旧国道25号線(現国道34号線)は旧長崎県庁を起点として東に向かい、平地を過ぎて日見峠に向かう。昭和9年に長崎で開催される「長崎国際産業博覧会」を契機に、これまでの道路の南側に新しい道路を造り、中川町から馬町の区間を現代的な道路に改修された。この新しい国道は途中で、中島川と西山川を横断するが、ここに鉄筋コンクリート造のアーチ橋の3橋が架設された。
中島川を渡る橋が「一之橋」で放物線アーチで、開腹アーチ橋である。
一之橋から長崎市内に向かうと中之橋があり、楕円型アーチで充腹アーチ橋である。
西山川を渡る橋が、鎮西橋で半円アーチで充腹アーチ橋である。
昭和9年12月に架橋した3橋は、現在でもほとんど損傷がなく建設当時の姿を留めており、戦前のコンクリート施工技術の優秀さを示す構造物となっている。
国道34号線の3橋は原爆の被災も免れ、また高度成長期に破壊されることもなく、現在まで残されてきた。昭和初期のデザイン思想を反映した橋梁であり、長崎市の都市の繁栄を象徴する構造物であり長崎市の都市形成史の視点から貴重な構造物である