最教寺の懸仏は、径約1m半にもなろうという大きな御正体で、桧板に銅板貼りである。両肩に取付けられた獅噛(しかみ)形の釣環座(つりかんざ)は図案化された獅子頭で、環座の宝珠の鋭い尖りとともに近世に入る造形を示している。外区は三鈷杵文と転宝輪文を各6個交互に貼りつけて飾り、覆輪部には飾り鋲が打たれている。内区中央には左手に水瓶(みいびょう)を持った十一面観音立像が安置され、観音の両脇には向かって右に不動明王像、左に毘沙門天像が立っている。制作は桃山時代頃と思われる。この懸仏は小値賀町長楽寺に伝えられていたもので、明治の初めに廃寺となり、本寺格の当寺に移された。
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