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●貴重な習俗が残る
主藤家住宅がある厳原町豆酘は、半農半漁の村で、今では町の中心部から車で30分ほどで行けるようになったが、戦前までは対馬でも最も隔絶された村のひとつだった。
そうした地理的特性があって、この村には古くからの貴重な習俗が現在まで少なからず残っている。「赤米神事」や「亀卜神事」などがそうである。
「赤米神事」は、「頭仲間」と呼ばれる祭祀組織で赤米の田植えから稲刈り、俵詰め、もちつき、頭受けという当番家の交代まで年間を通じ厳格な儀式にのっとり行われる。
「亀卜神事」はサンゾーロー祭りともいい、亀の甲を焼き、その形から天下国家の吉凶を占う行事である。旧暦1月3日に行われ、占い役の卜者は岩佐家で継承されている。
現在では古い亀の甲の破片を火にかざす形式だけになったが、江戸時代までは海亀を捕まえ、桜の木の皮を燃やして甲を焼き、その甲にできるひび割れ具合で占ったという。 |