閉会中の委員会活動

人口減少・経済雇用対策特別委員会

現地調査

委員会名 人口減少・経済雇用対策特別委員会
目的 人口減少・経済雇用対策現地調査
日時 平成29年8月28日(月)~29日(火)(2日間)
調査先 佐世保市、佐々町、福岡県
出席委員 委員長 山田朋子、副委員長 山口経正、委員 三好德明、委員 小林克敏、
委員 坂本智徳、委員 瀬川光之、委員 下条ふみまさ、委員 松島 完、
委員 大久保潔重、委員 宮本法広
概要

1.シーヴイテック九州(佐世保市)

 ウエストテクノ佐世保の立地企業であるシーヴイテック九州(自動車部品製造)を訪問し、企業誘致、雇用創出等について調査を行った。

(1)会社概要
・社  名:株式会社シーヴイテック九州
・設  立:2014年11月
・資 本 金:4億9千万円
・事業内容:自動車用無段変速機(CVT)の金属ベルトの製造・販売
・従業員数:約200名


シーヴイテック九州現地調査状況

(2)建屋拡張について
・現状延床面積:11,000㎡
・拡張延床面積: 7,600㎡
・合計面積  :18,600㎡
・着工:2017年4月
・竣工:2018年2月(予定)
・拡張に伴う追加採用人数:120名
(3)ウエストテクノ佐世保への立地について
 シーヴイテックは、自動車用無段変速機(CVT)の要となる金属ベルトを製造する国内唯一の専門メーカーとして愛知県に誕生。その後、拡大するニーズと安定供給を果たすため、北海道に続き長崎県佐世保に工場を建設した。
 長崎県への進出のポイントは震災リスクの低さなど。県のトヨタ自動車への熱心な誘致活動が縁で、長崎県へ立地。
(4)UIターン者との意見交換会
 他県からUIターンで戻ってきた社員と意見交換を行った。
 大学で県外に出て、そのまま他県で就職したが、トヨタ自動車系列の優良企業であるシーヴイテック九州の地元進出を機に、給与、福利厚生等、安定した待遇を期待して転職を決めた、とのこと。
 長崎県に対しては、長崎-佐世保間のアクセスの改善や、充実した休日を過ごせるような施設整備を求める声などがあった。

2.佐々町役場

  人口減少が著しい長崎県内で、人口を維持している自治体である佐々町の人口減少対策について調査した。

(1)人口の推移
 

 

H22(単位:人)

H27(単位:人)

増減数(単位:人)

増減率

佐々町

13,599

13,626

27

0.20%

佐世保市

261,101

255,439

-5,662

-2.17%

長崎県

1,426,779

1,377,187

-49,592

-3.48%

(2)子育て支援の取組
 


佐々町役場現地調査状況

[小中学校給食費負担軽減事業]
保護者からの申請に基づき、小中学校に在籍する子どもの人数に応じて給食費の一部を助成する。

1人・・・・給食費の20%
2人・・・・1人目20%、2人目40%
3人以上・・1人目20%、2人目40%
      3人目80%を補助

[コミュニティスクール(佐々モデル)]
 平成29年10月から小・中学校において、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入を予定。本制度の導入によって、従来の「学校評議員会」、「学校関係者評価委員会」、「学校支援会議」などの諸会議を一つにまとめ、既に取り組んでいる「佐々っ子応援団」活動とともに、学校運営に地域住民や保護者からの幅広い意見が生かされるようになることが期待されている。

[導入検討中の事業]
・福祉医療費助成
  小中学生対象分を償還払いから現物給付化と高校生対象分の助成開始を検討中
・給付型奨学金制度
  町独自の大学生を対象とした奨学金制度を検討中

(3)高齢者福祉の取組
  [給付の適正な利用]
・介護認定新規申請事前点検の徹底
・認定者でサービス利用のない方への訪問活動
・「地域ケア会議」における自立支援型ケアマネジメント支援と
 給付適正化事業を実施

[介護予防を含む地域支援体制の確立]
・出前講座の実施、介護予防ボランティア育成
・団塊世代を対象とした「地域デビュー講座(仮称)」
・インフォーマルサービスの確立・推進
・認知症サポーター養成

[地区割り担当制の導入]
・5人の町職員で32ヶ所の高齢者を分けて受け持つ
・担当地区からの相談にはなんでも対応する
・初期段階での問題解決に大きな効果を発揮
・職員の地域づくりへの自覚が芽生え、個の支援から地域づくりを考えるように
 なり、地域によって職員が育つようになった

3.FUKUOKA growth next

 九州各地から流入が続き人口増加が著しい福岡市。経済誌等の調査では「起業しやすい都市」の上位にランクされている。その福岡市が設立した官民協働型のスタートアップ支援施設の取組を調査した。

(1)設立に至った経緯と施設概要
  ○経緯
 福岡市がスタートアップ支援を強化する大きなきっかけとなったのは、高島福岡市長の米シアトル訪問。その直後の若手企業家達との出会いを経て、福岡市は「スタートアップ宣言」を行い、福岡市内3か所(香椎浜、福岡商工会議所、百道浜)に点在していたインキュベート施設とスタートアップカフェを、天神の中心部にある大名小学校跡地1か所に集約するなど、スタートアップムーブメントを更に強固なものにステージアップさせている。
  ○運営体制
 福岡市、福岡地所、さくらインターネット、アパマンショップホールディングスの4者が主体。10数名のスタッフを配置し運営しているが、福岡市から人件費についての支援はなく、全て各企業の負担(派遣等)により賄われている。
  ○施設概要
・場  所:旧大名小学校(福岡市中央区大名 繁華街の真ん中に位置)
・延床面積:南校舎2970.67㎡、東校舎886.14㎡
・元教室を改装した貸室、レンタルオフィス
  チームルーム(個室):賃料1200円/㎡、水道光熱費600円/㎡
  シェアオフィス   (共同部屋・固定席) :12000円/月
  コワーキングスペース(共同部屋・フリー席): 8000円/月
(2)起業家支援について
   起業家の、①創業前、②シード、③アーリー、④ミドル、⑤レイターという各段階に応じ、それぞれの事業の成長軸、時間軸に則した支援を実施している。

No

種別

内容

1

カンファレンス

上場企業や成功企業の代表者を招き、成功 / 失敗体験を学ぶ場を設ける

2 ピッチコンテスト

連携VCやメンターに対して、プレゼンを行う場を設け、投資機会を生み出す

3

メンタリング

メンターや連携VCのキャピタリストなどがメンタリングをおこない、成長機会を増やす

4

スキルアップ&
モチベーションアップ

スタートアップに必要となる専門的な知識を深め、実現性を高めるためのセミナーを開催する

5

交流会やミーティング

入居者同士または会員と外部企業の交流会やミーティングを行う

6

awabarミートアップ

入居者、先輩起業家、外部企業、学生とのミートアップの場を日常的に設ける

(3)その他特徴的な取組
 


スタジオでの説明

○ものづくりスタジオ
 地元ホームセンター企業と協力し、デジタルファブリケーション機材を利用したスタジオを設置。起業家が思い立ったアイデア、デザインをすぐにカタチにできる。

○ハニー珈琲・awabar fukuoka
 起業家、デザイナー、エンジニア、ベンチャー投資家、一般来訪者、様々な人々が交流し、人と人を繋ぎ新たなチャンスが生まれるようなコミュニティスペースを提供している。
 

 以上のほか、長崎短期大学(佐世保市)で「保育人材育成について」、みやまスマートエネルギー(福岡県みやま市)で「新産業創出・雇用創出」について調査を行った。

現地調査

委員会名 人口減少・経済雇用対策特別委員会
目的 人口減少・経済雇用対策現地調査
日時 平成29年5月30日(火)~6月1日(木)(3日間)
調査先 長野県、富山県、石川県
出席委員 委員長 山田朋子、副委員長 山口経正、委員 三好德明、委員 小林克敏、
委員 坂本智徳、委員 瀬川光之、委員 松島 完、委員 大久保潔重、
委員 宮本法広
概要

1.長野県庁(長野県長野市)

 長野県庁を訪問し、高齢対策、少人数学級の推進、高等教育振興基本方針について調査を行った。

(1)長野県の健康長寿・人生二毛作実現への取組について
  説明者:長野県健康増進課長、係長
①長野県の長寿とこれまでの取組
・長野県の平均寿命は男女ともに全国1位(平成22年)
 =長野県の長寿は世界トップレベル
・戦後の長野県は脳卒中が大きな健康問題だった。それに対し、関係職種が一体となった減塩運動等を行い、こういった住民活動の積み重ねが予防の意識を地域に浸透したものと思われる。


長野県庁現地調査状況

②信州ACE(エース)プロジェクト
○長野県の生活習慣の改善に取り組む県民運動を展開
・Action:体を動かす
・Check:健診を受ける
・Eat:健康に食べる
[Actionの取組み]
・ご当地健康体操コンテスト
・裾花川ウォーキングロードの整備。弾力性のある舗装で体に優しい
[Checkの取組み]
・長野県保険者協議会とタイアップした受診促進キャンペーン実施等による受診率の向上
[Eatの取組み]
・長野県民は食塩摂取量が全国平均より多い状況にあった
・セブンイレブン等と共同企画した「信州ACE弁当」や、長野駅ビルの「長野県長寿食堂」にて塩分量に配慮したメニューを提供
・ACEプロジェクトのテレビCMの放映など
③人生二毛作社会づくりの推進
・長野県は健康寿命が男女とも全国1位
・多くのシニアは社会参加意欲が高いが、実際に参加している人は少ない
・シニアの知識と経験を活かして、社会参加や就業ができるための仕組みづくり
・シニア活動推進コーディネーターによる各種マッチング
(2)信州少人数教育推進事業について
  説明者:長野県義務教育課長、主幹指導主事
①事業目的
 30人規模学級編制や少人数学習集団編成など、学級や学習集団の規模を引き下げるための教員配置を行うことにより、児童生徒一人一人に応じたきめ細かい支援・指導を行い、学習習慣や生活習慣の確立と基礎学力の定着を図る。
②導入効果等
・学力向上、生徒の問題行動の減少が見受けられる
・生徒からの意見「先生に質問する時間、ノートを見てもらう時間が増えた」
・保護者からの意見「先生の目が子どもの細かなところまで行き届いてありがたい」
③今後の課題等
・国基準(35人)学級と比べた場合の学力に係る効果の検証
・少人数学級を活かした更なる授業改善
(3)長野県高等教育振興基本方針について
 

説明者:私学・高等教育課長
①長野県の高等教育の課題と現状
・大学進学者の県外流出率が高い
・大学の収容力が全国最低水準
・私立高等教育機関の定員割れが顕著
=県内大学の伸びしろ
②高等教育振興のための基本的方策
・私学・高等教育課内に「信州高等教育支援センター」を設置し、県内の高等教育機関との連携を促進
・高等教育の魅力向上のため大学、学部、大学院の新設支援、県内大学間や産学官の連携促進
・各種取組により、高等教育機関の魅力向上に努めている。

2.富山県総合デザインセンター(富山県高岡市)

 富山県の出先機関として様々なデザインに関わっている富山県総合デザインセンターで「デザインを活かした県内企業支援等」について調査を行った。

(1)施設概要
 

・所 在 地:富山県高岡市オフィスパーク5番地
・開館時間:8:30~17:15
・建設年度:平成10年度
・構  造:鉄筋コンクリート2階建
・延床面積:1,070㎡(1F 542㎡ 2F 528㎡)
・工 事 費:559百万円(平成10年度)
      うち建設費:393百万円(空調等含)
      うち設備費:166百万円

(2)沿革
  1988年:富山技術開発財団に「富山インダストリアルデザインセンター」開設
1999年:富山IDCを改組し「富山県総合デザインセンター」設置
2006年:富山県第一種出先機関に組織変更
(3)取組概要
  説明者:総合デザインセンター所長、副所長、主任研究員


デザイン事例についての説明

デザイン活用によるビジネス活性化を目指し、「商品開発」「人材育成」「情報発信」の3つの軸で、県内企業をバックアップしている。
①商品開発
・新商品開発デザイン開発支援
・富山デザインウェーブ事業
・越中富山お土産プロジェクト
・富山のデザイン発信力強化事業
②育成・交流
・子供デザイン体験教室
・デザイン人材確保ネットワーク形成事業
・デザイン活用セミナー
③啓発・発信
・国内外デザイン展・イベントの開催
・富山プロダクツ選定事業
(4)成果など
  ・デザインコンペ&新商品開発支援 150点以上
・「越中富山お土産プロジェクト」では、これまで良い製品であっても、なかなかお土産としては手にとってもらえなかった製品が、「女性視点」を取り入れ、小分けで選び、組み合わせて贈る楽しさを商品に付加することにより、18品目を商品化し、好評を得ている。
・同「幸のこわけ」の手法を工芸分野に応用し、富山の素材と技を統一ブランドとして発信。平成29年3月27日 日本橋とやま館でブランド発表。
・デザインセンターの設立当初は、デザイン導入による商品開発支援を主に行ってきたが、現在は、企画開発から国内外販売までの総合的支援を行っている。今後は、さらに、県内外企業と有識者との交流の場づくりを進めて、新たな富山型デザインスキームを構築し、デザイン開発ラボ機能の拡充と産業観光の振興を目指している。
(5)その他
  ・デザインセンターは富山県商工労働部の出先機関
・所長は外部から招聘、その他職員は県のプロパー職員
・デザイン関係の業務にあたる職員は、基本的には異動なし
・歴代知事が関係業務に関心があり、所長へ直接電話で指示があるなど、
 県として積極的に取り組んでいる

3.金沢市役所(石川県金沢市)

 金沢市役所を訪問し「金沢版ネウボラの構築」「移住定住対策」について調査を行った。

(1)金沢版ネウボラの構築について
  説明者:金沢市健康政策課長、同主査、こども政策推進課課長補佐
①事業内容等
・妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を推進するためのワンストップ拠点を市内4箇所に整備
・母子健康手帳の交付時に保健師が全妊婦と面接
・保健師・助産師の乳児家庭全戸訪問
②課題
・産後8週間の支援が手薄
・どのような支援を求めているのか産婦アンケートを実施した結果、育児コーディネーターや訪問型子育て支援に対する需要が高かった。
・保健師、医療機関、保育所、地域ボランティア等による「かなざわ育みネットワーク」を形成し、安心して子どもを産み、育てるための環境づくりを推進
③新規事業
○ベビースペース「hug(ハグ)」
 身近に相談者がいない、妊婦および産後3ヶ月頃までの母子に対し、助産師による個別相談や妊婦さん産婦さん同士の情報交換の場を提供
○母子健康手帳アプリ
 健康の記録、赤ちゃんの成長記録をデジタル化し、母子健康手帳の記録をクラウド保存
○妊婦のための禁煙外来治療費助成制度
 妊婦または同居の禁煙者に対し、禁煙治療の保険適用額の全額を、お子さんの1歳半健診時に禁煙継続の確認後に助成
(2)移住定住対策について
 


金沢市役所現地調査状況

説明者:住宅政策課課長補佐
○金沢市の概況(平成29年4月1日現在推計)
・人 口:465,265人
・世帯数:201,623世帯
・面 積:468.64㎢
○まちなか定住促進条例の制定
・移住定住策と空家対策を同時に推進
・まちなか定住を促進
・転出抑制から移住促進へ
・空き家の活用を推進
・空き町家の活用による移住の促進

[主なまちなか定住施策]
・まちなか住宅建築奨励金(借入金の10%、限度額200万円)
・まちなかマンション購入奨励金(借入金の5%、限度額100万円)
・まちなか住まい共同計画作成支援費
・まちなか空き家活用促進補助金(内部改修工事費の1/2、限度額50万円)
・まちなか中古分譲マンション改修費補助金
(内部改修工事費の1/2、限度額25万円)
→まちなか定住促進施策利用者(平成28年度末現在)総数5,015人のうち
 2,379人(47.4%)が定住促進施策を利用して新たに、まちなかに転入
 している

 以上のほか、長野県テクノ財団において「新産業創出」「人材育成」等について、能美市役所において「企業誘致」「移住定住対策」「地域公共交通」について調査を行った。