有明海の環境変化と諫早湾干拓事業との因果関係

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 平成22年12月、福岡高裁において開門判決が出されていますが、その前後において、有明海異変と諌早湾干拓事業との因果関係を否定する新たな知見が様々な研究機関によって発表されています。

環境省の調査

  1. 有明海の異変は、潮汐振幅の減少、潮流の減少、濁りの減少、透明度の上昇、植物プランクトンの増殖、赤潮発生、貧酸素化といったスパイラルによって発生すると考えられていました。
  2. ところが、国が行った環境アセスでは、開門しても有明海の再生にはつながらない結果が示されています。
  3. 環境省が行った「有明海貧酸素水塊発生シミュレーションモデル調査業務」(平成19年度から平成21年度)によれば、潮汐振幅の増減は、月の18.6年周期の昇降点運動(月の引力の変化)の影響を受けており、潮受堤防締切の影響は小さいとされています。
  4. この調査結果では、開門しなくても今後2015年に向けて潮汐振幅が増大し、これに伴い、有明海湾奥の貧酸素化が緩和されると示唆されています。

詳しくは以下の資料をご覧ください。

 NPO法人有明海再生機構の報告

  1. NPO法人有明海再生機構の中間とりまとめによれば、「1997年の諌早湾締切で諌早湾及び島原湾沖で大きな潮流の低下がみられるが、有明海湾奥部での潮流変化はみられない。湾奥部(福岡・佐賀沖)は、1980年代までに行われた干拓による海岸線の変化の影響で潮流が減少している」と報告されています。
  2. また、「湾奥部の潮流の変化に関しては、湾奥部の地形変化の影響(佐賀県の干拓等)が最も大きく、2番目にf値極大化と極小化の変化(月の18.6年周期の昇降点移動)による影響が大きく、諌早湾潮受堤防の影響はほとんど見られない。」と報告されています。
  3. さらに、平成24年3月に行われた諌早湾潮受堤防開門調査と有明海異変問題シンポジウムの中で、有明海再生機構理事長は、「2000年のノリの色落ち被害については、これは締切とは直接関係なくて、非常に特異な特別な赤潮、リゾソレニア(植物プランクトンの大型珪藻類)という普通に現れないようなものが、ある環境条件の中で以上に繁殖して、大規模なノリの色落ちを起こした。そのことについては、みなさんそういうものだと理解しています。ですから、直接、締切とは関係ないだろうとの認識です。」とコメントされています。

独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所の調査結果

  1. 西海区水産研究所が平成24年度に行った有明海における貧酸素水塊の一斉調査結果では、「有明海奥部と諌早湾を中心に大規模な貧酸素水塊が同時に別に形成されることが明らかになり、品酸素化の領域がおおよそ特定できました。」とされています。
  2. また、「既往の研究から有明海奥部では、筑後川からの出水等により大量に流入した栄養塩を利用して植物プランクトンが増殖し、その後植物プランクトンは枯死し底層に沈降して退席・再懸濁を繰り返しながら西部海域に輸送されることが明らかになっています。その過程においてバクテリアによって溶存酸素が消費されると考えられており、一斉観測の結果はこれらの知見を裏付けるものでした。」とされています。

詳しくは以下の資料をご覧ください。

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  • 諫早湾干拓課
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