伊万里文書は、肥前国宇野御厨内伊万里浦(現在の佐賀県唐津市)の領主・伊万里氏の家文書である。伊万里氏は松浦党一族で、鎌倉時代に御家人となった。江戸時代後期に松浦家に入り、現在は団法人松浦史料館の所蔵となっている。
文書は、正治元(1199)年11月2日付の遠江守某書状案から慶長4(1599)年8月26日付の龍造寺喜清次(鍋島茂綱)内覚までの計21点で構成されており、最後の1点を除き全て中世文書である。また正文(文書の原本)と案文(正文の写し)が混在しており、伊万里氏の土地財産や同じ松浦党の一族である武末氏の動向を示す文書を中心に、足利義詮(室町幕府将軍)・足利直冬(九州探題)・少弐頼尚(筑前守護)・今川了俊(九州探題)の発給文書が盛り込まれている。
このように、伊万里文書は中世の松浦党一族の貴重な史料であるとともに、南北朝の動乱期の史料としても貴重な文書である。
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