと考え、本議会において関係する議案並びに予算案を提出しているところでありますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。
(長崎県「新」行財政改革プランの策定)
 これからの地域主権改革の時代において地方は、これまでのように国の政策に依存するのではなく、国から自立し、地域の諸課題に対し責任を持って施策を実施することが求められており、こうした視点から県では、今後取り組むべき行財政運営の方向性を取りまとめた「長崎県「新」行財政改革プラン」を策定し、平成23年度から取り組んでまいりたいと考えております。
 このプランでは、事業の効率化や重点化などの収支改善にかかる取組を切れ目なく実施するとともに、県民との積極的な対話や協働による県民の県政への参画、県民ニーズに的確に対応できる職員の育成や組織体制の整備、市町の自立的・意欲的な取組への支援等に積極的に取り組むこととしております。
 プランの実践にあたっては、職員の意識改革に積極的に努め、職員一人ひとりが地域経営の責任者としての自覚を持ち、自ら地域の実態を把握し、諸課題を迅速に解決する施策を県民とともに考え、具体的な成果を地域に還元してまいります。
(高病原性鳥インフルエンザへの対策)
 本年1月以降、高病原性鳥インフルエンザが宮崎県や鹿児島県などの養鶏農場等で発生し、感染拡大の防止に向けた取組が続けられていますが、本県でも、死亡していた野鳥が高病原性鳥インフルエンザH5N1亜型・強毒タイプに感染していたことが判明するなど、予断を許さない状況にあります。
 県では、死亡野鳥の感染が疑われた早い段階から、発見場所から半径10?圏内で野鳥の監視を強化しているほか、家きん飼養農家への聞き取りや立入検査を行い、異常がないことを確認するとともに、養鶏関係団体等を招集した防疫対策会議を開催し、感染防止に向けた注意喚起などを図っております。また、家きんを百羽以上飼養する県内全ての農場等に消石灰を配布し、飼養施設周辺の一斉消毒を実施するとともに、飼養衛生管理基準の遵守状況について再点検を行っているところであります。
 さらに、県としては、庁内に警戒連絡会議を設置し、関係部局間の情報の共有と連絡体制の強化に努めており、今後とも、市町や関係団体等と連携し、飼養農家への防疫指導の徹底を図るとともに、鳥類を飼養する学校、動物園をはじめ広く県民の皆様に注意を喚起するなど、万全の対策を講じてまいります。
(九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の推進)
 九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)については、平成  23年度政府予算案において、既着工区間の武雄温泉〜諫早間に本年度を上回る100億円の事業費が計上され、一層の事業進捗が図られることとなりました。
 一方、諫早〜長崎間などの未着工区間については、来年度中に新規着工が決定された場合に対応できるよう、事業費の中に留保分として、全国枠で90億円が確保されました。しかしながら、着工についての判断が昨年中に行われなかったことについては誠に残念であり、必要な財源を確保し、一刻も早く未着工区間の認可・着工を実施していただきたいと考えております。
 こうした中、私は、佐賀県やJR九州と一層の連携を図っていくことが重要であると考え、去る1月28日に、古川佐賀県知事、唐(から)池(いけ)JR九州社長とともに中央要望を行いました。当日は、民主党陳情要請対応本部の稲見副本部長や小泉国土交通大臣政務官、自由民主党、公明党に対し、未着工となっている諫早〜長崎間の早期認可・着工などについて、強く要望してきたところであります。
 今後とも、県議会のご協力を得ながら、佐賀県やJR九州、沿線自治体、経済界とも連携し、これらの課題の解決を国等にさらに強く働きかけてまいります。
(ハウステンボスの経営状況)
 ハウステンボスの平成22年4月から9月までの半年間の決算が、昨年12月に公表されました。入場者数は86万6千人で前年同期と比べて17.3%の増加、また、経常利益も4億2百万円で前年同期と比べて10億9千万円の増加となり、開業以来初めての黒字決算となりました。
 10月以降も「ガーデニングワールドカップ」の開催や「光の王国」の展開など、更なる魅力向上が図られており、1月までの4ヶ月間の入場者数は63万4千人で前年同期に比べて 50%増、観光事業売上高は41億9千5百万円で同38.4%増となっております。
 これは、ハウステンボスの企業努力に加え、一昨年12月の決議をはじめ県議会のご協力をいただきながら、県としても、マリーナ等の港湾施設の県有化や、佐世保・ハウステンボス龍馬伝館の設置支援、国内外からの誘客対策などに取り組んできた成果が現れたものと考えております。
 ハウステンボスでは、今後も上海航路開設によるアジアからの観光客の誘致強化など様々な事業を展開し、「観光ビジネス都市」の実現に取り組むと伺っており、県としても、地元佐世保市をはじめ各界の関係団体と連携した集客対策の実施など、引き続きハウステンボスの再生支援に取り組んでまいりたいと考えております。
(長崎国体に向けた取組)
 長崎国体については、去る1月31日に長崎県準備委員会常任委員会を開催し、新たにホッケー競技及びクレー射撃競技の会場地を選定するとともに、公開競技としてトライアスロンを実施することを決定いたしました。
 また、デモンストレーションとしてのスポーツ行事第3次選定を行ったことにより、正式競技、公開競技と合わせると県内全市町が長崎国体の会場地となりました。
 こうした中、昨年末に開催されたJOCジュニアオリンピックカップでは、本県中学校選抜女子バレーボールチームが2年連続4回目の優勝、中学校選抜男子ハンドボールチームが初優勝し、1月の全国都道府県対抗駅伝においても、男女共に入賞するなど好成績をあげており、国体開催に向け各競技団体や関係機関の気運も盛りあがっております。
 今年7月には、いよいよ本県での国体開催が正式に決定されることとなっており、県では、来年度から「国体・障害者スポーツ大会部」を新たに設置し、市町、関係団体等と一体となり、大会の成功に向け一層取組を強化するとともに、開催年を見据えた競技力の向上にもさらに力を入れてまいります。
(石木ダムの推進)
 石木ダムについては、ダム事業の検証にあたって、国が示した「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」により、関係地方公共団体である佐世保市、川棚町、波佐見町とともに、昨年12月11日に「検討の場」を設け、去る1月28日には、第2回目の会議を開催いたしました。
 この「検討の場」においては、川棚川の治水対策及び佐世保市の慢性的な水不足の解消を図るための治水・利水対策の代替案を複数立案し、評価・検討を行っており、現在、広く県民の皆様からご意見をいただくため、パブリックコメントを実施しております。今後、関係住民や学識経験者等のご意見をお聞きし、さらに公共事業評価監視委員会の審議を経たうえで、県としての対応方針を決定することとなります。
 未だご理解が得られていない地権者の皆様には、こうした検証とあわせながら、県としての考え方をお示しし、今後とも、一日も早くご理解をいただくことができるよう誠心誠意対応してまいります。

 次に、議案関係についてご説明いたします。
 まず、平成23年度予算については、「長崎県総合計画」や先の11月定例会での長崎県重点戦略案に対する議論、政策評価の結果等を踏まえて編成いたしております。

一般会計の予算額は、
7,090億4,895万8千円
特別会計の予算額は、
292億4,848万6千円
企業会計の収益的支出及び資本的支出の総額は、
 
69億2,496万1千円
となっております。
 次に、平成22年度補正予算でありますが、今回の補正予算は、国の「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」への対応と国庫支出金の決定等に伴う事業費の増減、その他年度内に執行を要する緊急な事業費について計上しました。
一般会計
235億8,756万5千円
の減額
特別会計
14億5,977万4千円
の減額
企業会計 1億6,650万4千円 の減額
補正をしております。
 この結果、平成22年度の一般会計の累計予算額は、
 
7,374億2,752万4千円
 
となっております。
 次に、予算以外の議案のうち、主なものについてご説明いたします。
 第21号議案「長崎県特別会計条例の一部を改正する条例」は、長崎県公債管理特別会計の設置に伴い、所要の改正をしようとするものであります。
 第33号議案「長崎県美しい景観形成推進条例」は、現行の「長崎県美しいまちづくり推進条例」に定める事業の見直しと景観法に基づく行為規制等に必要な事項を定めるため、条例を改正しようとするものであります。
 第41号議案「包括外部監査契約の締結について」は、地方自治法の規定に基づき、包括外部監査人との契約を締結しようとするものであります。
 その他の案件については、説明を省略させていただきますので、ご了承を賜りたいと存じます。

 以上をもちまして、本日提出いたしました議案の説明を終わります。
 なにとぞ、慎重にご審議のうえ、適正なるご決定を賜りますようお願い申し上げます。

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