閉会中の委員会活動

環境生活委員会

現地調査

委員会名 環境生活委員会
目的 環境生活行政現地調査
日時 平成29年7月31日(月)~8月1日(火)  (2日間)
調査先 諫早市、雲仙市、南島原市、大村市
出席委員 委員長 ごうまなみ、副委員長 山口経正、委員 野本三雄、委員 吉村庄二、
委員 溝口芙美雄 委員 中島廣義、委員 髙比良元、委員 堀江ひとみ、
委員 深堀浩、委員 宮本法広
概要

1.島原手延べそうめん製造工場「(有)手のべ陣川」の衛生管理について(南島原市)

 県が実施している食品衛生自主管理促進事業について、事業所の取組状況を調査した。

(1)事業所の概要
 

島原手延べそうめん製造及び販売
・法人名 :有限会社 手のべ陣川
・代表者 :代表取締役 陣川利男
・職員数 :10名

(2)衛生管理の取り組み等
 


(有)手のべ陣川調査状況

有機JAS認定(有機加工食品、生産行程)
H23年度長崎県食品衛生優秀施設知事表彰受賞
長崎県HACCP 評価 6(★★★)
  • HACCPの管理項目及び衛生基準に則り、マニュアルの作成、生産履歴の記帳、衛生管理の徹底(従業員教育など)、食品衛生に関する研修会(年1回、外部講師を招き)の実施。
  • 特に重要管理項目として、製造工程の計量・結束の部分について、目視検査に加えて、金属探知機による異物混入防止の措置を講じている。
●長崎県の衛生管理の取組
   HACCP方式は、国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品企画(Codex)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められた食品の衛生管理の手法。
 長崎県は、県立保健所の食品衛生監視員が、施設の衛生管理状況を評価し、その結果に応じて、県で作成した手引書を用いて個別に技術的助言を実施。評価段階は8段階に分けられており、一つずつ上の評価段階を目指し、4段階以上の評価を受けた施設は、取り組み施設として、県のホームページ上での公表、製品や広告等にロゴマークを表示することができる。

2.国土交通省 雲仙復興事務所 大野木場監視所(南島原市)

 直轄砂防事業による溶岩ドーム崩壊に対するハード・ソフトの「防災・減災」対策の状況等について調査を行った。

(1)火砕流による被害と現状
   平成3年に大火砕流が発生した雲仙・普賢岳においては、噴火により形成された溶岩ドーム(1億立方メートル)や堆積された火砕流堆積物(1億7,000万立方メートル)が雨により削られ流れ出しており、25年を経過してもなお、土石流が発生している。平成28年6月の土石流では、約6.5万立方メートルと推定され、赤松谷川上流の砂防施設で食い止められ、下流の人家、国道まで流下することなく、被害はなかった。
(2)溶岩ドーム崩壊ハード対策
  ○砂防施設整備の状況(H29.4月現在)
・水無川流域 …… 砂防堰堤 6基、床固工 25基、背割堤 1基、赤松導流提 1基、
          下流導流提 30基
・中尾川流域 …… 砂防堰堤 8基、背割堤 2基、下流導流工 4km
・湯江川流域 …… 砂防堰堤 1基
○平成29年度施設整備について
溶岩ドームが崩壊した際に想定される土石流対策として、水無川 1号、2号砂防堰堤の嵩上げを行う。
土石流を貯めるポケットを増やすため、水無川4号砂防堰堤の嵩上げや赤松谷川1号砂防堰堤付近の掘削を行う。
※掘削土石流などは、県や南島原市が港湾整備を進めている口之津港・堂崎港に提供し、事業を支援。
土石流により掘れた赤松谷川2号砂防堰堤の補強を行う。
(3)溶岩ドーム崩壊に対するソフト対策〔監視・観測体制〕
   溶岩ドームの動きを、光波測距(トータルステーション)、GBSAR(地上型合成開口レーダー)、振動センサー、GPS、監視カメラ、雨量計などで観測している。観測結果は、島原市長・南島原市長の避難判断の目安や工事関係者の工事中止の判断に利用している。また、地域住民への情報配信システムについても整備を進めている。
(4)無人化施工の取り組み
   


水無川無人化施工調査状況

 現在でも、人の立ち入りが制限されている区域【警戒区域】が設定されており、無人情報化施工システムを用いて、安全な場所から建設機械を遠隔操作する「無人化施工」を用いて工事を実施している。
・無人測量システム
・排土板制御システム
・ガイダンスシステム
・転圧管理システム

3.大村湾南部浄化センター(諫早市)

 大村湾南部浄化センターを訪問し、「流域下水道事業」について調査を行った。

(1)流域下水道について
   流域下水道とは、2以上の市町村から排出される汚水を1箇所の終末処理場(下水処理場)で処理するもので都道府県が事業主体として整備を行うものである。また、各家庭や事業場等から排出された汚水は流域内の市町村が整備する流域関連公共下水道を経由して流域下水道で処理される。 
(2)大村湾南部流域下水道の概要
   大村湾奥部の諫早市(旧諫早市の西部及び旧多良見町の区域)及び大村市の2市にまたがる流域の1,644haを対象とした県内で唯一の流域下水道事業である。
 大村湾は閉鎖性海域であることから、生活排水などによる水質汚濁に対応する必要があり、長崎県では、流域住民の生活環境の改善及び大村湾をはじめとする公共用水域の水質保全を図るため、諫早市及び大村市と協力して平成5年度に事業に着手している。
 大村湾南部流域下水道は2つの幹線管渠(多良見幹線、大村幹線)と終末処理場(大村湾南部浄化センター)からなり、平成12年3月31日に一部供用を開始し、順次供用区域を拡大している。
 ・下水道処理人口:37,640人(計画処理人口[H5~H42]:41,700人)
 ・汚水処理量:28,100立方メートル/日(計画人口41,700人)
 ・流域幹線延長:約5.3km
 ・処理方法:ステップ流入式多段硝化脱窒法
       ※標準活性汚泥法から順次改修予定
 ・処理場面積:約5ha
(3)大村湾南部浄化センターでの汚水処理について
 


大村湾南部浄化センター調査状況

 汚水処理方式については標準活性汚泥法をとっており、薬品で処理するのではなく、自然界に存在するいろいろな微生物の働きによって浄化を行っている。具体的には、汚水の中の大きなごみや土砂を取り除いた後、小さなごみや泥などを沈殿させる。その後、汚水に活性汚泥を加え、空気を送り込んで長時間かき混ぜると、活性汚泥中の微生物が汚れを取り込み、固まりになった活性汚泥を沈殿させて上澄み水と分離する。分離した上澄み水を消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒し、河川へ放流している。分離された活性汚泥については、一部再利用され、余剰分については肥料などに作りかえられ、有効に活用されている。また、その過程で発生したメタンガスは、施設内の電力の燃料として活用されている。
(4)今後の取り組み(高度処理事業)
   平成26年度末に策定された「大村湾流域別下水道整備総合計画」において、赤潮の原因である窒素及びリンの処理(高度処理)を速やかに実施すべきとされたため、平成27年度に事業計画を変更し、処理場を高度処理化するための改修事業を進めている。

(平成29年度実施内容)
 事業費 2億9,200万円
 ①水処理施設高度処理化工事
 ②汚泥貯留槽攪拌機増設電気工事
 ③耐震化設計
 ④設備劣化調査・ストックマネジメント計画作成

 以上のほか、諫早市において「諫早湾干拓調整池における水質保全の取組み」、「諫早駅周辺再開発事業の状況」及び「県営バス諫早ターミナル再整備計画」、雲仙市において「小浜温泉バイナリー発電所の状況」、大村市において「池田沖田線街路改修工事の進捗状況」について、調査を行った。

現地調査

委員会名 環境生活委員会
目的 環境生活行政現地調査
日時 平成29年5月17日(水)~5月19日(金)  (3日間)
調査先 福島県、宮城県
出席委員 委員長 ごうまなみ、副委員長 山口経正、委員 溝口芙美雄、委員 中島廣義、
委員 髙比良元、委員 堀江ひとみ、委員 深堀浩、委員 宮本法広 
概要

1.小名浜港(福島県いわき市小名浜)

小名浜港を訪問し、「被災後の港湾整備」について調査を行った。

(1)東日本大震災による港湾施設の被災と復興

①小名浜港について
 

 福島県沿岸の最南端に位置する県内最大(水域面積16.21k㎡、陸域面積3.78k㎡)の港で、昭和26年に港湾法上の重要港湾に指定された。昭和39年「常磐・郡山地区」が「新産業都市」に指定されたことを契機に、港湾整備が促進され、今日の臨海工業地帯が形成されるに至っており、これらの産業及び物流の拠点として小名浜港は重要な役割を果たしている。

 現在、進められている港湾整備計画に基づいて、背後地域における物流需要の増大や輸送革新の進展に対応するための事業を実施しており、主な事業としては、港湾施設の整備拡充と近代化を促進するための東港計画及び5・6号ふ頭整備計画、にぎわいのある魅力的な交流空間の創造を目的とした1・2号ふ頭の再開発が挙げられる。

 また、外国貿易コンテナ定期航路として、韓国・中国航路が開設されており、今後とも広域的な物流の拠点として、充実していくことが期待されている。

②東日本大震災による被災と災害復旧に向けた取組み
  ⅰ)東日本大震災による港湾施設の被災
 平成23年3月11日、東日本大震災が発生し、地震の直接的な影響と大津波(港内最大約4m、岬の外側最大14m)により防波堤や岸壁等に壊滅的な被害を受け、港湾機能を停止した。同様に青森県から茨城県に至る太平洋側の全ての港湾が被災したため、東北一円の生活・産業に必要な物資の輸送ができない状況となった。
ⅱ)航路啓開・緊急復旧
 被災調査及び航路障害物の調査・撤去などの啓開作業を実施し、3月16日に緊急物資輸送岸壁として藤原ふ頭1号・2号岸壁を供用開始した。その後、3月28日に大剣ふ頭の7号・8号岸壁が供用開始され、緊急物資の受入及びタンカー入港により、東北地方の燃料不足解消に寄与した。
ⅲ)応急復旧工事
 港湾施設の復旧は、物流機能を一定程度確保しつつ実施しなければならないため、応急復旧工事を実施して暫定的に供用しながら、順次本格的な復旧工事を行った。なお、工事の施工においては、早急に利用を再開させる必要があったため、陥没箇所の埋め戻しと舗装、附帯施設の改良などを中心に行った。
ⅳ)本格復旧工事 
 本格復旧工事では、今後継続的な利用や地震の再来に備え、岸壁本体構造の安定性を確保することが求められることから、土圧軽減対策などの地盤改良やカウンターコンクリート打設、舗装などを実施してきており、平成25年度末までに全ての岸壁が復旧した。
③小名浜港が抱える課題と復興に向けた動き
   


小名浜港調査状況

 原子力発電所停止による電力不足の穴埋めのため、既存火力発電所がフル稼働。元々あった石炭需要が一層高まっており、小名浜港では、昔からキャパシティを超える量をさばく必要があった。加えて、石炭船の大型化が世界的に加速している状況で、大型石炭輸送船対応可能な岸壁が3バースしかなく、これらの岸壁に入港が集中し、沖待ち(滞船)が常態化している。
 平成25年度予算において、石炭等の興産品のより効率的な輸送を実現するため、平成20年度より着手していた東港地区国際物流ターミナル整備事業を見直し、水深18m耐震強化岸壁として整備することを決定。国と福島県が連携して、岸壁(-18m)(耐震)、臨港道路(マリンブリッジ)、航路、泊地(-18m)の整備を推進している。

2.福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)

福島再生可能エネルギー研究所を訪問し、再生可能エネルギーの取組みについて調査を行った。

(1)福島再生可能エネルギー研究所における再生可能エネルギーの取組み

①福島再生可能エネルギー研究所について
   国立研究開発法人 産業技術総合研究所は、茨城県つくば市に拠点があり、北は北海道、南は佐賀県鳥栖市の全国8か所に研究所が設置されている。福島再生可能エネルギー研究所は、政府の東日本大震災からの復興の基本方針を受けて、平成26年4月に新たな研究開発拠点として設置された。
 研究所では、太陽光発電、風力発電、エネルギーマネジメント技術、地熱・地中熱利用に関わる研究開発を行っており、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて世界のイノベーションハブを目指すとともに国内外研究機関や企業、大学等との密接な連携によって福島発の独創的な再生可能エネルギー技術の発信を目指している。また、企業の発展や人材育成を通じて震災からの復興への貢献に取り組む。
(施設概要) 
敷地面積78,000㎡、研究施設等4棟(約47,600㎡)        
人員 研究職・事務職 約60名、契約職員 約90名 、産学官 約270名 計約420名
※1日平均約250名が在所している。        
年間予算 約28億円
②研究の目標と概要
  ・再生可能エネルギーは、貴重な国産エネルギー源であると共に、世界的な地球温暖化防止と持続可能性実現にも早期の大量導入が期待されている。一方で、大量導入には、再生可能エネルギーの時間的な変動、高いコスト、地域的な偏り等の解決すべき課題がある。 
これらの課題を解決して大量導入を加速するため、次の研究テーマを推進している。  
【導入制約解消のためのシステム技術開発】   
ⅰ)再生可能エネルギーネットワーク開発・実証   
ⅱ)水素キャリア製造・利用技術  
【一層のコスト低減と性能向上】   
ⅲ)高性能風車要素技術及びアセスメント技術   
ⅳ)薄型決勝シリコン太陽電池モジュール技術  
【適正な技術普及のためのデータベース構築、提供】  
ⅴ)地熱の適正利用のための技術   
ⅵ)地中熱ポテンシャル評価とシステム最適化技術
③産業の振興、人材育成を通じた復興支援の取組み
   


福島再生可能エネルギー研究所の 調査状況

被災地企業のシーズ支援プログラムと再生可能エネルギー分野の産業人材育成事業
 共同研究(評価、課題解決)を通じて、被災地(福島県、宮城県、岩手県)の企業が持つ再生可能エネルギー関連技術の事業化支援を積極的に行っており、被災地域における新たな産業の創出につながる技術開発により、事業化成功例が生み出されている。
 また、平成26年度より、地元の大学等から様々な制度で学生を受け入れ、最先端の設備や知見を活用した研究開発(共同研究)への参画を通じ、将来の再生可能エネルギー分野を担う産業人材を育成している。

3.仙台国際空港(宮城県名取市、岩沼市)

仙台国際空港を訪問し、「被災後の空港整備」について調査を行った。

(1)東日本大震災からの復興と仙台空港の民営化

①仙台国際空港の概要
   昭和39年に第二種空港に指定。東北地方の中心都市仙台市を背後に控え、地域の広域交通体系を支えるとともに、旅客・物流の面から東北地方の経済を支える大切な拠点として位置付けられている。また、平成19年には仙台空港と仙台都市圏を結ぶ「仙台空港アクセス鉄道」が開業し、東北地方のアジアゲートウェイとして求められる空港の機能強化が図られた。  
施設    A滑走路1,200m、B滑走路3,000m、面積239ha  
旅客数   H28年度 3,162,704人            
(国内線 2,938,154人、国際線 224,550人)  
貨物取扱量 H28年度 6,033トン           
(国内線 5,774トン、国際線 259トン) 
②東日本大震災による被災と復興
 
 東日本大震災とともに滑走路は直ちに閉鎖され、その後の津波の到達により空港および関連施設は被災した。ターミナルビルは3.02mの高さまで冠水し、1階部分には自動車や瓦礫が大量に流れ込み、貨物ターミナルの国際貨物棟は火災により全焼した。また、アクセス鉄道は、仙台空港駅及び空港トンネルを中心に甚大な被害となった。
 その後の被災調査、空港敷地内の漂流物の撤去、滑走路・誘導路・旅客エプロン等の復旧工事により、3月15日にヘリコプターを、翌16日には米軍等の輸送機の受け入れを開始。震災からわずか1か月後、仙台空港は臨時便を運航させ、暫定運用を行い、7月には国内定期便を、9月には国際定期便を再開。翌年7月には全路線を復旧した。
③新たな取組
 


仙台国際空港の調査状況

 被災後、宮城県は仙台空港を民営化する方針を決定。東北再興の条件として、中部以西や海外からの誘客強化を図り、空港路線の大幅な拡充が必要と考え、そのためには、空港を民営化し、「空港・関連施設の一体的経営、効率的設備投資で収益を改善」、「運営権者の判断に基づく柔軟な着陸料設定」、「民間の知恵を生かした地域住民・関係事業者との連携」等を行うことで、観光・ビジネス・物流等の空港機能を更に充実させ、ひいては東北全体の活性化を牽引する拠点空港を目指すものである。
 このことを受け、公募手続きを経て、平成28年2月から東急電鉄と前田建設工業、豊田通商などが出資する仙台国際空港㈱が、以後30年間、運営を行うこととなった。

 以上のほか、宮城県石巻市役所において「復興支援などNPO法人の活動」について調査を行った。