閉会中の委員会活動

農水経済委員会

現地調査

委員会名 農水経済委員会
目的 農水経済行政現地調査
日時 平成30年7月31日(火)~8月2日(木) (3日間)
調査先 兵庫県、石川県、富山県
出席委員 委員長 山口経正、副委員長 髙橋勝幸、委員 中島廣義、委員 山田博司、
委員 久野哲、委員 髙比良元、委員 中村和弥、委員 西川克己、委員 前田哲也、
委員 山本啓介
概要

1.髙丸工業株式会社(兵庫県西宮市)

 髙丸工業株式会社(兵庫県西宮市)を訪問し、「ロボット産業の現状」について調査を行った。

(1)会社の概要
 
①所 在 地: 兵庫県西宮市朝凪町1-50 JFE西宮工場内
②設  立: 昭和38年 髙丸純亮氏が設計事務所「髙丸工業所」を開設
昭和42年5月「髙丸工業株式会社」を設立し、自動機械 製造工場を開設
昭和60年 髙丸正氏(2代目、現代表)が代表取締役に就任し、本格的にロボット関連事業を開始
③資 本 金: 8,500万円
④従 業 員: 27名(平成30年7月31日現在)
⑤営業内容: ロボット及びロボット周辺機器、ロボットティーチング、産業用ロボット特別教育、ロボットスクール ほか
※ロボット自体は製造していないが、ユーザーの業務を把握・分析し、ユーザーの課題を解決するようなシステムの企画・構築・運用サポートなどの業務を請け負うとともに、ロボットを使いこなせる人材の育成にも力を注いでいる。
(2)ロボット事業への取り組み
 


 髙丸工業株式会社 調査状況

  • 昭和60年 尼崎市で本格的にロボット関連事業を開始
  • 平成11年 長洲工場を開設し、ロボットシステムの元受受注を開始
  • 平成12年 ロボットメンテナンス事業を開始
  • 平成13年 RTB(ロボットテクノロジービジネス)を開始し、ロボットに関わる一連の技術事業を展開
  • 平成19年 尼崎ロボットテクニカルセンターを開所
    ※ ロボット導入からテクニカルサポートまでを一貫して実施することにより、生産現場への最適なロボットシステムの導入を推進(ロボット関係教育、事前検証、コンサルティングを実施)
  • 平成23年 西宮工場へ移転
  • 平成29年 ロボットテクニカルセンター東京を開設
(3) 現状と今後の課題等
 
  • 大企業向けの大量生産製品に対するロボット化はほぼ完了しており、今後は中小企業向けの少量多品種生産製品に対するロボット化が見込まれる。
  • ロボット市場を拡大し中小企業にロボットを導入するためには、ロボットを扱える人材の育成が重要なので、講習等を実施している。特に、地元中小企業へ就職する可能性の高い工業高校生に対し、在学中にロボット取り扱いの教育を実施することは有効な手段と考えられるため、今後も継続して取り組みたいとの話があった。
    (ロボット特別講習受講者数は、H24年220人、H29年538人と5年間で倍増)

2.石川県庁(石川県金沢市)

 石川県庁(石川県金沢市)を訪問し、「特産品を活用した農業振興」について調査を行った。

(1)ブランド農産物の概要
  ① 石川県が定めているもの:7品目
  • ルビーロマン:石川県が開発した「ぶどう」で、1粒が3cm以上・重さが20g以上で糖度は18度以上のもの。最高価格は1房で111万円。
  • のとてまり:原木しいたけ「のと115」(世界農業遺産認定)の中で、傘の大きさが8cm、肉厚3cm、傘の巻き込みが1cm以上のもの。最高価格は6個で17万円。
  • エアリーフローラ:石川県が開発した「フリージア」で、花の色の豊富さが特長。
    H24年(開発時)は7色、H29年から10色。最高価格は1本1,250円。
  • 能登とり貝:七尾湾で養殖された「とり貝」で、大きく肉厚で程よい歯応えと上品な甘みが特長。最高価格は6個で3万円。
  • 加賀しずく:石川県が開発した「梨」で、糖度12度以上・1玉あたり600g前後と、強い甘みと大玉であることが特長。最高価格は6個で10万円。
  • ひゃくまん穀:石川県が開発した「米」で、冷めても美味しく、大粒で食べ応えがあるのが特長。
  • 能登牛:能登牛銘柄推進協議会が定める肉質基準を満たした「牛肉」で、オレイン酸(旨み成分)が多いのが特長。出荷頭数は930頭と少なく、希少価値が高い。
② 地理的表示(GI)保護制度に登録されているもの:2品目
  • 加賀丸いも:農林水産大臣登録第17号 平成28年9月7日登録
  • 能登志賀ころ柿:農林水産大臣登録第20号 平成28年10月12日登録
(2)農業振興策
 


石川県庁 調査状況

① 規模拡大に向けた支援
  • 栽培ハウス設置助成
  • 筏の導入助成
  • 増頭支援
※H30年6月補正で施設整備に係る補助率を1/3から1/2に引き上げたばかりなので、今後の実績の伸びに期待
② 技術面での支援
  • 商品化率等の向上に向けた技術開発(農業研究センター・林業試験場・水産総合センター)
  • 種子等の供給力強化(農業研究センター・畜産試験場)
③ ブランド価値向上の支援
  • 首都圏での知事によるトップセールス
  • 首都圏百貨店やホテル等と連携したPR活動
  • プレミアム規格の新設(希少価値を高め、消費を促す)
※ ①~③の施策を県の特産品に活用することにより、市場への供給量増加と、ブランドイメージの確立を図る。
(3)その他、今後の課題等
 
  • 石川県内の認定農業者の所得額は218万円程度で、目標額400万円に満たないため、農業振興策を一層推進する必要がある。
  • 特産品の販売については、平成26年に設立された「いしかわ農業総合支援機構」(県、市町、JA県連、農業振興協議会等が出捐金を拠出)を中心に取り組んでいる。
  • 農業後継者は年間30人程度で推移していたが、「いしかわ農業総合支援機構」が主催する「いしかわ耕稼塾」での取り組みにより増加傾向にあり、平成29年度は140人となったので、今後も継続して取り組んでいきたいとの話があった。

3.氷見市立博物館(富山県氷見市)

 氷見市立博物館(富山県氷見市)を訪問し、「定置網漁業の歴史と現状」について調査を行った。(調査対象:氷見市立博物館、氷見漁業協同組合、富山県庁)

(1)氷見市立博物館:「定置網漁業の歴史」について
 


氷見市立博物館 調査状況

①所 在 地:富山県氷見市本町4-9
②開   館:昭和57年8月1日
③主な展示品
  • 定置網漁業ほか様々な漁撈用の用具
  • 漁業の現場で使用された和船や船大工用具
④氷見の漁業の歴史
1614年の文献に氷見市沖での定置網漁が記されており、400年以上前から定置網漁が行われていたと推測される。
⑤その他
(漁村と農村をつなぐ稲藁等の循環リサイクル)
  • 定置網漁には、藁縄を編んで作った藁台網が用いられ、漁期ごとに網を入れ換えていた。
  • 網は漁期が終わるたびに浮子から海底へ切り落とされ、海に沈められた藁網にはプランクトンがわき、魚を集める漁礁の役割を果たした。
  • 藁網の材料となる稲藁は周辺の米作り農村から入荷し、その網で水揚げした魚は鮮魚や加工品となるが、特にイワシや干加等は肥料として大量に農村へ出荷された。
(2)氷見漁業協同組合:「定置網漁業を含む地先漁業の現状」について
  <漁協の概要>
  • 昭和63年 地元7漁協と卸売市場の販漁連が合併して設立(魚市場の開設・漁業権管理・漁業施設の整備・信用共済等の事業を実施)
  • 平成4年6月 氷見漁港開港、新卸売市場開設(漁港:防波堤延長 691.6m、岸壁・物揚場延長 1,596.0m)
  • 藁網の材料となる稲藁は周辺の米作り農村から入荷し、その網で水揚げした魚は鮮魚や加工品となるが、特にイワシや干加等は肥料として大量に農村へ出荷された。
 ※ 漁港の年間取扱高は、漁獲量 約1万5千トン、漁獲金額 40億円前後で推移
<その他の取り組み>
  • 稚魚放流によるつくり育てる漁業の推進
  • 青年部を中心とした漁場環境の保全活動の推進と活動の一般市民への普及啓発
  • 資源管理型漁業の研修として来日するJICA研修員の積極的受け入れ
  • ブランド魚「ひみ寒ブリ」の一層の品質保持と信頼の確保
    (①図形商標の登録、②出荷箱の統一、③販売証明書の発行)
(3)富山県庁:「定置網漁業を含む地先漁業の現状と振興策等」について
 
    <主な水産振興策等>
  • 平成8年 富山県水産業のイメージアップと県産魚の消費拡大を図ることを目的に、「富山県のさかな」3種を選定(春:ホタルイカ、夏:シロエビ、冬:ブリ)
  • 平成28年9月から 秋を代表する水産物として「紅ズワイガニ」のブランド化に取り組み、ネーミングを「高志(こし)の紅(アカ)ガニ」とし、ブランド規格を満たすものへのタグ付けや、キャンペーンなどを展開
  • 平成29年度台風第21号被災漁業者に対しては、漁業近代化資金上乗せ利子補給による支援措置を実施
(4)現状と今後の課題等
 
  • 漁業経営体数の減少が続いているため、水産業の振興を図り、経営体数を維持する必要がある。(平成5年:799経営体→平成25年:301経営体と、この間に約6割減少)
  • 漁業就業者数が減少しているので、経営の安定に一層取り組み、就業者を確保したいとの話があった。

 以上のほか、丸果石川中央青果株式会社(石川県金沢市)において「加賀野菜の流通の現状」、こまつビジネス創造プラザ(石川県小松市)において「起業家支援の取り組み」について調査を行った。

現地調査

委員会名 農水経済委員会
目的 農水経済行政現地調査
日時 平成30年5月15日(火)~16日(水) (2日間)
調査先 長崎市、時津町、諫早市、雲仙市
出席委員 委員長 山口経正、副委員長 髙橋勝幸、委員 中島廣義、委員 山田博司、
委員 久野哲、委員 髙比良元、委員 中村和弥、委員 西川克己、委員 前田哲也、
委員 山本啓介
概要

1.株式会社 杉原エンジニアリング(時津町)

「県内ロボット関連産業の現状」について調査を行った。

(1)会社の概要
 
①所 在 地: 西彼杵郡時津町久留里郷1048-16
②設  立: 昭和59年4月1日
③資 本 金: 3,000万円
④従 業 員: 40名(平成28年4月1日現在)
⑤取扱品目: ロボット関連機器、FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)関連機器、医薬関連機器、肥料プラント
※ロボット関連機器については、ロボット・NC加工(数値制御による機械加工)・洗浄機・ストッカーを組合わせた無人製造システムのオーダー製造を行っている。
(2)ロボット事業への取り組み
 


「Robot Lab」調査状況

  • 平成27年2月 川崎重工業㈱とシステムパートナー契約を締結
  • 平成28年3月 パラレルリンクロボットピッキングシステム(高速ピッキングロボット)展示
  • 平成29年11月 ロボット適用検討センター「Robot Lab」開設[平成29年度 長崎県元気なものづくりステップアップ企業認定]
    ※「Robot Lab」来場者数
     55企業、132名(平成30年2月末現在)
  • 長崎県ロボットネットワーク会員
(3) 今後の課題等
 
  • 省力化設備の相談目的が、深刻な労働人口の減少を背景に、これまでの省人化やコストダウンによる業績改善から、求人難の中での事業継続のための自動化へと変わってきている現状を踏まえ、相談に対応できる体制等を整える。
  • 組立て工場内に設置している各種ロボット設備を活用して、実際の設備によるテストや相談を実施していることを、これまで導入が進んでいない分野(医薬品・食品業界など)に対し、更にPRする。
  • 県の企業振興課と連携して実施している企業訪問を継続し、省力化の提案やIoT化によるサポート等に積極的に取り組む。
  • これから市場規模が拡大していくと予測されるが、採用状況はどうなっているのかとの質問に対し、例年、学卒者1名以上を採用してきたが、今年は求人を出しても応募がなかったため、企業としての魅力をもっと伝えていきたいとの回答があった。

2.諫早湾干拓地(諫早市)

 「諫早湾干拓地の利活用」について調査を行った。

(1)農地での営農概要
  ① 営農の特徴
  • 大規模な面積で環境保全型農業を実践
    営農者全員が認定農業者であり、エコファーマーに認定されている
  • 農地はリース方式を採用
    長崎県農業振興公社が営農者へ貸付している
② 耕地の概要と栽培品目
  • 耕 地 面 積 :672ha
  • 営 農 者 :37経営体(法人19、個人18)
  • 栽 培 品 目 :38品目を栽培(平成29年度)
  • 栽 培 品 目 :38品目を栽培(平成29年度)
(2)本明川と水上スポーツについて
 


「諫早本明川艇庫」調査状況

① 本明川水域の特徴
  • 年間を通してコンディションが良く、風や波の影響を受けにくい
  • 伴走路が約2,000mある(内部堤防部分)
  • 障害物が少ない
  • 自由水域だが、ほぼ独占的に練習が可能
  • 諫早市街や長崎空港から近い
※ 8コース相当の川幅があり、3,000mの直線コースがとれるのは、全国でも本明川のみ
※ 九州内で2,000mのコースを有しているのは、本明川と竜門ダム(菊池市)のみ
② 平成28年度実績
  • H28.6月~
    チョープロ・ローイングクラブと県内高校ボート部が練習場として本格的に活用開始
  • H28.10.23
    長崎上海友好カヌーフェスティバルのマラソンレースを開催(上海9名、日本16名参加)
  • H28.12.19
    長崎県ボート協会「諫早本明川艇庫」竣工
  • 平成29年1月から3月にかけて、チョープロ・ローイングクラブと県内高校4校(大村、明誠、大村城南、佐世保高専)による合同強化合宿を3回実施
(3)今後の課題等
 
  • 農地の活用については、オランダ型施設園芸の「ながさきモデル」を普及するため、干拓地内の実証施設を活用した関係者の研修を実施する。
  • 水上スポーツについては、インターハイを誘致したいが、コース認定が取れていないため、申請について県や市と協議していく必要がある。
  • また、特徴を生かした利活用が実施されており、干拓地活用のための有効な資源と考えられるとの意見に対し、県央振興局と協力しながら使い勝手の良いものにしていきたいとの回答があった。

 以上のほか、長崎県産業振興財団(長崎市)において「クレインハーバー長崎ビルの入居の現状と今後の計画」、大村湾漁業協同組合(時津町)において「漁協合併とレストラン計画」、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱長崎テクノロジーセンター(諫早市)において「基幹産業の現状」、諫早市新工業団地予定地において「団地計画」、国見農村環境改善センター(雲仙市)において「八斗木地区圃場整備事業の波及効果」、小長井町漁業協同組合(諫早市)において「有明海の再生」について調査を行った。