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スギ・ヒノキの間伐適期予測システム 計画的木材生産に活用

2014年(平成26年)7月20日

本県は、県土の約6割を森林が占め、このうち人工林約9万1千㌶で、大半がスギやヒノキである。木の成長には時間がかかるため、林業においては、どのような林に育てるのかという長期計画と、それを実現するための間伐時期の計画策定が重要だ。このため、長期的な人工林管理に活用できる簡便な間伐時期の判定指標が求められてきた。

木材として山から伐採・搬出される丸太の太さや長さは、樹齢や土地の生産力でさまざまだ。一方、市場では一定の規格があり、それに伴い価格が異なるため、伐採現場では立木の状態でどのような規格(大きさ)の丸太が採れるかという判断が求められる。

そこで、林齢100年生までに必要な間伐の適期を判定し、収穫される丸太の数量を予測するため、これまで当センターで蓄積してきた県内全域のスギやヒノキの調査結果を基に、本県のスギ、ヒノキに対応した「間伐適期予測システム」を作成したので紹介する。

システムでは、現在の人工林の状態(樹齢、木の高さ、1㌶当たりの木の本数)を入力すると、その後間伐が何年後に何回必要かを試算できる。同時に、そのときに伐採される材積(幹の体積)の予測と、その中からどの規格の丸太を収穫できるか判断することが可能になる=図参照=

県内のスギやヒノキの人工林の多くは、植えてから50年を経過して利用可能な資源になってきている。間伐材であっても木材として利用できることから、計画的な木材生産の推進のためにも、この「間伐適期予測システム」の活用が望まれる。




【図】

間伐適期予測システムを活用した 長崎県ヒノキ人工林間伐シミュレーションの例

    

※この図は、現在の人工林の状態(例えば樹齢40年生、樹高13㍍、1㌶当たりの生育本数1500本、間伐③の直前の状態)を入力して出力される図に解説を加えたものである。この人工林では、40年生(間伐③・500本程度間伐)、52年生(間伐④・250本程度間伐)、80年生(間伐⑤・100本程度間伐)の3回の間伐が可能であることが分かる。その時、間伐される材積(幹の体積)の合計は、それぞれ46立方㍍、61㎥、63立方㍍となる。また、間伐材1本当たりの柱(中丸太)として採れる長さの予測も可能である。






【表】

 長崎県のスギ・ヒノキ人工林に対応した
間伐適期予測システムの適用範囲
項  目 スギ ヒノキ
 林  齢  11~100年生  11~100年生
 樹  高  10~35㍍  8~30㍍
 胸高直径※  10~50㌢  10~43㌢
 1㌶当たり本数  500~4000本/㌶  500~4000本/㌶
※胸高直径:成人の胸の高さ(日本では地面から1.2~1.3㍍)の位置における立木の直径



(森林研究部門 専門研究員 田嶋幸一)