嵯峨島は、福江島三井楽町貝津の西5㎞沖に浮かぶ南北3.3㎞、東西の最大幅2.3㎞、面積2.82km2のひょうたん形をした小島である。北部に男岳(151m)と、南部に女岳(130m)があり、いずれも玄武岩質の赤色の火山砕屑物が積み重なった噴石丘である。この火山体の西側は海食により削りとられ、火山砕屑物の成層状態や、玄武岩溶岩の貫入する様子が見事に露出している。男岳南部(嵯峨島港の北岸附近)や、女岳南西部のモグリ瀬では、噴石丘形成の初期の火山活動の噴出物であるよく成層した凝灰角礫岩が露出する。噴石丘(臼状火山)の形成過程を知る上で、「新魚目(しんうおのめ)曽根火山赤ダキ断崖」とともに、貴重な地学的資料である。なお、男岳の東方に開いた火口内に散在する火山弾や岩滓中に鏡鉄鉱(赤鉄鉱の結晶)が含まれているのは珍しい現象である。
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