2.フッ化物を利用したむし歯予防について

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Q7.フッ化物を利用したむし歯予防について

A7.
フッ化物によるむし歯予防の方法は数多くありますが、広く普及し代表的なものと言えば水道水のフッ化物化、フッ化物洗口、フッ化物塗布、フッ化物入り歯磨剤などがあげられます。 応用方法としては、歯が顎の骨の中でつくられている時期に併せて使う全身応用法と歯が生えてきたときに歯に直接作用させる局所応用法とがあります。
実施方法としては、みんなで行う予防方法(公衆衛生的予防方法)と個人で行う予防方法(個人衛生的予防方法)があります。

表2.各種フッ化物利用法の特徴

利用方法

種類 予防効果 フッ化物濃度 特徴
公衆衛生的予防法(みんなで行う予防方法) 

水道水へのフッ化物調整(フロリデーション)

50%-70%

0.8ppm

飲み水と共に摂取されたフッ化物は、歯の栄養となり、強い歯をつくります。安全性、効果、経済性に優れ、乳歯も永久歯もどちらも予防することができます。

公衆衛生・個人衛生的予防法

フッ化物洗口

40%-60%(ただし永久歯)

225ppm-900ppm

主に、幼稚園・保育所や学校で行われ、安全性、効果、経済性にすぐれた永久歯の予防に適しています。

個人衛生的予防法(個人で行う予防法) 

 

フッ化物塗布 10%-40%  9,000ppm   歯科医院、保健所、市町村等で行われています。

フッ化物入り歯磨剤

15%-30%

1,000ppm

各家庭でフッ化物入り歯磨剤を利用してむし歯予防をします。

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Q8.フッ化物を使ってもむし歯になる。それなら、使わなくても良いのではないのですか?

A8.
確かに、フッ化物洗口では、40%-60%のむし歯予防効果であり、100%むし歯予防をすることができません。だからといって、放置するとむし歯になる危険性が大きくなります。う蝕が蔓延している状況を考慮すると、安全で、簡便で、経済的にむし歯予防ができるフッ化物を利用してむし歯になる危険性を少しでも減らす努力を考えた方が合理的です。また、口腔衛生の改善や甘味制限等他のむし歯予防と併用して100%のむし歯予防を目指して努力していく必要があります。
また、むし歯になった後のことについて考えてみましょう。むし歯を治療して、むし歯の部分を金属やプラスチックで詰めたりしますが、その部分は元の健全な歯より弱いので詰めたところから再びむし歯になる可能性があります。ですから、少しでもむし歯にならないように予防する必要があります。
現在、むし歯予防で安全性、利便性、経済性、効果で最も有効であるのはフッ化物の利用であります。(特にフッ化物洗口)

表2.各種フッ化物利用法の特徴

方法

安全性

難易度

経済性

効果

総合判定

フッ化物の利用

フッ化物洗口

フッ化物塗布

×

フッ化物入り歯磨剤

水道水へのフッ化物調整

×

その他(錠剤等)

×

歯みがき(ブラッシングのみ)

×

×

甘味制限

×

×

フィッシャーシーラント

×

×

各項目について
・安全性:安全○、特に問題なし△、危険×
・難易度:易しい○、やや困難△、困難×
・経済性:安価○、やや高価△、高価×
・効 果:大きな効果◎、効果あり○、やや効果あり△、効果なし×
・総合判定:かなり有効である◎、有効である○、やや有効である△、あまり有効でない×

※安全性:各機関の認定による安全性
難易度:現実的な行動、実施に対しての難易度
経済性:各自の手間やコストの負担
効果:むし歯予防の効果
総合判定:各項目の総合評価

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Q9.むし歯予防で、フッ化物を利用する方法と他の方法とどのような効果の違いがありますか?

A9.
むし歯予防には次の方法があります。
(1)フッ化物の利用(フッ化物の効果についてはQ3・Q7を参照)
・フッ化物洗口、フッ化物入り歯磨剤 ・・・・・・・・・・家庭や学校、職場等で簡単にできます。
・フッ化物塗布 ・・・・・・・・・・・歯科医院・市町村等でできます。
・水道水へのフッ化物調整 ・・・現在、日本では実施していません。
・その他(錠剤、塩等にフッ化物を添加)

(2)甘味制限
おやつ等の時間やむし歯になりにくい甘味料の使用等でむし歯を予防する。

(3)口腔衛生の改善
歯みがき等で口の中の汚れを清掃してむし歯予防する。

(4)フィッシャーシーラント
歯科医院でむし歯になりやすい奥歯の溝にセメントやプラスチックを入れて、むし歯予防をする。

以上のようなむし歯予防がありますが、(2)については確実に実行するのは現実的ではない。(甘いものをある程度コントロールできるが、むし歯予防効果を挙げるのにはかなりの努力が必要である。)(3)については、昔から「歯みがきをするとむし歯にならない」といわれているが、実際は歯みがきをしてむし歯は減っていないのです。口の中を清掃して口腔衛生の向上することは必要だが、むし歯予防のために行うのは大した効果はありません。なぜなら、むし歯になりやすい奥歯の溝の大きさは歯ブラシの毛1本の太さより小さいので溝の中の汚れを掃き出すことができないからです。(下図)(4)については、むし歯予防の効果はかなり大きいですが、歯科医院で個人的な予防により行い費用、手間等の負担も大きくなります。

このように、さまざまな条件を考えると、むし歯予防で現実的で、安全性、簡便さ、経済性、効果等を考慮するとフッ化物の利用(特にフッ化物洗口)がむし歯予防に最も有効と考えられます。また、他の方法を併用することによりむし歯の予防効果も一層高ます。

ずさんはのみぞとはぶらしのけいっぽんとのひかく 

図3.歯の溝と歯ブラシの毛1本との比較

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Q10.歯みがきや甘味制限などの基本となる努力をしないで薬であるフッ化物に安易に頼るのは正しいむし歯予防とはいえないと思いますが、どうでしょうか?

A10.
Q9で述べたようにむし歯予防法はフッ化物のほかにもあります。ただし、単一の方法で100%むし歯予防できることはありません。したがって、各種の方法を組み合わせて、できるだけむし歯予防の効果をあげる必要があります。そのような方法を選択してむし歯予防に努める必要があります。
現在、むし歯予防ではフッ化物の利用が最も効果的であると考えられています。また、科学的にも実証されています。したがって、フッ化物に頼ることが正しくないむし歯予防法とはいえないと思います。正しいむし歯予防とは、効果のある予防法を自分で選択することではないでしょうか。

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Q11.フッ化物を利用する年齢を教えてください。

A11.
フッ化物利用は、生涯を通じて行うことが必要です。特にむし歯になりやすい時期のフッ化物利用は大きな効果が期待できます。むし歯になりやすい時期は、歯が生え始めてから2-3年の間ですので、乳歯や永久歯が次々に生えてくる、1歳の誕生日前から中学生くらいまでが最もむし歯になりやすい時期といえます。また、この時期に限らず生涯にわたってフッ化物を積極的に利用すれば、むし歯は効果的に予防されますので、一生自分の歯で食べるという目標に大きく貢献するものと考えられます。

下記表のフッ化物は多重応用して良い

場面

出生

幼稚園・保育園 小学校 中学校 高校 成人 高齢者
年齢 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20-60 60-80

地域全体

水道水へのフッ化物調整(添加)(※日本では実施していない)

保育所
幼稚園
小・中・高校

       

フッ化物洗口

       

歯科医院
保健所
市町村

フッ化物塗布(歯が生えはじめや歯肉退縮により露出根面に塗布するすると特に効果がある)

家庭

 

        家庭でのフッ化物洗口(ぶくぶくうがいができるようになってから)
 

フッ化物入り歯磨剤(歯磨剤にジェル状のものも含む)

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