伊王島灯台は、安政開国後諸外国の要求を容れ、品川台場・観音崎・野島崎などとともに建設された日本最初の近代式灯台の一つで、明治3年(1867)6月に完成した。設計者は明治政府のお雇い外国人灯台局工師スコットランド人R・ヘンリー・ブラントン。六角形に組まれた基礎石を土台とする、鉄造六角形の灯台であったが、戦後解体され、土台基礎石は遺存する。吏員退息所は俗に官舎と呼ばれ、同じくブラントンの設計で明治10年(1877)に完成した。コンクリート一部木造の洋館建てで、恐らくたる詰めの舶来のセメントを輸入したと思われるが、セメントは高価な貴重品で、石灰などが混入された形跡がある。初期コンクリート造の貴重な遺構であるが、石灰のみならず、火山灰やれんが屑を混入するのは明治末期までの一般的工法である。
大きな地図で見る