懸仏とは円形板や鏡などに浮彫や鋳造の仏像を取付け、釣手環をつけて吊下げるようにしたもので、御正体(みしょうたい)ともいう。鏡板は銅板金に周囲に覆輪をめぐらし、中尊の阿弥陀如来坐像を蓮華座と共鋳したもので、その左右に花瓶を釘打ちしている。天蓋は欠失し、釘痕のみ残っている。裏銘に「祗園社・祗園神体・願主沙弥(花押)・弁□□(二字不明)・奉懸御正躰一躰・右志者為現当二世悉地円満而巳・正応四年三月二十四日敬白」とあり、正応4(1291)年の製作であることが記されている。製作年代の分かることから、鎌倉時代懸仏の基準作である。
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