椅子に腰をおろして足を組み、ほほに手をあててもの思う姿の半跏思惟像である。口もとにうかべる古式の微笑みは古像のもつ静かな雰囲気を伝えている。像高14㎝ほどの手のひらにのるような小像で、朝鮮半島・三国時代の制作になるものと考えられる。伝来の経緯については明確でないが、おそらく対馬・壱岐などの朝鮮半島金銅仏と同様に、中世期に日本へもたらされたと思われる。その後、隠れキリシタンの家でキリストを象徴するものとして守り伝えられてきた。渡来やキリシタン護持など、いかにも長崎県ならではの対外関係を担った遺品であるとともに、東洋美術史上の貴重な存在でもある。総高14.3cm、像高13.8cm。
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