礫岩は平戸島の南西部にあり、全体が凝灰角礫岩からなる岩山である。最高海抜は287mで、西海国立公園特別保護地区となっている。尾根の上では土壌が浅く各所に母岩が露出する岩石地である。そのような乾き易い立地に、イワシデ群落とダンギク群落が発達している。その中には次のような特殊な植物が生育する。イトラッキョウは世界中で礫岩と付近の岩山だけに分布する平戸島固有の植物である。11月初旬に開花する。ほかに朝鮮半島系植物=イワシデ・コバノチョウセンエノキ・ダンギク・チョウセンノギク・隔離分布種=ミヤマビャクシン(近隣分布地:多良・経ケ岳、佐賀県黒髪山、福岡県障子岳、熊本県五家の荘)・ネズミシバ(韓国・済州島)・イブキジャコウソウ(波佐見町、佐賀県黒髪山)が生育する。さらに日本列島系の岩石地植物=ニシノハマカンゾウ・ツシママンネングサ・イブキシモツケ・キハギ・イブキジャコウソウも加わる。植物生態学的にみても植物地理学的にみても、日本では他所に類を見ない非常に価値の高い群落である。また、保存状態も大変良好で価値が高い。
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