佐世保港の港湾施設の大部分は、明治22年(1889)の佐世保鎮守府開庁以来、太平洋戦争までの60年間、特に明治から大正にかけて日本海軍が巨費を投じて作り上げたもので、その象徴的な構造物が250t起重機である。起重機本体は高さ62m、梁の長さ81mでイギリスのサー・ウィリアム・アロル社製、電動機はウェスティングハウス社製のもので、大正2年(1913)10月20日に竣工した。
明治後期から大正初期に英国から輸入された起重機は佐世保、長崎、横須賀、呉、横浜に建設されたが、佐世保の250t起重機は現存する中で最大のものである。
建設以来100年を経過して、造船業が基幹産業の佐世保市において重要なランドマークであり、日本の造船業の基盤を支えた構造物として、我が国の重要な近代化産業遺産である。