閉会中の委員会活動

文教厚生委員会

現地調査

委員会名 文教厚生委員会
目的 文教厚生行政現地調査
日時 平成29年8月1日(火)~3日(木) (3日間)
調査先 福井県、石川県、富山県
出席委員 委員長 山本由夫、副委員長 吉村正寿、委員 三好德明、委員 中山功、
委員 橋村松太郎、委員 坂本智徳、委員 瀬川光之、委員 久野哲、
委員 中村和弥、委員 浅田眞澄美、委員 里脇清隆
概要

1.福井県教育委員会

 福井県教育委員会を訪問し、「文武両道の教育」について調査を行った。

(1)福井県の現状 (平成28年度 文部科学省調査)
 

①全国学力・学習状況調査における正答率
 中学生:1位、小学生:3位
②全国体力・運動能力、運動習慣等調査における体力合計点
 中学生:1位、小学生:1位

(2)事業の沿革・内容と取組状況
  ①学力向上策等
  • 福井型18年教育の実践
     誕生~入学(6年)、小学校(6年)、中学校(3年)、高校(3年)の18年をトータルで考え、学校や家庭、地域が手を組み、子どもたちの発達段階に応じてより高い力を身に付けることができる教育を目指すもので、それぞれの段階において「保幼小接続」・「小中連携」・「中高接続」に取り組んでいる。
  • 県独自の学力調査の実施
     児童・生徒の学習状況及び学習と生活に関する意識や実態を把握するとともに、調査結果を分析することにより学習指導上の課題を明らかにして学力向上に資するため、平成26年度から小学5年生と中学2年生を対象に実施している。
  • そのほか、読書活動、地域と進める体験活動、芸術教育、ふくい理数グランプリ、英語教育、小学校教科担任制、中学校習熟度別学習、指導主事連絡協議会、小学校教育研究会・中学校教育研究会、遠隔授業・研修システムの活用、いじめ・不登校への対応等を積極的に実施している。
②体力向上策
  • 県独自の体力テストの実施
     小学校(4年生以上)、中学校、高等学校の全学校を対象に「児童生徒体力・運動能力調査」を昭和38年から継続して実施している。調査の県平均集計作業後は平均値を各学校に通達し、各学校では取組の効果と今後の対策の根拠資料として、次年度以降の体力向上策に活用している。
  • 体力づくり推進計画書及び報告書の作成
     各学校が体力向上に向けた実践について、年度始めに計画書を、年度末に報告書を作成し、次年度以降の体力向上推進計画に活用している。
  • そのほか、「ザ・チャレンジ」の実施や公開により、児童生徒の運動への意欲向上につなげている。
(3)効果・成果等
 


福井県教育委員会 調査状況

 上記の取組により、平成28年度の文部科学省調査においても、学力・体力とも福井県は上位であった。
 長崎県はいずれの調査においても中位程度の結果であったため、現在も実施している同様の取り組みについては継続して取り組むとともに、参考となる施策については取り込みたいとの意見があった。
(4)その他
   福井県では、教員のうち約9割が「小・中・高」全ての教員免許を取得していることや、三世代世帯割合が17.5%で全国2位、共働き率が56.8%で全国1位、待機児童数が0で全国1位など子育てと仕事を両立しやすい環境が整っているほか、幸福度総合ランキングは全国1位となっているので、安定した教育環境が整っているのではとの説明もあった。

2.社会福祉法人佛子園が運営するShare金沢

 「障害者就労施設の取組状況」や「高齢者・障害者等地域コミュニティ施設の取組状況」について調査を行った。

(1)施設概要
   障害者や高齢者が社会から隔離されることなく、みんなが共に助け合って生きていく「ごちゃまぜ」のコミュニティ施設。
 石川県金沢市にあり、子どもから大学生、高齢者まで世代や障害の有り無しを超えていろいろな人がつながり、地域社会づくりに参加する街で、「天然温泉」や「レストラン」 及び「ギャラリー」など充実した施設は、誰でも自由に利用できる。
(2)法人の主な沿革や施設整備等の経過
 


Share金沢 調査状況

  • 昭和35年3月  宗教法人「行善寺」より土地・建物の寄付を受け、「佛子園」を開設
  • 昭和54年4月  学園施設を利用し「石川県立明和養護学校松任分校」を開校
  • 昭和55年12月 心身障害児地域療育事業(緊急一時保護・相談事業)を開始
  • 昭和63年3月  辰口町和気(現・能美市和気町)の丘陵地を開墾 (後の星が岡牧場)
  • 平成7年   「星が岡牧場」を開設
  • 平成16年   障害児(者)地域療育支援事業を開始
  • 平成25年4月 Share金沢第一期オープン(佛子園の障害児入所支援の児童引越し)、児童発達支援センター佛子園(現・B's こどもLabo)を開設、ワークセンター松任(現・松任23Work)を開設、グループホーム「ルース」を開設、「ハーベスト」を新築移転
  • 平成25年9月  Share金沢 第二期オープン (サービス付き高齢者向け住宅、学生住宅等)
  • 平成26年3月  Share金沢全面オープン (高齢者デイサービス、生活介護、温泉、レストランなど)
     ※ 3/26 Share金沢街開きフェスタにブータン王国のドルジ・ウォンモ・ワンチュク皇太后陛下がご臨席
  • 平成27年12月 輪島市生涯活躍のまち「輪島KABULET(R)プロジェクト」を開始
  • 平成28年7月 輪島KABULET 就労継続支援A型(20名)を開設
(3)その他
   僧侶であり起業家でもある同法人理事長の雄谷良成氏の強力な推進力により様々な事業を展開しているが、近年は輪島地域にも力を注いでおり、石川県全域に地域コミュニティを構築していきたいとのことだった。
 また、雄谷理事長は青年海外協力隊で海外ボランティアの経験があり、ドミニカ共和国やヨルダン・ハセミテ王国及びアメリカ合衆国にある施設との姉妹施設提携や、ブータン王国「タラヤナ財団」とのパートナーシップ覚書調印などを締結しているが、今後もグローバルな視点での社会福祉活動を実践していきたいとの話もあった。
 実際に街並みを歩くと、小学生・高齢者・障害のある人と施設の職員等が混在して活き活きと過ごしており、施設の設置目的を達成していることが実感できた。

3.富山県庁

 「医療・介護分野における都道府県が行う市町村支援」について調査を行った。

(1)富山県の現状
  ○人口:約1,060,000人(15市町村、うち中核市1市)
○高齢化率:約31%(平成28年10月)、要介護認定者数:60,112人(平成28年3月)
○市内の医療・介護資源:病院106、診療所628(平成29年7月現在)
○地域密着型通所介護事業所:212か所、デイサービス:244か所(平成29年1月現在)
○居宅介護支援事業所:363か所、訪問介護事業所:235か所(平成29年1月現在)
○介護老人保健施設:48施設(定員 4,482人)(平成29年1月現在)
○特別養護老人ホーム:84施設(定員 5,352人)(平成29年1月現在)
○グループホーム:166か所(平成29年1月現在)
○富山型デイサービス:126か所(平成29年3月現在)
○地域包括支援センター:61か所、訪問看護ステーション:62か所(平成29年4月現在)
○人口は、平成10年にピークを迎え減少局面に入っており、高齢化は全国より5年程度早いペースで進んでいる
○平成32年頃には高齢者人口がピークを迎え、人口減少に伴い高齢化率は上昇し続け、医療・介護ニーズの高い75歳以上人口は平成42年頃にピークを迎える見込み
(2)医療・介護分野における富山県の市町村支援について
 


富山県庁 調査状況

①県計画における在宅医療推進の位置付けとしては、「富山県高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業支援計画」や「富山県医療計画」において、介護との連携を推進している。
②富山県厚生センター(保健所)の支援
・富山県地域包括ケア推進支援事業のメニューとして、在宅医療・介護連携、認知症施策、介護予防事業の市町村支援を準備し、現状把握と課題分析への支援(厚生センターが持つ医療データの提供・協議)等を実施している。
③県高齢福祉課による市町村支援
・市町村へのヒアリング
 厚生センターも同席し、取組状況・課題・支援内容等を整理する。
・市町村職員等セミナーの開催
 在宅医療・介護連携を進めるポイントについて説明する。
・郡市医師会在宅医療支援センターへの支援
 郡市医師会が設置する「在宅医療支援センター」へ事業費補助を行うことにより、住民向け在宅医療講演会の開催や医療・介護関係者の多職種連携のための勉強会を実施し、グループでの訪問診療の工夫及びICTを活用した連携強化等を推進する。
(3)在宅医療・訪問介護の現状・課題と今後の方向性
   上記の取組等により、富山県では全国に先駆けて「富山型デイサービス」と呼ばれる新しい形の福祉サービスに取り組んできた。
 これは年齢や障害の有無で区別される従来の福祉施設とは異なり、乳幼児から高齢者までが障害や認知症の有無にかかわらず共に過ごすデイサービスで、改修した民家を利用した小規模でも利用者に合った施設を目指しているものであり、全国に広がっている。
 今後、地域共生を更に促進するため、県民への在宅医療に関する啓発や、在宅での看取りに関する理解促進等を図るとともに、医療・介護関係者の更なる連携を図り、市町村が主体となった在宅医療・介護連携の推進を図るための支援に一層取り組んでいくとのことだった。

 以上のほか、石川県庁において「児童相談所設置自治体の拡大支援等」、金沢こども医療福祉センター(金沢市)において「障害児療育支援施設の取組状況等」、富山県庁において「ドクターヘリへの取組等」について調査を行った。

現地調査

委員会名 文教厚生委員会
目的 文教厚生行政現地調査
日時 平成29年5月18日(木)~19日(金) (2日間)
調査先 佐世保市、西海市、諫早市
出席委員 委員長 山本由夫、副委員長 吉村正寿、委員 三好德明、委員 中山功、
委員 橋村松太郎、委員 瀬川光之、委員 久野哲、委員 中村和弥、
委員 浅田眞澄美、委員 里脇清隆 
概要

1.長崎県看護キャリア支援センター

 「センターの概要と役割、研修内容、就業相談等」について調査を行った。

(1)センターの概要
 

①設置目的:看護職員の離職防止、就業の支援等に資する研修の実施、情報の提供等を通じて、県内における質の高い看護職員の安定的な確保を図る。

②施設の概要

  • 所在地:佐世保市平瀬町3-1(旧県立佐世保看護学校校舎等跡地)
  • 延床面積:961.2㎡(1階)
    佐世保市立看護専門学校(2階、3階)との合築
    (※ 建物全体の延床面積は3,088.8㎡)
  • 主要施設:事務室、研修室(3部屋)、実習室(スキルトレーニング室)、多目的コーナー(自学、図書、交流)、演習室(3部屋)、相談室
  • 開館時間:月曜日~土曜日 10時~18時
    (休館日:毎週日曜日、国民の祝祭日、12月29日~翌年1月3日)

③運営方法等

  • 指定管理者:公益社団法人 長崎県看護協会(諫早市永昌町23-6)
  • 指定期間:平成27年4月1日~平成32年3月31日(5年間)
  • 運営体制:職員8名(看護職員5名、事務職員3名)

④業務内容

  • 看護キャリア支援センター内外における各種研修プログラムの企画運営
  • 広報及び看護職員のキャリアアップを支援するための相談業務
  • 施設の利用許可
  • 施設(設備)の維持管理・修繕
  • その他設置目的を達成するために必要な業務
(2) 今後の課題
 


長崎県看護キャリア支援センター 調査状況

  • 看護師不足解消のためには、当該センターでの広報・研修・相談業務等は有効なので、更なる周知を図っていく必要がある。
  • 潜在看護士の就労を進めるためには、給与の見直しだけではなく就労形態や福利厚生面での改善が必要。ただし、再就職の際に「夜勤不可」を条件としてしまうと対応可能と思われる看護士の負担となるのでその兼ね合いが難しい。
  • 看護士不足解決策の一つに男性看護士の増加が考えられるが、現在就労中の男性看護士は全体の1割程度であるのに対し、養成機関では男性が3割程度在籍するため今後の活用が期待される。
  • 看護協会の加入率は現在5割に満たないため、情報共有や生涯学習の視点からも入会を勧める必要がある。

2.長崎県立西彼農業高等学校(西海市)

 「地域に根ざした農業教育」について調査を行った。

(1)学校の主な沿革
 
  • 昭和24年5月 長崎県立大村高等学校定時制(昼間)亀岳分校設置許可
  • 昭和26年4月 長崎県立大村農業高等学校分校となる
  • 昭和30年4月 長崎県立大村園芸高等学校琴海分校亀岳教室となる
  • 昭和31年4月 長崎県立西彼農業高等学校設置
  • 昭和38年4月 長崎県立西彼農業高等学校全日制許可(園芸科、生活科)
  • 平成 4年4月 学科改編(施設園芸科、食品流通科、生活科学科)
(2)教育方針
 

 長崎県教育方針に基づいて、高等普通教育と農業・家庭に関する専門教育を施し、専門的知識や優れた技術を身につけさせるとともに、豊かな自然を守り、命の尊さや個人の尊厳を重んじ、公共の精神を身に付け、我が国や世界の平和と発展に貢献しようとする調和のとれた人間を育成する。

(3)特色ある教育活動
 


長崎県立西彼農業高等学校 調査状況

 

①学童ふれあい広場、移動動物園
②スクールマーケット
③保育園・老人保健施設での実習
④地域と連携した研究活動

  • 地元企業と連携した新商品開発
    (デコポン・ゼリー)
  • 地域飾るプロジェクト(地域花壇の植栽)
  • 準絶滅危惧種ハマボウの保護増殖
  • 絶滅危惧種カノコユリの保護増殖
(4)部活動の状況
 

①平成28年度 第32回全国高等学校ウエイトリフティング競技選抜大会
会場:石川県金沢市
期日:平成29年3月26日(日)~28日(火)
個人:男子 94kg級 1位 西田裕 、 女子 48kg級 3位 山道穂乃香
②第71回国民体育大会 長崎県予選大会
少年共通男子 走高跳 第3位 本木廉音 記録 1m88cm

(5) 今後の課題等
 
  • 卒業後の県内就業割合が高くなってきている(H26:70.5%、H27:84.1%、H28:86.5%)ことは大変喜ばしいが、定員割れしている学科もある。交通事情や近隣中学校の生徒数減少等の要因はあるが、更なる周知を図り生徒を確保する必要がある。
  • 生徒を確保するためには寮等を整備するのが有効ではとの意見に対し、以前は寮があったが入寮者数の減少や維持費の観点から現在は廃止され、西海市内の方のご好意により下宿し通学しているとの回答があった。
  • 地元企業との関わりも深いようなので、就業ばかりではなく起業も含め指導が必要ではとの意見に対し、現在少しずつではあるがそのような取り組みを実施しており、更に強化していきたいとの回答があった。

  以上のほか、つくも苑跡地(佐世保市)の視察、長崎県立大学(佐世保市)において「大学の現状と建替計画」、社会福祉法人長崎県障害者福祉事業団(佐世保市)において「障害者支援施設の現状」、佐世保こども・女性・障害者支援センター(佐世保市)において「相談の現状と対応状況」、西彼杵高等学校・鶴南特別支援学校高等部西彼杵分教室(西海市)において「学びの共同体の取組」や「特別支援学校の現状」、諫早特別支援学校(諫早市)において「独自の取り組みや改築・改修等」について調査を行った。