福重家は享保年間創業の波佐見焼の窯元で大正末期まで中尾郷で製陶していたが、昭和になり現在の地に移った。昭和3(1928)年に建てられた入母屋造の主屋は四周に下屋を廻らす。
主屋の入口は東面中央に本玄関、北側に勝手口の土間を設ける。
北側に応接間、土間、台所を配し、南側の床上部を居室として周囲に縁側を廻らす。東側に開放的な座敷を並べ西側を納戸とする。
奥座敷には1間半幅の床の間と違い棚、付書院を備える。床柱はタガヤサンで狆潜りを開ける。中座敷との部屋境の欄間には池に鯉の透かし彫りをはめる。
吟味された材料で良質な造りの近代和風住居である。昭和初期の状態が現在も良好に留められ、高い建築的価値を有する。
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