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農林水産物等の貿易自由化に関する意見書

 我が国の第1次産業は、国民に安全・安心な食料を供給するのみでなく、国土や自然環境の保全、伝統文化の継承、国境監視など多面的機能を有しており、国家の安定的発展に大きな役割を果たしている。
 しかしながら、今日の農林水産業を取り巻く状況は、担い手の減少や高齢化の進行、耕作放棄地の増加、水産資源の減少、価格の低迷など、構造的な課題を抱え非常に厳しい状況にある。
 そのような中、国は、農林水産業・農山漁村の役割を評価したうえで、先進国でも最低水準の40%台と低迷する食料自給率を平成32年までに50%まで引き上げることなどを柱とした、新たな「食料・農業・農村基本計画」を本年3月に閣議決定したところである。
 しかし、その一方で、政府は11月のAPEC首脳会議までに、EPA基本方針を策定し、そのなかで、米国・豪州など9カ国が行うTPP交渉への参加表明を検討している。
 TPPは、関税撤廃の例外を認めない完全な貿易自由化を目指した交渉であり、仮にこの交渉に参加し関税などの国境措置が撤廃された場合、電気電子、機械などの製造業においては、自由貿易という大きな流れの中で、競合関係にある諸外国に対する競争力劣後を防ぐ、あるいは強化する点で効果は想定されるものの、完全自由化に対応できるほど構造改革が進んでいない我が国の農林水産業の生産額や食料自給率は大幅に低下し、さらには農山漁村が有している多面的機能も損なわれることとなる。
 よって、国は、我が国の第1次産業を守るため、TPP交渉への参加については、下記のとおり慎重に検討すべきであることを強く要望する。

  1. 国際貿易交渉に当たっては、「多様な農林水産業の共存」を基本理念として、農山漁村の多面的機能の発揮や食料安全保障の確保を図るなど、日本提案の実現を目指すというこれまでの基本方針を堅持し、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内の農林水産業の振興などを損なわないよう対応すべきである。
  2. TPPを含め包括的経済連携においては、米や小麦、牛肉、乳製品、水産物等の重要品目を関税撤廃の対象から除外すべきである。
  3. 関税撤廃が原則であるTPPへの参加については、農水商工連携による第1次産業の6次産業化の促進をより一層図ることや、完全自由化に対応できる農林水産業への構造改革の道筋を示し、国民合意を取るなど十分な時間をかけて慎重に検討すべきである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成22年11月1日


長 崎 県 議 会

衆議院議長     横 路 孝 弘 様
参議院議長     西 岡 武 夫 様
内閣総理大臣    菅   直 人 様
農林水産大臣    鹿 野 道 彦 様
経済産業大臣    大 畠 章 宏 様
外務大臣     前 原 誠 司 様
内閣官房長官    仙 谷 由 人 様
国家戦略担当大臣  玄 葉 光一郎 様

 

 

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