それでは次にもう少し細かな都市計画のメニューについてお話しします。
(1)都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
都市計画区域における都市の将来像を示すものとして定められており、一般に「都市計画区域マスタープラン」と呼ばれます。
これは、都市計画区域ごとに都市計画の目標をはじめ、区域区分の決定の有無、土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する主要な都市計画の方針等を明示するもので、これにより都市の将来像を明確にし、その実現に向けての大きな道筋を明らかにします。
この都市計画区域マスタープランは1市町村のみならず、隣接した都市計画区域や市町村を含んだ広域的な見地から定めるものであり、県が都市計画決定の手続きを経て定めます。
(2)市町村の都市計画に関する基本的な方針(都市計画法第18条の2)
県が定める都市計画区域マスタープランに即して定められるもので、一般に「市町村マスタープラン」と呼ばれます。
これは、都市計画区域マスタープランに明示された都市計画との整合を取りつつ、市町村が都市空間形成に関する基本的な考え方や土地利用・都市施設整備の方針、ならびに自然的環境の保全や都市環境形成の指針などをきめ細かく総合的に定めるものであり、それぞれの市町村の自主性を発揮できるよう、その手続き、内容とも自由度の高いものになっています。
具体の土地利用計画の策定や都市整備事業は、これを基にして進められることとなります。
(3)土地利用
都市計画のマスタープランを実現するために、面的な土地の利用計画を定めて規制と誘導を行うもので、具体的には次の二つが土地利用のメニューとなっています。
- 市街化区域及び市街化調整区域の区域区分(都市計画法第7条)
一般に「線引き」と呼ばれている制度で、都市計画区域を、規制市街地の区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化すべき区域である「市街化区域」と、当面市街化を抑制すべき「市街化調整区域」とに区分するものです。これは、無秩序な市街地の拡大を防止して計画的な市街地の形成を図るもので、市街化調整区域では例外的なものを除いて宅地開発や建築が厳しく制限されます。
線引きの際には、各区域の土地利用のあり方を示す「整備、開発又は保全の方針」を同時に定めることが義務づけられています。
この線引きは、都市計画区域マスタープランにおいて、その都市計画区域に線引きが必要かどうかを判断することとなります。 - 地域地区(都市計画法第8条)
市街地及び市街地が見込まれる区域において、活発な都市活動や良好な都市環境を維持するため、建築物の用途や構造の制限、あるいは開発行為の制限などを行う地域や地区を定めるものです。
最もよく知られているのが用途地域ですが、このほかにも風致地区、防火・準防火地域、臨港地区など多くの種類があります。
これらを決定した後は、建築確認などの手続きを通して規制・誘導を行い、計画の実現を図ります。 -
(4)都市施設(都市計画法第11条)
道路、公園、下水道など都市生活や都市機能の維持に不可欠な社会基盤施設の将来的な担保を図るため、その位置や構造などを定めます。
都市施設として都市計画に定めることができるものには、次のようなものがあります。1)道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
2)公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
3)水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
4)河川、運河その他の水路
5)学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
6)病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
7)市場、屠畜場又は火葬場
8)一団地の住宅施設
9)一団地の官公庁施設
10)流通業務団地
11)その他政令で定める施設これらが決定されると、その区域内では一定の建築制限が課せられることとなります。
(5)市街地開発事業(都市計画法第12条)
一般に市街地の整備というものは、行政が基幹的な都市施設を建設し、住民や民間企業が宅地の開発や建築を行うという形で進められているため、効率的に市街地の形成が行われるのはむしろ数少ないケースかもしれません。
市街地開発事業は、都市施設と宅地の整備を一体的かつ大規模に行うもので、減歩・換地方式による土地区画整理事業、買収方式による新住宅市街地開発事業、権利変換方式による市街地再開発事業などがあります。都市施設の場合と同じく、これらの事業区域が定められると、建築制限が課せられます。(6)地区計画等(都市計画法第12条の4)
前述の土地利用や都市施設に関する計画が都市全域の観点から策定されるのに対し、地区計画等は住民の身近な生活空間である地区を単位として公共施設の配置や建築物に関する制限を定め、地区の特性に応じたきめの細かいまちづくりを誘導しようとするものです。
地区計画や再開発地区計画をはじめとして数種類のメニューがありますが、これらが定められると計画に適合しない開発や建築はできなくなります。これらの他にも促進区域や市街地開発事業等予定区域といった制度がありますが、長崎県においては事例がないため、ここでの説明は割愛します。
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