新聞報道

    

イノシシ等の電気による止め刺し器材の開発

2016年(平成28年)4月17日

本県では、全国1位となる年間3~4万頭のイノシシを捕獲している。その大半が野生動物による農作物等の被害対策を目的とした有害鳥獣捕獲によって実施されており、わなでの捕獲が全体の9割以上を占める。近年は、わな猟免許の新規取得者の増加やチームで捕獲作業を行う「捕獲隊」の発足など、捕獲対策に必要な人材確保や体制強化が図られている。

しかし、県農林技術開発センターで実施した捕獲従事者アンケート調査では「止め刺し(殺処分)」と「埋焼却処分」の作業を負担に感じる人が多かった。特に止め刺しは、かみつかれるなどの危険が伴うだけでなく精神的な苦痛も生じるため、活動意欲の減退につながりかねない。そこで、電気柵や猟具のメーカーと共同で、と蓄場や漁業でも導入されている電気止め刺し器材を野生動物用に開発した。

これにより、最初の通電でイノシシを一時的に失神させ、更に電気を流すことで止め刺しすることができる。作業が安全な上、捕獲個体が出血せず、作業者の精神的な苦痛軽減になる。

止め刺しは、捕獲作業の中でもけがや事故の危険性が高いので、器材の性能を高めるだけでなく、使用者の技術向上も併せて進める必要がある。適切な捕獲方法と器材の使用方法をマニュアル化し、それを使った講習会により人材育成にも取り組んでいる。

今後、開発した電気止め刺し器の導入と人材育成講習を併せて実施することで、更にイノシシ捕獲が進むものと期待できる。電気止め刺し器は、本年度共同開発メーカーから販売を予定している。




    

電気止め刺し器による失神したイノシシ



捕獲作業で従事者が負担に感じている作業








(研究企画部門研究企画室 係長 平田滋樹)