閉会中の委員会活動

文教厚生委員会

現地調査

委員会名 文教厚生委員会
目的 文教厚生行政現地調査
日時 平成30年7月31日(火)~8月2日(木) (3日間)
調査先 大阪府、京都府、福岡県
出席委員 委員長 近藤智昭、副委員長 浅田眞澄美、委員 三好德明、委員 中山功、
委員 堀江ひとみ、委員 山田朋子、委員 深堀浩、委員 中島浩介、
委員 ごうまなみ、委員 松本洋介、委員 麻生隆
概要

1.大阪府庁(大阪府)

 「府立高校の特色づくり推進(グローバルリーダーズハイスクール)」について現地調査を行った。

(1)グローバルリーダーズハイスクール(以下、「GLHS」)設置の経緯
 
平成21年1月 「大阪の教育力向上プラン」を策定し、進学指導に特色をおいた専門学科の複数校設置を推進。
平成21年6月 府立高校10校を「進学指導特色校」として、進学指導に特色を置いた専門学科の設置を教育委員会会議で報告。
平成22年12月 進学指導特色校の呼称を「GLHS」とし、グローバル社会をリードする人材育成を事業目的とすることを教育委員会会議で報告。
平成23年4月 GLHS指定10校に1期生入学。
(2)GLHSの事業目的、主な取組内容
 


《意見交換の様子》

【事業目的】
 豊かな感性と幅広い教養、知識を基盤に、グローバル社会をリードする人材を育成。
【主な取組内容】
①学力向上への取組
  • 学力診断共通テストを活用した学力診断と教員の指導点検
  • 10校合同の学習合宿
②豊かな感性をはぐくむ取組
  • 高校生国際会議の開催
  • ボランティア体験活動の推進
③進路実現を目指す取組
  • 大学との連携講座、出前講座
  • 土曜日を活用した補習、講習
④教員の指導力向上への取組
  • 学識者、教育産業との共同によるスキルアップ研修
  • 生徒による授業評価
(3)GLHS10校の指定、評価
 
  • 指定10校の取組や実績を総合的に評価し、入替を含め3年ごとに指定校を更新。
  • 指定10校を評価する評価審議会を設置し、各校の取組や実績について学校見学や校長へのヒアリング等を行い、1年毎の評価に加え、3年間の総合評価を行う。
  • 教育委員会が示した共通目標に加えて各校独自の取組を計画し、取組項目ごとに評価審議会が実績を評価する。
(4)GLHS指定校の主な成果
 
  • 国公立大学への現役進学率の向上
    平成24年度 33.7% ⇒ 平成29年度 41.5%
  • 難関大学(東京、京都、大阪、神戸大学)への現役合格者の増加
    平成24年度 515名  ⇒ 平成29年度 638名
  • 国際規模のコンクール受賞
    国際地学オリンピック2016銀メダル、国際物理オリンピック2017銀メダル
    国際情報オリンピック2014銅メダル

2.社会福祉法人小倉明星園 小倉デイサービスセンター(京都府宇治市)

 「余裕教室を活用した高齢者福祉施設」について現地調査を行った。

(1)余裕教室を活用したデイサービスセンター設置までの主な経緯
 
平成5年6月 宇治市において、地方分権特例制度申請事業の内部協議
平成5年8月 総務庁へ地方分権制度の申請書提出
平成5年11月 地方分権特例制度推進本部会議で指定合意
平成6年7月 小倉小学校の空き校舎転用にかかる財産処分報告書を国へ提出
平成6年12月 小倉デイサービスセンター整備事業着手
平成7年3月 事業完成
平成7年4月 日本初となる余裕教室を転用した
高齢者福祉施設として、デイサービ
スセンター等の運営を開始
(2)小倉デイサービスセンターの施設概要
 


《施設見学の様子》

【建物構造】鉄筋コンクリート造
【延床面積】1,017㎡(1階518㎡、2階499㎡)
【施設内容】(1階)事務室、作業・訓練室、食堂、厨房、浴室
      (2階)在宅介護支援センター、教育室、デイルーム、休憩室
【運営方法】社会福祉法人小倉明星園が管理(宇治市指定管理者)
(3)世代間交流の促進
 
  • 施設側から依頼することなく、自発的に小倉小学校の児童が昼休み等に来訪し、こま回し等の遊びをデイサービス利用者が児童に教えるなど、学校との交流が自然な形で行われている。
  • 施設職員もデイサービス利用者とともに、地域の子ども育成に積極的に参画している。

3.京都府立鳥羽高等学校(京都府京都市)

 「グローバル教育、アクティブラーニング」について現地調査を行った。

(1)平成30年度学校経営の重点項目(一部抜粋)
 
  • アクティブラーニング等による統合的・発展的なリベラルアーツ教育を推進し、基礎的な学力を充実させるとともに、思考力・判断力・表現力を高める。
  • グローバル科の専門科目や教育活動をさらに充実させ、成果を広く普及させる。
(2)「鳥羽の学びネットワーク」形成
 


《意見交換の様子》

グローバル科において協力機関と連携し、グローバルリーダーに求められる5つの力「価値創造力」「協働力」「突破力」「寛容力」「教養力」を養う。

【協力機関】
・国内大学(京都大学、大阪大学ほか)
・海外大学(シンガポール国立大学ほか)
・学術機関(国立民族学博物館ほか)
・企業((株)片岡製作所ほか)
・伝統文化((公財)冷泉家時雨亭文庫ほか)
(3)特色ある専門科目(イノベーション探究)
  「鳥羽の学びネットワーク」の協力機関等と連携し、京都の歴史的価値の再発見や、諸外国の考え方等を学び、新たな価値を創造。
  • 地域再発見プログラム(1年次)
     フィールドワークによる探究内容のプレゼンテーション等
  • グローバルジャスティスプログラム(2年次)
     主題、仮説を明確にした研究等
  • ユニバーサルプログラム(3年次)
     英語論文作成、鳥羽グローバルサミットの開催

4.北九州市役所(福岡県北九州市)

 「介護ロボットの実証状況」について現地調査を行った。

(1)先進的介護の実現に向けた取組の背景
 
  • 少子高齢化社会の進展に伴う生産年齢人口の減少や、介護現場の離職等を背景とした介護人材不足が喫緊の課題。
  • 北九州市は高齢化率が3割程度と政令指定都市の中で最も高く、全国の大都市に先んじて高齢化が加速。
(2)介護ロボットに関する北九州市の強み
 
  • モノづくりを中心に発展した都市であり、産業ロボット等を開発し、高い技術力をもつ企業が集積。
  • 大学等の学術研究機関が集積。
  • 国家戦略特区の指定に基づく全国に先駆けた規制緩和。
(3)平成28年度、29年度の実証状況
 


《意見交換の様子》

【導入状況】
・移乗支援(5機種)
・移動支援(1機種)
・見守り支援(3機種)
・記録支援(3機種)
・情報共有(1機種)
・リハビリ支援(2機種)
・コミュニケーション支援(1機種)

【実証施設】
 5施設(公募による選定)
(4)主な作業分析結果
 
  • コミュニケーション支援は業務連絡等の職員同士の会話時間が減少し、要介護者との会話時間が増加。(介護の質の向上)
  • 見守り支援は居室の見守り時間が減少し、寝具の手直し等の時間が増加。介護の質の向上)
  • 移乗支援は腰痛リスクが高く直ちに改善すべき作業姿勢が消失するなど、介助姿勢の負担軽減に効果が見られた。
(5)介護現場の主な意見と今後の課題、課題解決に向けた取組
  【介護現場の主な意見】
  • 身体的に大変な移乗、移動の介助が楽になった。
  • 記録時間が短縮できた。
  • 身体的な負担は軽減されるが器具の準備等で作業時間が長くなり、他の業務に影響 がある。
  • 操作方法が難しく、ゆとりをもって仕事ができない。
【今後の課題】
  • 操作時間と操作習得時間の短縮
  • 機器を使いこなす人材育成と環境整備
【課題解決に向けた今後の取組】
  • 介護現場と介護ロボットに精通した人材の育成(介護ロボットマスターの育成)
(6)年次計画
  【平成28年度~平成30年度】
介護ロボットの実証、作業分析
【平成30年度~平成31年度】
介護ロボットの社会実装、評価検証
【平成32年度】
全国標準となる運営基準の策定

 以上のほか、大阪市役所において「国家戦略特区(公設民営学校)」「校務支援ICT活用」、京都市役所において「健康長寿のまち・京都」について調査を行った。

現地調査

委員会名 文教厚生委員会
目的 文教厚生行政現地調査
日時 平成30年5月15日(火)~16日(水) (2日間)
調査先 新上五島町、時津町、長与町
出席委員 委員長 近藤智昭、副委員長 浅田眞澄美、委員 三好德明、委員 中山功、
委員 堀江ひとみ、委員 山田朋子、委員 深堀浩、委員 中島浩介、
委員 ごうまなみ、委員 松本洋介、委員 麻生隆
概要

1.長崎県上五島病院(新上五島町)

 「外国人看護助手の導入」について現地調査を行った。

(1)新上五島町における医療の現状
 
  • 以前は病院企業団病院として新上五島町内に、上五島病院のほか有川、奈良尾を加えた3施設で運営。人口減少に伴う患者数の減少に伴い、有川、奈良尾は平成21、23年に付属病院へ再編し、現在、医師が在籍する病院診療所は町立診療所3箇所を加えた6箇所。
  • 新上五島町は県内離島の下五島、壱岐、対馬と比べ開業医の減少が深刻。15年程前は約20名が開業していたが、後継者不足が主な要因となり現在は1名のみ。
  • 一般的な基幹病院は業務として医療行為のみを行うことがほとんどだが、開業医不足のため、上五島町病院では予防活動や健康増進等の地域活動も行っており、医師の負担が大きくなっている。
(2)長崎県上五島病院の概要
  【診療科】18科 【医師数】23名 【看護師】134名
【病床数】186床(2階~4階 一般等136床)(5階:地域包括40床,療養型10床)
<平成29年実績>
【延外来患者数】121,071人 【延入院患者数】55,545人
【病床利用率】81.8%    【救急車搬送】696件
(3)海外途上国との交流
 
  • 限られた人員の中、一人の医師が様々な病状を診療しなければならない等、医療における離島と海外途上国の現場は同じような状況にあることから、海外途上国との交流を推進。
  • 2008年からミャンマーで国際医療支援を活動している「Japan Heart」を通じて看護師の受入れを開始し、現在まで約70名を受入れ。
  • 平成28年11月の外国人技能実習に関する法令改正に伴い、ミャンマーからの実習生受入れに向け、現在準備を進めている。
(4)外国人技能実習生(介護職)受入れのメリット
 
  • 年齢の若い実習生の受入れにより、意欲的な姿勢や体力的な面でも職場に活気をもたらし、職場環境の活性化につながる。
  • 介護人材を安定的に確保することができる。
  • 実習生に技能移転し、帰国後の技能活用に よる国際貢献。
(5)介護職の業務とその必要性
 


《意見交換の様子》

  • 身体介護(入浴、食事、排泄等)
  • 関連業務(掃除、洗濯等)
  • 周辺業務(掲示物の管理等)
  • 上記業務や院内雑務を受け持つことにより、看護師が本来業務に専念でき、医療の質の向上に寄与。
(6)外国人技能実習生の受入れに向けた取組と今後の予定
  <H30.2>  現地(ミャンマー)面接により、実習生候補者3名を決定
<H30.4~> 技能実習生計画認定申請等の準備
<H30.12~> 実習生入国、研修
<H31.2~> 実習生受入開始(介護職員として採用)

2.学校法人 青雲学園(時津町)

 「寮・寄宿舎等、特色ある私立学校教育」について現地調査を行った。

(1)学校法人 青雲学園の主な沿革
 
  • 昭和50年4月 中高一貫男子校として、第1回生入学
  • 平成7年4月  高校女子1回生入学
  • 平成9年2月  新寮棟「和敬寮」竣工
  • 平成21年4月 中学女子1回生入学
(2)卒業生数、主な進学先(H30.2時点)
 


《学生寮見学の様子》

【卒業生数】 9,365名
【主な進学先】
 東京大学690名(8%)
 国公立大学医学部2,670名(28%)
(3)生徒の出身地、寮・下宿の生徒数
  【出身地】県内:795名(64.3%)
     県外:439名(35.5%) 国外:2名(0.2%)
【寮】 474名(38.3%)
【下宿】35名(2.8%)
(4)教育方針等
 
  • 大学進学に特化せず、調和の取れた全人教育が建学の精神。学力充実、健康な体づくり、心の教育に注力。

【教育方針】
新しい次代を担う人間としての実力と気品を備えた有為な人材を育てる。
自主創造の勉学の気風をおこし、敢為の意欲を高め強い自信を育む。
運動を奨励し、逞しい体力と明朗闊達な若さを養う。
誠実で謙虚な心情を培い、広い視野と自重互敬の心、礼儀を重んじる心を養う。
豊かな教養と情操を育て、おおらかな人間味を養う。
教師は、生徒一人ひとりを大切にし、学ぶことの喜びと真の生き甲斐を感じ、人生を生き抜く力を育てるため、指導力の向上に努める。
(5)特色ある学校教育
 
  • 高い志、目標を持って入学した生徒に対し、中高一貫校の利点を活かして、中学、高校の役割を明確にしながら質の高い教育・指導を行い、6ヵ年を通じて成果をあげていく。
  • 県外、県内遠方の生徒が多数在籍するため、生徒の約4割が寮生・下宿生。それら生徒の学園生活の充実や環境づくりを推進。
  • 体育授業の充実を図り、生徒の基礎体力の向上を推進。平成29年度は朝日新聞主催の全国スポーツテストにおいて、3千校を超える参加の中、全国26位の成績を収める等、成果をあげている。
  • 生徒が様々な経験を得る機会を創出するため、英国イートン・カレッジサマースクールへの参加や、オーストラリア・シドニーでの海外語学研修のほか、東京大学オープンキャンパス参加等による「首都圏大学等研修」などを実施。
(6)寮生への指導、サポート
 
  • 集団生活を営む上で、重要となる規律を身につける。
  • 自律的生活態度の養成、ふれあいの心の育成。
  • 管理栄養士が寮生の成長に必要な栄養を考えながらメニューを考案し、土日を含め3食全てを寮食堂で提供。
  • 安心して生活ができるよう寮母のほか看護師を配置し、体調を崩した寮生をサポート。
  • カウンセリング専用の部屋を設け、心理学の専門家や教育相談の担当教員が、生徒の心の相談に対応。
(7)今後の課題
 
  • 少子化問題は、今後の学校運営において大きな打撃を与えるものと懸念。今後も学力、学園生活等の充実を図り、更なる学校の魅力向上等に努めていく必要がある。

 以上のほか、新上五島町役場において「福祉行政全般」、長崎県立中五島高等学校(新上五島町)において「キャリア教育」、時津町児童発達支援センター ひまわりの園において「障害児の療育支援」、医療法人ホーム・ホスピス中尾クリニック(長与町)において「在宅医療」について調査を行った。