トップページ大気科

黄砂のはなし

〜春の風物詩? 地球環境問題?〜

あらまし
 黄砂についてはここ数年来、我が国への飛来回数も増加しています。これまで自然現象だと理解されてきましたが、中国での過放牧、農地転換による耕地拡大等による人為的影響として再認識されつつありあます。
 このようなことから、日中韓環境大臣会合(TEMM)で3カ国が黄砂モニタリングの強化や 国際機関との連携強化を図ることが合意されました。 その一環として、環境省は黄砂実態調査を自治体への委託事業として実施することとなりました。
 平成15年度は長崎県他7自治体が委託を受けています。今回の調査の目的は黄砂の粒度分布(アンダーセンサンプリング) と有害物質等(ハイボリウムサンプリング)の全国的状況把握です。

 
もくじ
*項目をクリックすると本文のそれぞれの箇所にジャンプします。
T. 地球規模での黄砂
U. アジアの黄砂
1.黄砂の発生地帯
2.中国における黄砂
3.韓国における黄砂
4.日本における黄砂   
V. 黄砂問題の概観
W. 長崎県での黄砂
1.長崎県での大気環境常時監視
2.浮遊粒子状物質と黄砂
X. 環境省委託事業 黄砂実態解明調査
1.調査の目的と方法
2.受託自治体
I〜Vは国立環境研究所 西川雅高 計測技術研究室長室長 講演要旨
Wは長崎県まとめ
Xは環境省資料より

黄砂と環境省実態解明調査


I.地球規模での黄砂


 地球全体の風成塵は約15億トン/年(ICPP95から)と見積もられています。 そのうち東アジアの黄砂は2〜3億トン/年 サハラ砂漠の風成塵は2〜3億トン/年といわれています。 東アジアの黄砂は 日本には1〜5トン/km2/年、北京には15トン/km2 /月 沈着していると言われている。2002年3月の黄砂では20トン/km2  が沈着しました。黄砂が地球温暖化に対しどの程度緩和要因として寄与するか評価するために黄砂全量の把握が重要です。
                                                  もくじへ戻る
U.アジアの黄砂

1.黄砂の発生地帯

 タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原の3地区 併せて日本の面積の5倍程度にあたります。タクラマカン砂漠は見渡す限りの砂漠ですが、ゴビ砂漠は5月ごろから草原になります。 ところが過放牧などが原因で草地が減少しています。そこで砂漠化を防ぐため、方形に植林が行われていますが、この植林をどこにど の程度植えればよいかの適正配置が課題となっています。

黄砂の発生地帯

                                               もくじへ戻る

2.中国における黄砂

1)黄砂の分類

古く殷の時代から霾(ばい)という字で表記があります。中国では規模により下記のように分類されています。

分類 視程距離 風速等
沙塵暴(さじんぼう) 1km以下 風速7級以上(16m/s以上)
揚沙(ようさ)  1〜10km 風速6級以上
浮塵(ふじん) 10km未満 おおむね日本の黄砂と同様の現象
     

2)沙塵暴の発生頻度

年代 回数
1950年代     5回
1960年代   6回
1970年代   13回
1980年代   14回
                                                 もくじへ戻る

3.韓国における黄砂

 韓国は黄砂の影響を日本より強く受けます。 日中韓環境大臣会合でも日中韓の共同モニタリングの実施を主張しました。

 健康影響の観点から、PM10 濃度によって社会生活について3段階の基準を設けています。

大気中のPM10濃度 措置
300μg/m3 以上 注意報発令
500μg/m3 以上 学校へ休校勧告など
1000μg/m3 以上 学校完全閉鎖など

※空気中に漂う粒の直径がおおむね10μm(1μmは1mmの1/1000)以下の粒子。 このように小さな直径の粒子は肺に入り込み呼吸器に影響を与えることから環境基準が設けられています。

                                                 もくじへ戻る
4.日本における黄砂

 気象庁の定義によると「大陸性の土壌粒子によって、 視程が10km以下になる現象」とされています。化学組成的には CaCO3(炭酸カルシウム)が10%以上占めています。 2002年の黄砂観測日数はのべ1200を超えています。2000年から700を超えている現象は異常と認識されており、 これを通常の4〜500程度に抑えることがひとつの目標と考えられています。

                                                 もくじへ戻る


V.黄砂問題の概観


 黄砂の問題は、中国の国内問題が北東アジア地域の環境問題にも影響を与えているととらえることができます。
 温暖化緩和などは望ましい効果ですが、汚染物質の輸送による健康への影響も懸念されます。


黄砂問題の概観

                                                もくじへ戻る


Y.長崎県 での黄砂

1.長崎県での大気環境常時監視

 県下51局で二酸化硫黄、窒素酸化物、オキシダント、 浮遊粒子状物質など環境基準が設けられている大気汚染物質を自動測定しています。データを1時間ごと電話回線で収集しています。

                                                 もくじへ戻る

2.浮遊粒子状物質と黄砂

 黄砂と関係の深い大気汚染物質は浮遊粒子状物質(略称SPM)です。これは 空気中に漂う 粒の直径が10μm(1μmは1mmの1/1000)未満の粒子です。PM10とは若干定義が異なります。 米国、韓国等ではPM10を環境基準項目としていますが、日本ではSPMを用いています。
 SPMが1時間値で200μg/m3を越えるか、1日の平均値が100μg/m3を越えると環境基準超過となります。近年、黄砂が飛来した時にSPMが高濃度となり、環境基準が達成できない年度が続いています。


SPM1時間値最高値

2002年3月21〜22日の黄砂ではSPMが環境基準の2倍以上になりました。


黄砂飛来時のSPM
2002年3月21日から31日までのSPM経時変化

                                                もくじへ戻る
X.環境省委託事業 黄砂実態解明調査

1.調査の目的と方法

1)アンダーセンサンプリング
 空気中に漂う粒子を、粒の大きさごとに8段階に振り分けて採取する方法です。粒の大きさごとに肺へ進入する深さが異なることが知られています。 一般に黄砂のような土壌粒子は粗大粒子(数ミクロンから十ミクロン程度)側に分布し、硫酸アンモニウム(酸性雨の原因物質) などの二次粒子は微小粒子(1/10〜数ミクロン程度)側に分布します。

アンダーサンプラーの粒径特性
アンダーセンサンプラーAN-200型取扱説明書(柴田科学株式会社)から引用

2)ハイボリウムサンプリング
 強力なポンプで大量の空気を吸引し、黄砂のなかの微量な物質を測定します。黄砂には何が含まれているのか?有害なものはないか?という疑問に答えます。

                                                 もくじへ戻る

2.受託自治体

平成15年度 北海道、新潟県、富山県、愛知県、島根県、福岡県、長崎県

長崎県では長崎市郊外式見ダムで調査を実施しています。

調査の結果は環境省によって取りまとめられます。

式見ダムにおける調査
式見ダムにおける調査の模様
左:ハイボリウムエアサンプラー 右:アンダーセンサンプラー

                                                 もくじへ戻る


長崎県衛生公害研究所ホームページへ

大気科水質科衛生化学科衛生微生物科
長崎県大気汚染監視テレメーターシステムダイオキシン | 悪臭|黄砂|酸性雨放射能廃棄物日韓共同研究
***Copyright (C) 2004 Nagasaki Prefectural Institute of Public Health and Enviromental Sciences All Rights Reserved.***

教室へ戻る


このページに関するお問い合わせ先
長崎県衛生公害研究所 〒852-8061 長崎県長崎市滑石1-9-5
TEL:095-856-8613 FAX:095-857-3421 E-Mail:s00610@pref.nagasaki.lg.jp