学校危機へのこころの緊急支援事業(CRT)

長崎県では、平成17年9月から「学校危機へのこころの緊急支援事業」を行っています。
この事業は、長崎県内の学校内外で重大な事件・事故が起こった際、こころの緊急支援チーム(CRT=クライシス レスポンス チーム)を派遣して、二次被害の拡大防止とこころの応急処置を行います。

学校危機へのこころの緊急支援事業創設に至るまでの経緯

長崎県では、平成15年に幼児殺害事件、平成16年には小学校同級生殺人事件と2年連続して全国のマスコミで大きく報道されるような痛ましい事件が発生し、地域精神保健福祉活動において「学校内外の事件・事故発生時のこころのケア対策」が緊急課題となりました。そこで、以前から学校危機への緊急支援に携わっていた長崎県臨床心理士会の活動と、全国に先駆けてCRTの活動を行っていた山口県のCRTを参考に長崎県版CRTの創設に至りました。

業務概要

目的

学校内外で危機的な事件・事故などが突発的に発生した場合、こころの緊急支援チーム(「CRT」と略す。)を派遣することにより、二次被害の拡大防止とこころの応急処置を行います。

対象

長崎県内の小中高等学校(私立学校も含む)、特別支援学校に所属する子どもたちの多くがこころの傷を受ける可能性がある、以下に掲げる1および2に該当する災害・事件・事故とします。

  1. 単発の外傷性の出来事に限定。
  2. 個人・家族の危機ではなく、学校・学級の危機に限定。

派遣メンバー

こころの緊急支援チーム員として、あらかじめ登録している専門家数名を派遣します。 なお、必要に応じて、当該校所在地の保健所等の協力を得ます。

支援内容

二次被害の拡大防止とこころの応急処置

  1. 事態の評価とケアプラン策定の手助け
  2. 教職員への助言と心理サポート
  3. 保護者などへの心理教育
  4. 児童・生徒と関係者への応急処置
  5. その他(マスコミ対応など)

派遣期間

3日間以内

派遣依頼方法

学校長または所轄の教育委員会からこころの緊急支援チーム情報センターへ電話でご依頼ください。

なお、長崎県内の学校長または教育委員会からの派遣要請は24時間受けつけますが、個人からの依頼には対応いたしません。
また、こころの緊急支援チーム情報センターでは、派遣要請以外のお問い合わせは受けつけていません。

受け入れについて

経費の請求をすることはありません。
食事など身の回りの心配はいりません。

 

出動実績[PDFファイル/4KB]

【問合せ先】長崎こども・女性・障害者支援センター精神保健福祉課・電話:095-846-5115

<参考>学校危機対応のレベル(山口県精神保健福祉協会CRTガイドより)

事件規模 レベル 事案例
大規模 6 北オセアチア共和国学校テロ(学校管理下)
5 大阪池田小学校事件(学校管理下)
中規模 4 佐世保市小6殺害事件(全国のマスコミ殺到)
寝屋川市教師殺害事件(全国のマスコミ殺到)
仙台ウォークラリー事故、3人死亡、20人以上重軽傷(全国のマスコミ殺到)
京都宇治小侵入傷害事件(全国のマスコミ殺到)
光高校爆発物事件、数十人救急搬送(全国のマスコミ殺到)
(すべて学校管理下)
3強 校内での自殺、目撃多数、学校に報道殺到(学校管理下)
小学校のプールで水死、児童目撃多数、学校に報道殺到(学校管理下)
3弱 児童の列に車、1人死亡、2人怪我、目撃数名、学校に報道多数(学校管理下)
親子心中事件、学校に報道多数(学校管理外)
小規模 2 親子心中事件、学校に取材無し-僅か(学校管理外)
自宅での自殺、学校に取材無し-僅か(学校管理外)
体育中に児童が倒れ、搬送先の病院で死亡(学校管理下)
夏休み中に川の事故、複数児童目撃(学校管理外)
小規模以下 1 家族旅行中の交通事故で児童死亡(学校管理外)
自宅で家族の自殺を児童が目撃(学校管理外)

※CRTの派遣対象は中規模(レベル3弱から4)ですが、同じような事例に見えても、子どもたちの受ける衝撃度は異なりますので、事例ごとに協議させていただきます。小規模(2)と思われる場合もご連絡いただいて構いません。

「学校危機へのこころの緊急支援事業」に係るチーム員研修

こころの緊急支援チーム運営委員会(事務局:精神保健福祉センター)として、CRTチーム員フォローアップ研修及びCRTチーム員の養成研修を行っています。

(1)登録研修会

対象者は教職員及びチーム員登録希望者(関係機関)、目的は事業周知及びチーム員確保。

(2)フォローアップ研修会

対象者はCRTチーム員、目的はチーム員の技術向上及び連携体制の強化。

 

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