石鍋は、鎌倉時代の西日本に広く流布した煮たき用の厨房具であり、滑石製は平安時代末から中世の西日本で広く普及した。
西彼杵郡の山中には滑石層の露頭が多く、その中でも本遺跡は最も規模が大きく、11の製作所が集中しており、第6製作所だけでも、高さ6m、延長60mの岩壁に石鍋製作の痕跡を見ることができる。石鍋の製作は、まず滑石の岩壁を30~40㎝の方眼に割りつけ、ソロバン玉状に削りこんだ後に岩壁から削りおとし、成形加工されるが、これらの製作工程をよく読みとることができる。
石鍋製作に関する文献はきわめて少ないが、本史跡により中世における生産と流通を知ることができる。
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